食べすぎ防止にも効果あり? 五感で味わう食事の力
2025/07/08 掲載
忙しい日々が続くと、ついついパソコンやスマホを見ながら、または家事などの作業をしながら「ながら食べ」をしてしまうことはありませんか? そんな経験があるのは、きっと私だけではないはず。
このような、マインドレス(食事以外のことに気を取られ、心ここにあらず)な食べ方は満足感を得られにくいため、食べすぎの原因になることがあるようです。また、無意識のうちに早食いになり、噛む回数が減ることで胃腸に負担がかかるため「なんとなく、疲れがとれない」という症状に悩まされることも。
実は最近の研究で、食べ方が心と体に影響を及ぼすことがわかってきました。特に注目されているのが「マインドフル・イーティング」、日本語訳では「食べる瞑想」と呼ばれる方法です。
「食べる瞑想」って?
「食べる瞑想(マインドフル・イーティング)」とは、食事をする時に、ただ口に運ぶだけでなく五感をフルに使って味わうことです。
2017年に専門誌『Diabetes Spectrum』で発表された研究では、こうした食べ方が心と体に良い影響を与えることが示されています。この方法はゆっくりと食べることにもつながり、以下の嬉しい効果が期待できます。
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心身のリラックス効果:
ゆっくり食べることで副交感神経が働き、リラックスできます。 -
消化機能が改善:
意識的に食べることで、消化吸収がスムーズになります。 -
ちょうどいい満腹感:
満腹中枢が適切に働き、食べすぎを予防します。
5分でできる「食べる瞑想」の3ステップ
やってみたいけれど、なかなか時間がとれないという方も多いと思います。そんな忙しい毎日でも、5分あればできる簡単な方法をご紹介します。
基本の3ステップ
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1. まずは深呼吸で準備(1分)
食事の前に、ゆっくり深呼吸を3回。「さて、これから食事の時間だ」という切り替えをしましょう。 -
2. 五感で味わってみる(2~3分)
・じっくり見る:料理の色や見た目を楽しむ【視覚】
・しっかり香りを嗅ぐ:香りを深く味わう【嗅覚】
・丁寧に感じる:温度や食感を意識する【触覚】
・聴いてみる:咀嚼音を聞く【聴覚】
・しっかり味わう:味の変化をゆっくり感じる【味覚】 -
3. 食事の終わりを確認(1分)
「今の食事、10点満点で何点くらい満足?」と自分に聞いてみます。これを続けると、食事の適量が少しずつわかってきます。
さっそく筆者も、昼食の際にステップ1の「食事の前に、ゆっくり深呼吸を3回」を試してみました。
テレビもスマホも見ずに、目を閉じて呼吸に集中していると、私の場合は呼吸が浅くなっていることに気づきました。そのため深呼吸しやすい正しい姿勢をとろうという意識が生まれ、さらに「これから食べる時間だ」と思いながら呼吸をしていると、口の中に唾液がにじむのを感じました。梅干しなどの酸っぱいものを食べることを想像するだけで、唾液がでるような、あの感覚です。「唾液」が出にくいときは「脱水」気味になっているかも、と水分摂取量が少ないことに気がついて調整したり、自分のからだの状態を知る機会となりました。
ステップ2以降も別日に試してみたところ「今、食べられる食事があることのありがたさ」や「温かい食事を食べられることのありがたさ」など、自然と感謝の気持ちが湧いてきて、満足感が高まったと感じました。ぜひ、これら3ステップをやってみるとどんな感覚になるのか、楽しみながら体感してみてください。
毎日のシーンで活かそう
5分すら惜しいという人のために、ちょっとしたコツをご紹介します。
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オフィスランチ
・スマホやパソコンは一旦オフ
・最初の一口は、目を閉じて特別な味わいタイムを -
慌ただしい家事の合間
・洗い物等の家事をしながらの「ながら食べ」は、最初の一口だけでも手を止めて味わう
・キッチンでの軽食時は、湯気の香りやカップの温もりを丁寧に感じて味わう
「食べる瞑想」は、目の前の食事に意識を向けるだけのシンプルな方法です。特別な準備も長時間の修行も必要ありません。
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週末の朝から始めてみる
⇒時間に余裕のある時がチャンス! -
1日1食からで大丈夫
⇒全てを完璧にしようとする必要はありません -
シンプルな食材でOK
⇒トマトやきゅうりなど、手軽なものからスタート
次の食事からちょっとだけスマホを置いて、食事そのものの味わいを楽しんでみませんか?
小さな変化が、いつしか大きな心地よさにつながりますように。