疲労が招く免疫低下にご用心
2012/03/30 掲載
「疲れ」にも種類がある
あなたが「疲れてるなぁ…」と感じるのはどんな時ですか? 「疲れ」のサインは、身体のだるさや重さなどの倦怠感、筋肉や関節の強張りや痛み、気分の落ち込み、眠気や集中力の低下…等でしょうか。いつもよりたくさん筋肉を使って体を動かした…というような身体的な疲労だけなら、主に筋肉のダメージによるものですからリラックスして筋肉をほぐすようにお風呂に入ったり、ゆっくり眠って休息と栄養を摂れば大体スッキリ元気になれます。筋肉のダメージの回復に多少時間がかかったとしても、精神的にはスッキリ晴れ晴れ、という感じで長引くことはあまりありませんよね。こういう種類の「疲れ」はあまり問題ではありません。
でもキツいスケジュールで責任の重い仕事をこなしたり、人間関係のトラブルが絡んできたり、精神的にも身体的にもプレッシャーのかかる状況が続くような状況の「疲れ」は…ちょっと寝たくらいじゃ疲労感は解消されないばかりか、そもそも寝る時間すら十分にとれなかったりします。こういう状況を「単なる疲れ」だから…と侮ってはいけません。実はとっても注意が必要な危険な状態なのです。
【図1】をご覧ください。こうした状況も、ある程度の期間で緊張状態から解放され十分に休息・気分転換・栄養補給などできれば回復できるのですが、そうやって回復などしていられない状況が続くと精神的緊張が「疲労」として脳に伝えられ更に倍増した疲労感により自律神経が乱れ、免疫機能まで低下します。
免疫機能が低下してしまうと、元気な時には免疫に押さえつけられていたウィルスや細菌がここぞとばかりに体内で活発になります。ここでウィルスや細菌が勢いにのって一気に増殖すると「風邪」や「胃腸炎」や「帯状疱疹」などのつらい症状として現れ、「病気」が発現した状態になってしまいます。病気になってしまうことも大変苦しくつらいことですが、はっきりした病気にならなければいいのか、というとそうではありません。病気として発現しなくても、活性化してきたウィルスに対応しようと身体が頑張ってインターフェロンなどの様々な対応物質を出すのですが、この物質がまた更に脳に「疲労感」を伝えてしまうのです。
こうして身体を守ろうとして出てきた物質により「疲労感」が常に脳に送られている状況が続きます。何もしなくても脳に「疲れた」という信号が送られ続けるのです。こうなると単なる「疲れ」では済まされなくなってきます。特に診断名のつくような病気ではないのに常に身体の不調で日常生活にも支障をきたすようになってしまうのです。こうした状況を「慢性疲労」といいますが、おおっぴらに休んで病院に行く判断がつきにくいので、ある意味風邪などの病気になるよりやっかいかもしれません。更にこの状況が6カ月以上も続くと「慢性疲労症候群」となり睡眠障害や抑うつ状態が現れるなど神経的な疾病へとつながるような深刻な状況を招くと言われています。
「疲れているだけだから」と、無理を続けるとやがて取り返しのつかないところまで行ってしまうかもしれません。「単なる疲れ」」と思わず、できるだけ早めに休息を取って免疫低下を招く前に回復をはかりましょう。そして休息してもどうもスッキリ回復しない…という状況が続く際は、思い切って医師に相談しましょう。
疲労回復に効果的な食材は?
さて、疲れをためこむととっても危険!ということはおわかりいただけたかと思いますが…毎日忙しい皆さんですから、できれば休むにしてもより効率的・効果的に疲れを解消したいですよね。ここでは、疲労回復に有効な栄養素とそれを含む食材をご紹介いたします。「疲れたな」と感じた時、こうした食材を意識して上手に摂って休めば効率よく疲れが撃退できますし、疲労に強い身体づくりにも役立ちます。
疲労回復に効果的な栄養素とそれを含む食材
・クエン酸 (梅干し、お酢、柑橘類:レモン、グレープフルーツ、オレンジなど、に多い)
「すっぱい!(>v<)」と感じさせる元となる成分。疲労物質の発生を抑制し、除去する効果があります。代謝促進作用もあります。
・ビタミンB1 (豚肉、うなぎ、小麦胚芽、大豆、ピーナツなどに多い) 疲労回復のビタミンと言われ、精神的に安定させ疲労感の改善に効果があります。糖質の代謝を促進しエネルギーに変換します。
・たんぱく質 (魚・肉類、大豆、卵、乳製品に多い) 疲労した筋肉を修復します。疲労で低下した免疫力向上させる免疫細胞を作る働きもあります。
昔から、疲れた時や体調の悪い時に「番茶と梅干し」がいいとか「レモンの蜂蜜漬け」がいいとか言われてきましたし、バテ気味の時にはうなぎを食べなさいなんて言われましたが、きちんと理にかなっているんですねー。でも、やっぱり何はともあれ、「疲れの元を断ち切って」ゆっくり休む!…これに越したことはありませんよ! 連休明けで「ちょっとつらいなぁ…」と感じているそこのあなた!つらかったら、思い切って休んじゃいましょ!何事もメリハリが大事です。頑張ったら、その後は休んだっていいじゃないですか。ね(^^)。