どうする?男性の更年期を乗り切る方法
2023/08/08 掲載
男性の更年期障害への印象

Bさん:女性の更年期症状や更年期障害と違うから、時が経つのを待つしかないよね。
Cさん:なんだか言いにくいし、相談もしにくい。すごくセンシティブな話題って感じ。
「知っておきたい!男性の更年期」というコラムでもご紹介したとおり、男性にも更年期があることが知られるようになってきました。しかし、女性の更年期に比べるとまだ認知度が低く、対応方法についても知らない人が多い状況です。いざ医療機関にかかろうと思っても、何科を受診すればよいかわからないなどの声を聞きます。
そこで今回は、男性の更年期について、どう対応すればよいかを考えていきましょう。
男性の更年期症状・更年期障害の対応方法は、大きく分けて生活習慣の改善と薬物療法があります。更年期症状・更年期障害の原因となる男性ホルモンの減少は、生活習慣に関係していると言われているからです。
まずは、生活習慣の改善に取り組みましょう。それでも症状が改善されなければ、医療機関を受診しましょう。
日常生活を改善する
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1. 自分を評価してくれる人の存在をもつ(褒め合う環境)
男性ホルモンの分泌量を上げるために最も重要なのが「自分を評価してくれる人の存在」です。誰かに認められたり、頼りにされたりすると、男性ホルモンの分泌が促進されます。
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2. 男性ホルモンに影響する栄養を摂取する
からだのベースづくり:1日3食、栄養バランス良く食べて、たんぱく質も毎食摂取する。
【男性更年期におすすめな栄養素と食材】
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ビタミンD
・カルシウムの吸収を促して、骨を強くし、骨粗しょう症を予防する
・男性ホルモンの産生に関わるビタミンが不足するとEDになりやすい
・うつ病の予防
【ビタミンDを多く含む食材】
きくらげ、干ししいたけ、しらす干し等
日光浴を行って、ビタミンDを体内で生成することができます。
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亜鉛
・男性ホルモン濃度の低下を予防する
【亜鉛を多く含む食材】
牡蠣、しじみ、豚レバー
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ビタミンE
・血行を促進し、更年期症状・更年期障害の冷えや頭痛、肩こりを予防する
【ビタミンEを多く含む食材】
アーモンド、ピーナッツ、アボカド
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ネギ類
・男性ホルモンの産生を促進する
【ネギ類の食材】
玉ねぎ、ネギ、ニラ、にんにく
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3. 睡眠時間と質を確保する
男性ホルモンは日中に筋肉を使うことで消費され、睡眠中に使った分を補うのですが、睡眠時間が短かったり睡眠の質が悪かったりすると十分に回復できないため、男性ホルモンが急激に減る原因になります。
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4. 適度な運動を行う
有酸素運動は、男性ホルモンの分泌量を上昇させます。筋力トレーニングを行い筋肉量が増加すると男性ホルモン値が上昇します。一方で、過度な運動を行うと男性ホルモン値は下がりますので要注意です。
医療機関で対応する(薬物療法)
症状がつらい方は医療機関(泌尿器科やメンズクリニック)を受診しましょう。
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1. 男性ホルモン補充療法
症状が重症の方や男性ホルモン値がかなり低下している場合は、ホルモン補充療法が行われます。
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2. 漢方薬
補中益気湯など
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3. 対症療法
①性機能の低下 →ED(勃起障害)治療薬
②うつや不安症状 →抗うつ薬、抗不安薬等
③骨粗しょう症予防 →骨粗しょう症治療薬
男性ホルモンと生活習慣病との関係
男性ホルモンの減少で起こる症状にED(勃起障害)があります。
糖尿病などの生活習慣病が悪化して起こるとされていますが、近年「血管病」としてもとらえられています。勃起のメカニズムは、細い動脈に血液が集まることによって起こります。しかし、動脈硬化がすすみ、血流が悪くなるとEDが起こりやすくなります。陰茎の動脈は非常に細いため初期の動脈硬化でも影響が現れることがあります。
EDは、最初に自覚ができる生活習慣病だと考えられています。良い生活習慣を取り入れることは、生活習慣病の予防になるだけでなく、EDの予防にもつながります。
男性ホルモンと健康
男性ホルモンは男性の健康維持に関与しています。もし男性更年期症状や更年期障害を自覚したら、生活活習慣を見直して改善しましょう。また、症状がつらい時は医療機関に相談しましょう。
一人で悩まずに、一歩進んで「健康長寿」を目指していきましょう。
【参考文献】
一般社団法人 日本内分泌学、男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=71
日本泌尿器学会、加齢男性性線機能低下症候群診療の手引き
へるすあっぷ21.202304、法研