ペットとの生活が与えてくれる健康効果とは?
2021/02/09 掲載
ペットと暮らすと健康になる?
みなさんはペットと生活していますか?
内閣府の調査によると約7割の人がペットを飼うのが好きというデータがあります。実際にペットを飼っている人は34.3%、住宅の状況や一人暮らしなどの事情にもよりますが、好きだけど飼えないという人が半分程度いらっしゃるという結果です。また、飼っているペットの種類は犬、ねこ、魚類などの順となっています。(※1)
我が家には10歳を超える2頭の小型犬がおり、毎日癒しを与えてくれています。仕事の都合で離れている時間が長かったのですが、コロナ禍で在宅勤務が増え、一緒に過ごす時間が増えたことで、改めて犬が生活に良い効果をもたらしてくれていることを実感しています。
「犬を飼うと健康になる」「ペットと暮らしている人ほど健康」という話をよく聞くことがありますが、みなさんの中でも、ペットと一緒にいるだけで心が落ち着く感じがしたり、不思議と元気になったりという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は「ペットと暮らすと健康になるのか」について調べてみました。最近ペットとの生活を始めた方も、新しく迎えようと考えているという方も参考にしていただけたらと思います。
アニマルセラピーの効果について
犬やネコ、馬などの動物とふれあうことにより心身の健康向上を図る療法を「アニマルセラピー」とよびます。その歴史は古く、古代ローマ時代には、負傷兵のリハビリとして馬とふれあう「乗馬」が推奨されていたといいます。
調べてみると、犬と暮らすことによる健康効果については、古くから研究がされており、アニマルセラピーまで広げると、古代ローマ時代に馬を用いたアニマルセラピーが行われていたようです。
また、高齢者施設や学校、病院、障害者施設等でのアニマルセラピーの効果については、多数の研究がされており、効用として挙げられているものは以下のようになっています。
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1)生理的・身体的効果
- ・ペットと散歩に出かけることで歩数や活動量が増加することによって血圧・中性脂肪などの改善につながる
- ・ペットを触ったり、お世話をすることによって、内分泌系(ドーパミンやβエンドルフィン)の働きが促進されリラックスする
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2)心理的効果
- ・世話をする側の立場になることにより、自発的な行動や自尊心が高まる
- ・ペットと散歩に行きたい、遊びたい、触れ合いたいといった能動的な意識が生まれる
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3)社会的効果
- ・ペットに話しかけたり、散歩先などでペットを介した話題について他者との会話、発語が増えコミュニケーションが活性化する
- ・時間を決めて、エサを与える、散歩に行くなど定期的な行動や生活習慣としてのリズムが生まれる
実際に、我が家は小型犬ですが、私自身毎日一緒に散歩に行くことで、約2,000歩ほど歩数がアップしました。
また、散歩先では、犬を介して自然と会話が生まれます。
「何歳ですか?」「体重はどのくらい?」「近くにいいペットの美容院はありませんか?」など、自然に会話しています。これらのコミュニケーションも飼い主である私たちの心の健康に良い効果をもたらしているといえそうです。
オキシトシンの分泌
生理的および心理的な効果の中で具体的な例を挙げると、「幸せホルモン」として知られるオキシトシンの分泌において、犬との生活が大きな影響を与えることもわかっています。
オキシトシンは家族やパートナーとのスキンシップや信頼関係に関わるホルモンとして知られ、オキシトシンが十分に分泌されている状態だと、「幸せな気分になる」「脳・心が癒されストレスが緩和する」「他者への信頼感が増す」「心拍、血圧の安定」などの健康効果が発揮されることが、近年の研究でわかってきました。
犬をなでたり、アイコンタクトをすることで、幸せな気持ちになるのは、ちゃんとエビデンスがあったんだ!と改めて納得できました。
今回調べてみたことで、改めてわかったことは、「犬を飼う」という行為だけで、人間が健康になるのではなく、犬とコミュニケーションをとり、お世話をすることでスキンシップしたり、一緒に散歩に出かけたり、自然と健康行動が促されて、健康になるのだということです。
かわいい家族との暮らしは心を豊かにしてくれ、健康に導いてくれますが、それには飼い主としての責任ももちろん伴います。私自身も改めて犬との暮らしを楽しみながら大切にしていきたいと感じました。
参考文献:
※1 内閣府世論調査 ペットの飼育状況について
https://survey.gov-online.go.jp/h22/h22-doubutu/2-1.html