整腸作用だけじゃない!乳酸菌パワーを知って健康に役立てよう
2013/06/25 掲載
皆さんはプロバイオテクスという言葉をご存じですか?
「人体に良い影響を与える微生物。または、それらを含む製品、食品のこと」をプロバイオテクスと言います。
例えば、乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトや乳酸菌飲料などがそれにあたります。
また、みそやぬか漬け、納豆などの発酵食品も、プロバイオテクス食品とされています。
これら以外にもプロバイオテクス効果を認められた菌や食品は多数あり、腸内環境を整えるだけでなく、実は私たちにこんな嬉しい効果をもたらすものもあります。
・免疫力強化
・花粉症予防
・アレルギー症状改善
・肌荒れ改善
すでにヨーグルトや乳酸菌飲料を健康のために食べているという方も多いと思いますが、選んだものにどんな菌が使用されているかを意識して選んだことはありますか?
せっかくなら、その菌がどんな健康効果をもたらしてくれるのかを知って選びたいと思いませんか?
今回は、研究データが豊富なヨーグルトや乳酸菌飲料に含まれる乳酸菌の種類や効果について、ご紹介します。
乳酸菌の働き
人間の腸の中には、約100兆個もの腸内細菌が存在し、その種類は数百種類以上にのぼります。
その中でも人に有益な働きをするものは「善玉菌」、その反対で人に悪さをする菌は「悪玉菌」、この2つのどちらにも属さず日和見的な作用をするものを「中間菌(日和見菌)」と言います。
・善玉菌
食べたものをエネルギーに替え、毒素・有害物質を排泄・代謝するなど、生きていくうえで必要不可欠な働きをしています。
酸菌やビフィズス菌は、善玉菌の代表格ですね。
・悪玉菌
腸内のたんぱく質を腐敗させ、発がん物質や有毒ガスを作り出します。
これにより腸の活動が低下し、便の腸管通過時間の増加により便秘が発生しやすくなります。
また、おならや便が普段より臭い時なども、ウェルシュ菌などの悪玉菌が増えてしまっているサインと言えます。
健康的な腸内環境を保つためには、日常的に乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を摂取し、腸内細菌のバランスを整える必要があります。
代表的な乳酸菌の種類と効果
腸内環境改善のために乳酸菌をとる場合、プロバイオテクス効果を認められた食品を選ぶことが大切です。
乳酸菌の研究成果は日進月歩、自分の気になる症状に合った乳酸菌を食生活に取り入れて、健康づくりに役立てていきましょう。
・BB536株
生きたまま腸に届き、消化活動を活発にして、便秘の改善の他、腸内でBB536株がつくる酢酸の殺菌パワーにより、免疫力の向上も期待できます。また、腸管の免疫細胞の過剰反応によって起きる花粉症の症状緩和にも、効果があるとされています。
・BE80株
こちらも酸に強く、ほかのビフィズス菌に比べても生命力のある菌です。
消化された食べ物が腸管を通過する時間が短縮され、また食後の膨満感を改善する効果も認められています。
食後にお腹が膨らむのは、腸の中の悪玉菌が食物を分解する際にガスを出すためですが、BE80株により腸内細菌のバランスが改善されることにより、上記の効果が表れると考えられています。
・LB81乳酸菌
ヨーグルトの本場ブルガリアで伝統的に使われているサーモフィラス菌1131株とブルガリア菌2038株を組み合わせたものがLB81乳酸菌と呼ばれています。
便秘を和らげ、また便秘と関係の深い肌荒れにも効果が確認された例があります。
・シロタ株
シロタ株は、高い整腸効果はもちろん、病原性大腸菌O-157の定着を防いだり、花粉症の症状を軽減させる効果も認められています。
さらに、大腸がんや膀胱がんの発がんリスクを低減する可能性も示唆されています。
・LGG菌
LGG菌は、胃酸や胆液に負けずに生きたまま腸に届き、また菌の表面が繊毛の覆われていることで腸管に付着しやすいことが特徴です。
また、花粉症の鼻づまり症状を改善したり、子どものアトピー性皮膚炎の発症率を低下させる効果についても認められています。
・SBT2928株
SBT2928株は、食べた後に人の腸内に定着することが証明されており、特に、病原性大腸菌O-157の感染リスクを低下させる効果に注目されています。
乳酸菌の種類と期待される効果
いかがでしたか?
ご紹介した菌の他にもまだまだ多くの素晴らしい乳酸菌がありますので、ぜひみなさんもさらに調べてみてくださいね。
ただし、乳酸菌を含む食品は、薬ではなくあくまで食品です。
すぐに効果を発揮するものではありませんので、最低でも2週間は同じ種類の菌をとり続けて、変化を確認していきましょう。
そして、腸内環境を悪化させる生活習慣(肉や動物性食品に偏った食事・油や砂糖たっぷりの菓子類などのとり過ぎなど)があればそれらを改善することも必要ですね。
参考文献:ヨーグルトで健康革命 あなたの知らない乳酸菌力(後藤利夫著)