突然のめまい!知っておきたい対処方法と予防法

2017/09/12 掲載

めまい

 
ストレスの多い現代では、めまいに悩む方が年々増えているそうです。
突然「めまい」の症状に襲われたとき、みなさんは何が原因と思われますか?
普段から貧血や低血圧の症状がある方はそちらを原因と疑い、高血圧や高めのコレステロールなどが気になる方は脳血管の心配をされるかもしれません。
「めまい」とひとくちにいっても、症状の現れ方や原因は様々です。めまいの中には早期に治療が必要な病気が隠れているかもしれません。異常を感じた場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。

めまいの種類は大きく分けて3つ

*ぐるぐる回る回転性タイプ・・・自分自身、もしくは周りの風景が回っているように感じる

→耳が原因のものが多い(まれに脳が原因の場合もある)
めまいに伴う主な症状:耳鳴りや難聴、耳がつまった感じがする
 

*体がフワフワふらつく浮動性タイプ・・・まっすぐ歩けない、姿勢を保つのが難しい、足もとがおぼつかないように感じる

→脳が原因のものが多い
めまいに伴う主な症状:手足や口の周りのしびれ、ろれつが回らない、物が二重に見える、意識の乱れ
 

*立ちくらみのようなタイプ・・・立ち上がるときにクラッとしたり、目の前が暗くなったり、失神を伴うこともある

→自律神経が原因のものが多い
※自律神経によってコントロールされている血圧や脈拍に異常をきたし、一時的な脳の血流不足となってめまい・立ちくらみが 起こります。
めまいに伴う主な症状:単純にめまい・立ちくらみだけの場合が多いが、動悸、息切れ等を伴うこともある

立ちくらみタイプ
立ちくらみタイプ

立ちくらみタイプ
ぐるぐるタイプ

突然めまい発作が起きて、その場を動けないときはどうしたらよいのでしょうか?(※2,5)

 
多くの場合では、めまいと同時に吐き気、嘔吐、冷や汗、動悸などの症状を伴います。
まず、その場でしゃがむなどしてめまいが起こらないような頭の位置を探し、目を閉じたり、部屋を暗くしましょう。楽な体勢をとり、安静にして急な動作は極力避けましょう。
  • ・手足のしびれや、ろれつが回らないなどの症状がない場合
    →命に関わる心配はありませんが、症状が落ち着いたら早めに医療機関で受診しましょう。
  • ・手足のしびれや、ろれつが回らないなどの脳が原因とされる症状があり、安静にしていても症状がなかなか改善しない場合は脳卒中など緊急を要する可能性があります。
    →救急外来の利用も検討し、迅速に医療機関で受診しましょう。
    *手足のしびれなど、脳の異常からくる症状があっても数分~1時間程度で症状が治まるケースがあります。
    一過性脳虚血発作(TIA)といわれ、小さな血栓が一時的に脳の血管をふさいだり、血流量が減って、なんらかの神経症状が現れた状態をさします。脳梗塞などの前触れということもあるので、放っておかず、早めに受診することをおすすめします。(※4)

ちょっと意外?めまいのほとんどは耳が原因(※1,2)

めまいの原因の中で一番多いものは、実は耳の異常で、半数以上を占めています。耳の中でなんらかの異常があると、鼓膜の奥の内耳にある三半規管・蝸牛(かぎゅう)などの平衡感覚に関わる部分に影響するためです。
 
耳が原因のめまいで、有名なものにメニエール病があります。内耳のむくみによりめまいを起こす病気ですが、その原因は不明とされ、問診からストレスや疲労が伺えることが多いようです。
 
耳や脳の原因以外にも、検査により異常が見られない場合は薬の副作用や、うつ病など心因的な障害などが疑われます。特に、高齢者の方ではもともと難聴傾向があったり、異なる病気の症状が重なって出ていることも多く、原因の特定はより難しいものとなります。
既に別の病気で通院されている方は、その病気とめまいは関係ないと自己判断せず、些細な症状でも必ず医師に伝えておきましょう。

めまいを発症している人には共通点がある(※1,3,5)

以下はめまいを発症している方に多く見られる特徴です。
自分に当てはまるものがないかチェックしてみましょう!
  • ○40~60歳
  • ○女性である(女性は更年期障害等によりホルモンバランスが乱れると、自律神経機能にも関連してくる)
  • ○過労、睡眠不足
  • ○職場の対人関係でのストレス、家庭内のストレスなどがある
  • ○几帳面・きまじめ・神経質・完璧主義などの傾向があり、ストレスをためやすい性格
  • ○貧血傾向がある
  • ○低血圧
  • ○アレルギー体質
  • ○糖尿病、脂質異常症、高血圧症(降圧剤の服用)などの生活習慣病の既往歴
春先や秋口などの季節の変わり目での患者数が多いことからも、自律神経機能との関連が強いと考えられています。
当てはまるものが多い方はめまい予備軍かもしれません。次の対策を参考にしてみましょう。

防げるめまいもある。予防のためにできること。

多くのめまいは原因がはっきりしていないために、発症の予防策は確立されていません。
ここでは、原因が分かっているものについて予防策をご紹介します。
 
1)起立性低血圧など、急激な血圧変化によるめまいの予防(※1,6,7)
起立性低血圧とは、立ち上がったときに血圧が一気に低下するものをいいます。横になったり、座っている状態から立ち上がる場合、より高い位置になる脳まで血液を送るために血圧を上げる必要があります。通常、自律神経が立ち上がる際の血圧を調整してくれています。急に立ち上がったり、自律神経が乱れていると、血圧調節がうまくいかず、脳の血流が不足してしまいます(脳貧血)。こうして、めまいや立ちくらみが起こるのです。
 
低血圧傾向のある方や、ときおり立ちくらみの自覚がある方は、急に体を動かすことは避け、寝ている状態からは、まず腰を起こし、座った状態からはゆっくり立ち上がるよう注意をしましょう。
 
日常生活では、規則正しい生活、バランスの良い食事を心がけ、血流を送るために十分な水分摂取をしましょう。また、適度な運動も効果的といわれます。
 
2)貧血にならないよう、食事など生活習慣に気をつける
鉄欠乏性貧血いわゆる貧血は脳貧血とは異なり、脳の酸欠状態です。私たちの体は血液成分のヘモグロビンによって全身に酸素を運んでいます。このヘモグロビンが少ないと十分な酸素が運べず、全身が酸欠状態となるのです。
貧血予防のためには、血液の材料となる鉄や、造血効果のあるビタミンB12・葉酸などの摂取を心がけましょう。赤身肉・魚や緑黄色野菜のほか、あさりやしじみなどの貝類の摂取もおすすめです。栄養素は単体で摂るより組み合わせることでその効果がアップします。たくさんの栄養素を摂るためにも様々な食品をバランス良よく食べましょう。

バランスよい食事

 
3)自律神経を安定させる(※3,6)
メニエール病などの内耳が原因のめまいの発症には自律神経が不安定となることも関連が深いといわれています。自律神経の不調により、体水分(血液・リンパ液)の循環が悪くなり、内耳のむくみにつながるのではないかと考えられています。
自律神経の乱れは起立性低血圧・不整脈・アレルギー体質にも関わりがあります。
めまいがいったん治まっていても、疲れがたまったり、生活の乱れがあるときに再発しやすくなります。
自律神経を安定させるために、夜更かしや暴飲暴食などを避け、規則正しい生活を心がけましょう。また精神的ストレスも自律神経を不安定にするので、疲れたら無理をせず、くつろぐ時間を作るなど、精神的な面でもゆとりをもつことが予防となります。
ストレスを感じているときに必要となる、ビタミンB群やビタミンC・たんぱく質・ミネラルなどの栄養素をしっかり摂ることも大切です。

くつろぎ

くつろぎ

 
4)脳梗塞などの脳血管障害や心筋梗塞など虚血性心疾患の予防
糖尿病、脂質異常症、高血圧症などの生活習慣病をもっていると、血管に負担がかかり、動脈硬化(血管の老化)が進行します。動脈硬化を防ぐことで、脳が原因のめまい予防となります。普段から食生活や嗜好品に注意し、定期的に健診を受けておくことが大切です。
高血圧で服薬中の方は、薬によって血圧が下がり過ぎる場合があるので、ふらつきなどの症状がある場合は、必ず医師に相談しましょう
*血管の老化を防ぐには・・・
・主食・主菜・副菜のそろったバランスの良い食事を摂る
・肉の脂身などの脂質の摂り過ぎに気をつけ、魚の油、大豆製品を摂る
・食物繊維たっぷりの野菜類を摂る
・塩分の摂り過ぎに注意し、カリウム(野菜類)を摂る
・適度な運動習慣をもつ
・甘いものやアルコールは控えめにし、適量で楽しむ
・喫煙は控えめに、できれば禁煙する

バランスよい食事

 
めまいについて知らなかったという方も、すでに体験したことがあるという方も、急にめまいが起きると、とても不安になることでしょう。
予防策や予備知識があれば、不安の軽減に役立つこともあると思いますので、自分に当てはまる部分がないかどうかチェックしてみましょう。
【参考文献】
※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。