あなたの「あぶら」の摂り方は大丈夫? 知らずに摂っている「あぶら」にご注意!
2018/01/30 掲載
ダイエットや、健康のためにと油を控えている人は多いのではないでしょうか。
実は、油を控えているつもりでも見えないあぶらを摂り過ぎていたり、摂るべきあぶらが不足している場合もあります。
油を控えている人も、摂り過ぎている人も、ご自身のあぶらの摂り方についてチェックしてみましょう!
まずはチェック!
コンビニで買い物することが多い
ランチは外食が多い
スーパーのお惣菜(揚げ物・炒め物)をよく利用する
菓子パンが好きでよく食べる
ドレッシングを良く使う、たっぷりかける
カップラーメンやカップ焼きそばが好きでよく食べる
油揚げや厚揚げをよく食べる
サラダ油など高温加熱で精製された油をよく使う
チェック数が多いほど悪いあぶらの摂り過ぎかも・・・
さて、この悪いあぶらとは、どんなあぶらなのでしょうか?
また、体にどんな影響があるのかご紹介します。
注意したい「あぶら」
(1)酸化した油
油が酸化する主な原因は、光と熱、酸素です。
油が酸化すると、ヒドロキシノネナールや過酸化脂質という有害な物質が発生し、食用には適さなくなります。この酸化した油に含まれる有害物質は、下痢や嘔吐、腹痛、頭痛などの原因となることがあります。また、体内に蓄積し、認知症の原因になるともいわれています。
一部の植物油は、精製過程で既に酸化が進み、体に有害な物質を含んでいるといもいわれています。(※1、3)
例)酸化した油が多く含まれる食品や油
・カップラーメンやスナック菓子などの加工食品⇒加熱や時間の経過により酸化が進む
・開封して半年以上経過した油⇒開封して空気(酸素)に触れた瞬間から酸化が始まり、保管場所によっては熱による酸化も進む
・サラダ油などの精製過程で高温加熱処理された油⇒精製する過程で高温で加熱された植物油は、熱により酸化が進む
(2)トランス脂肪酸
トランス脂肪酸は、体内で活性酸素を発生させ、細胞の劣化を招きます。長期的な多量摂取を続けた場合に動脈硬化の促進、発ガン、認知症などにつながるといわれます。(※5) マーガリンなど、「目に見える」トランス脂肪酸はなるべく摂らないという人は増えてきているようです。ところが、マーガリンやショートニングを使用した食品などの「見えない」トランス脂肪酸や、揚げ油の繰り返し使用などによって発生したトランス脂肪酸が巷にはあふれています。(※1、5)
上記以外にも、サラダ油などの植物油の精製過程でも少量のトランス脂肪酸が発生するため、そうした油を使用しているマヨネーズやドレッシングなどにもトランス脂肪酸は含まれます。
(3)n-6系脂肪酸(リノール酸)
体内で合成することのできないn-6系脂肪酸(リノール酸)は、必須脂肪酸といわれ、食品から摂る必要があります。この必須脂肪酸には2種類あります。
n-6系脂肪酸:コーン油、大豆油、綿実油、グレープシードオイルなど
n-3系脂肪酸:えごま油、 亜麻仁油、青魚のあぶらなど
必須脂肪酸の摂取量はn-6系:n-3系=4:1になるのが理想とされます。ですが、現代人はn-6系脂肪酸の油を摂り過ぎているといわれています。リノール酸の代謝物であるアラキドン酸は炎症を引き起こす生理活性物質を産生し、アレルギーやアトピーなどの原因となります。n-6系脂肪酸の摂り過ぎで、この炎症反応が強くなると様々な体の不調につながります。
普段そんなに油を使っていないという人も、加工食品に使われる植物油を見落としてはいないでしょうか?コンビニやスーパーの惣菜や、加工食品に使われるあぶらは主に、大豆油、コーン油などのn-6系脂肪酸が多い油です。植物油、植物油脂、食用精製加工油脂などと表記され、詳細が分からない場合も多くあります。油の種類の表示がない場合はn-6系脂肪酸を使用していると考えてよいでしょう。(※3)
また、コンビニ食品では一見あぶらがなさそう商品にもつや出しなどのため、食品添加物として使用されていることがあります。
こうして、コンビニ食品やスーパーの惣菜が多い人は知らず知らずに「見えない」n-6系脂肪酸を摂り過ぎてしまうのです。(※3)
普段使いにオススメの「あぶら」はコレ
(1)n-9系脂肪酸(オレイン酸)
酸化しにくいので揚げ物・炒め物などの加熱用にオススメ
オレイン酸を多く含む油の代表はオリーブオイルですが、最近では原材料の品種改良により紅花油や菜種油、ひまわり油などもハイオレックタイプというオレイン酸を多く含む油が増えてきています。
普段購入している油に表示されている脂肪酸の種類をチェックしてみましょう。
(2)n-3系脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA)
酸化しやすいのでドレッシングやマリネなど生食用にオススメ
α-リノレン酸はえごま油、亜麻仁油に多く、EPA、DHAは青魚に多く含まれるあぶらです。いずれも、生活習慣病や認知機能の改善に効果があるといわれています。
酸化しやすいことが欠点ですが、えごま油、亜麻仁油は、早めに使いきれる少量タイプで、光を遮る色のついた瓶のものを選び、加熱しないで生食することで、酸化を遅らせることができます。青魚は干物はもちろんですが、冷凍保存でも酸化は進むので、できるだけ新鮮なものを選びましょう。
(3)低温圧搾法で精製された油
熱を加えずにゆっくりと60度以下で圧力をかけて原材料から油を搾るため、精製過程での熱による酸化が抑えられます。製品によっては精製方法も表示されているので、チェックしてみましょう。
ぜひ、今日から「あぶら」の摂り方を変えてみましょう!
「あぶら」と聞くと、カロリーが高い、太る、病気の原因などとして嫌煙されがちですが、からだにとっては必要不可欠な栄養素です。
むやみに控える必要はありませんが、同じ摂るなら質の良いあぶらを摂るための対策をご紹介します。
見えるあぶらだけでなく見えないあぶらについても、あぶらの摂り方を見直してみてください。
●家で使う油
・精製過程や脂肪酸の種類で質の良い油を選ぶ
・光や熱の影響を受けにくい冷暗所で保管する
・開封後はなるべく早く使い切る
・早めに使い切るため少量で、光を遮る色のついた瓶や、箱に入ったものを選ぶ
●加工食品や総菜、お弁当
・古くなった揚げ油を使っている(油の酸化臭が漂っている)揚げ物は買わない
・カップラーメンやスナック菓子などの加工食品、冷凍食品などは控える
・コンビニや大型スーパーなどの工場で大量調理された総菜、お弁当などは避け、店舗で当日調理したものを選ぶ
●料理をする際の注意と食材選び
・油を加熱調理する際は酸化しにくいオレイン酸の多い油を使い、できるだけ食べる直前に調理する
・魚は干物や冷凍物より新鮮な魚を選び、お刺身など生食か、煮魚や焼き魚など加熱調理したものは作りたてを食べる
・ドレッシングは低温圧搾法のオリーブオイルやα-リノレン酸を多く含む新鮮な油で、使う分だけ手作りする
まとめ
私たちのからだは食べたものでできています。
あぶらは私たちのからだを構成する細胞の材料となります。その材料が、有害な物質を含んだあぶらだったら、からだはどうなっていくのか想像してみましょう。
摂るあぶらによって、この先の健康状態を左右するといっても過言ではありませんね。
これを機会に、もっと「あぶら」に意識を向けてみましょう!
【参考文献】
- ※1 カラダが変わる!油のルール 守口徹 朝日新聞出版
- ※2 油はすごい。人気管理栄養士が教える、体を守る油のとり方 足立香代子 毎日新聞出版
- ※3 食べて悪い油 食べても良い油 渡辺雄二 静山社文庫
- ※4 油の正しい選び方・摂り方 最新油脂と健康の科学 奥山治美 農山漁村文化協会
- ※5 病気がイヤなら「油」を変えなさい! 山田豊文 河出書房新社
-
※6 農林水産省 トランス脂肪酸について
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru/#5