公認スポーツ栄養士直伝!運動を頑張る方に必要なたんぱく質
2020/08/11 掲載
タニタヘルスリンクでは、スポーツ栄養の専門家である公認スポーツ栄養士が、タニタの最新の体組成計で計測したバイタルデータをもとに、食事・運動・休養の分野でさまざまな競技のトップアスリートのからだづくりのサポートを行っています。
その中で日頃、実業団に所属している陸上選手やJリーグ加盟のサッカークラブの選手の栄養マネジメントをしていると、選手のたんぱく質に対する意識の高さを感じます。
選手に対して「競技力向上や、からだづくりのために必要な栄養素は何ですか?」また、「競技をする上で不足しないように気をつけている栄養素は何ですか?」といった質問をすると、真っ先に出てくる栄養素が「たんぱく質」です。
そこまで本格的に運動はしていないけど、筋肉量を維持したい、今よりも筋肉量を増やしたい!と思っている方も、筋肉の材料となるたんぱく質の必要量はどのくらいなのか、現状の食生活で不足していないか等確認してみましょう。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18~29歳 | 65g | 50g |
30~49歳 | ||
50~64歳 | ||
65~74歳 | 60g | |
75歳以上 |
運動愛好家の食事で摂取するたんぱく質量
スポーツを楽しんでいる運動愛好家の皆さんは、普段の食事でたんぱく質がどのくらい摂れているでしょうか。
【朝:和定食】
納豆(1パック)8.3g豆腐(味噌汁の具15g)1.0g
ごはん(150g)3.8g
牛乳(200ml)6.6g
【昼:親子丼】
鶏肉(80g)15.2gたまご(1個)6.2g
ごはん(150g)3.8g
【補食】
ヨーグルト(1個)3.2g【夕:和定食】
鮭(1切れ)18.0gごはん(150g)3.8g
1日の主なたんぱく質源の合計 69.9g
アスリートの食事で摂取するたんぱく質量
主菜となる肉、魚、卵、大豆製品を毎食しっかり摂ることで、ある程度必要なたんぱく質の摂取ができるという事が分かりましたね。では、実際アスリートはどうなのかをお伝えしていきたいと思います。
運動による筋肉の合成は、運動とともにたんぱく質を摂ることで高まるといわれています。ただし、たんぱく質を多く摂取すればするほど高まるわけでなく、各種研究結果から、1日の必要量としては体重1㎏あたり2.0g程度が上限と言われることが多いです。
例えば、体重60kgのアスリートであれば、60kg×2.0g=120gとなります。
1日に120g程度のたんぱく質摂取が上限となり、3食と補食でしっかり補給していく必要があります。
選手には、寮生活の選手もいれば、一人暮らし、家族と一緒に住んでいる選手など環境は様々ですが、朝食の内容をヒアリングする限り、一人暮らしの選手でも30~40g程度はたんぱく質を摂取出来ている選手が多いように感じます。
トレーニングは午前のみで終わる日もあれば、午前・午後の2回の練習の日もあります。夏場は午後練習だけという日もあります。
筋肉の合成は、トレーニング終了後から最大24時間活発に行われることが確認されています。このことからも、筋肉や骨の維持・増大、損傷を受けた組織の回復のためには、筋肉の合成を最大限に高めるのに十分なたんぱく質の量をトレーニング後速やかに摂る必要があることが分かります。筋肉の合成速度は、たんぱく質を20g摂取すると最大になり、20g以上の摂取の場合はたんぱく質のエネルギー源としての利用が増えるともいわれています。
では、実際のアスリートの食事がどうなっているのかを少しご紹介します。
【あるチームの昼食メニュー】
ごはん牛肉のスパイシー炒め
エビと長いものチーズ焼き
三色ナムル
韓国風わかめスープ
果物
果汁(セルフサービス)
牛乳・乳製品(セルフサービス)
▼セルフサービス以外の栄養価▼
エネルギー:1123kcal/たんぱく質:47.7g
選手のからだの大きさはさまざまですし、練習内容や故障の有無、その日の体調などでも食べる量は変わってきます。もともと持っている『食べる力』の差も、食べる量に大きく関わってきているように感じます。
からだの大きな選手でも不足することなく必要な栄養素が摂れるように、また、試合のスケジュールや選手・スタッフからの声なども確認し、体組成データなどの推移を確認しながらメニューに反映させています。
基準はあくまで参考に、自分のからだづくりの目標やトレーニング状況、体調や体感など、からだに聞きながら必要量を調整してください。
主食・主菜・副菜・果物・牛乳・乳製品など、必要な栄養が揃っているか、必要な量が確保できているか、日々の食生活を振り返りつつより良い食生活に出来ると良いですね。
※1 日本人の食事摂取基準2020年版引用