エイジングケアにも効果的! からだの中の見えない炎症を防ごう

2019/07/09 掲載

炎症って何?

 からだの中の見えない炎症を防ごう炎症というとケガをしたときに傷口が赤く腫れて痛みを感じるような状態をイメージされるでしょう。炎症は、本来からだを守るために起こる反応の一つですが、からだの外側だけでなく、内側でも起こっています。

 

からだの内側で起こっている炎症は、自覚症状がないものがほとんどで、進行に気付きにくいのが特徴です。

炎症が起こっている箇所では組織の修復作業が繰り返し行われますが、何度も繰り返されることで異常をきたし、元通りに修復できなくなることもあります。

 

からだの内側で起こる炎症に起因する病気はさまざまありますが、今回は生活習慣、特に食生活の見直しによって改善できるものについてお伝えします。

からだの内側の炎症

食べ過ぎ、飲み過ぎ、野菜不足、夜遅い食事などの食生活は肥満、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の要因になるとともに、血液中に糖、塩分、脂質が増えることで血管の内側は傷ついてしまうのです。これがからだの内側の炎症というわけです。

 

例えば、血管内膜の傷付いた場所からコレステロールなどが入り込んでプラーク(コブ)を形成し、プラークが破れると血小板が集まり血栓を作るため、ひどい場合には血管が詰まり、脳梗塞、心筋梗塞などの命を落とすことにもつながりかねません。

人は血管と共に老いるといいますが、全身に張り巡らされている血管の流れが滞ることは、全身にダメージを与えることになります。いつまでも若々しさを保つためにも血管を健康にしておきたいですね。

 

血管の炎症と衰えていく3つの原因

作図:タニタヘルスリンク

また、過剰に蓄積された内臓脂肪からは炎症を引き起こす物質が分泌され、逆に炎症を抑制してくれる物質の分泌が低下するという報告もあります。※1

炎症を助長する脂肪細胞を増やさないこと、全身に酸素や栄養を送る役割の血管に炎症を起こさないようにすることが疾病予防だけでなくいつまでも若々しく元気に過ごすために重要といえるでしょう。

食生活を見直して炎症を防ごう

「からだは食べたもので出来ている」と言いますが、「何を食べているか」・「どんな食べ方をしているか」も重要な要素です。出来るところから見直していきましょう。

肥満によって炎症が起こりやすくなるため、まずは余分な脂肪を蓄積させないための食事が基本。炎症を防ぐ食生活をご紹介します。

 

  • 1日3食、欠食せずに食べよう
    欠食すると、その次の食事後の血糖値が高くなりやすく、インスリンの刺激で脂肪の合成が促進するだけでなく、血管に炎症を起こしやすくなります。

  • よくかんでゆっくり食べよう
    満腹中枢に刺激が伝わるのに20分程度かかります。早食いでは食べ過ぎてしまいがち。食べ過ぎてエネルギー過剰となれば、過剰な脂肪が増え、炎症を助長する物質の分泌が促進します。

  • 主食・主菜・副菜をそろえ、野菜から食べよう
    主食、主菜、副菜をそろえると、エネルギーとなる炭水化物、たんぱく質、脂質だけでなく、それらを代謝するために必要なビタミン、ミネラルも一緒に摂ることができます。食物繊維の多い野菜から食べることで血糖値の急激な上昇を防ぎ血管の炎症を抑えることにも効果的。

  • 夜遅い時間の食事は控えよう
    22時から夜中の2時までは脂肪が蓄積しやすい時間です。また、食べたものをエネルギーとして消費しないまま寝てしまうと脂肪蓄積につながるだけでなく、睡眠の質の低下、翌朝の食欲低下、朝食欠食の原因にもなります。夕食が遅くなりそうなときは、夕方に軽くおにぎりなどを食べ、帰宅後は消化の良いスープなどを食べるなどの工夫も良いですね。

  • 間食やアルコールは適量に
    嗜好品は気分転換に役立ち、こころの栄養にもなるため適度に摂ることは良いですが、摂り過ぎには注意。間食では不足している栄養素が補えるようなものを選びましょう。

     

 

タニタの社員食堂で実践している食事のポイントを取り入れてみましょう。

社員の健康管理のために1食500kcal前後、塩分3.0g未満、野菜たっぷりとというポイントにこだわっているタニタの社員食堂では、「主食」「主菜」「副菜」がそろう定食スタイルが基本。ゆっくりよくかんで食べるために材料を茹で過ぎない、材料を大きめに切る、食感の異なる食材を組み合わせて楽しくかんで食べるなどの工夫をしています。

 

他にもあぶらや塩分を控えるためにさまざまな工夫を行っています。

こちらのコラムも参考に!

 

食事で改善できることを中心にお伝えしてきましたが、運動により内臓脂肪からの炎症を抑制してくれる物質の分泌が高まることも明らかになっています。適度な運動も日常的に取り入れられると良いですね。

将来のからだのために、若々しさを保つために、からだの中の見えない炎症をなくしていきましょう。

 

<参考文献>

※1保健指導における学習教材集A-6(厚生労働省)https://www.niph.go.jp/soshiki/jinzai/koroshoshiryo/kyozai/

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。