塾通いで忙しい中高生の夜ご飯、どんな食事がいい?
2022/07/12 掲載
現代の中高生は、とかく忙しいと言われています。平日はみっちり夕方まで授業を受けたあと、日が暮れるまで部活に励み、それから塾や習い事へ……。
そんな子どもたちの元気を支えているのが食事です。しかし、家でしっかり食べられるのは週末くらいというお子さまも多いのではないでしょうか。
忙しい中高生の食事について考えてみましょう。
中高生に必要なエネルギー量
推定エネルギー必要量(kcal)
身体活動レベル(男子) | 身体活動レベル(女子) | |||||
年齢(歳) | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ |
12~14 | 2300 | 2600 | 2900 | 2150 | 2400 | 2700 |
15~17 | 2500 | 2800 | 3150 | 2050 | 2300 | 2550 |
日本人の食事摂取基準(2020年版)より
-
身体活動量レベルⅠ:
低い(生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合) -
身体活動量レベルⅡ:
ふつう(座位中心ではあるが、通学や軽いスポーツなどややからだを動かす機会がある場合) -
身体活動量レベルⅢ:
高い(日中の活動も多く、スポーツなど活発に運動習慣がある場合)
成長期である中高生は、男の子では高校生にあたる15~17歳、女の子では中学生にあたる12~14歳が最もエネルギーを必要としています。
夕食までに帰って来れない! そんな時は何を食べさせたらいいの?
夕方、部活まで頑張ったからだにはもうほとんどエネルギーが残っていません。部活の後、さらに塾や習い事へ向かう子はどうしたらいいのでしょうか。
脳のエネルギー源は、ブドウ糖(グルコース)のみです。血糖は一定に保たれていないと、集中力が散漫になったり、イライラしたりします。
ただ、ブドウ糖だけでは脳の機能は最高の状態を維持できません。栄養素をバランス良く摂ることで脳の働きを高いまま保てることがわかっています。塾の前に家に帰ることができたり、おうちの方が作ったお弁当などのバランスの良い食事が食べられたりできたらいいかもしれませんが、現実はなかなか難しいですよね。
塾の前に、コンビニで軽食を済ませる子も多いでしょう。子ども達は、ついついおやつ感覚で菓子パンやジュースなどを選んでしまいがちですが、勉強に集中するためにも菓子パンではなく、鮭などのたんぱく質が入ったおにぎりと野菜ジュース、ヨーグルトなどの組み合わせがおすすめです! 炭水化物だけでなく様々な栄養素を少しずつでも摂れるように、家族の方から声をかけてあげてくださいね。
そして、家に帰ったら、たんぱく質やビタミンたっぷりなおかずを食べる。1回分の食事を2回に分けるイメージです。この食べ方は、残業で遅くなるお父さんやお母さんの食事にも当てはまりますよ。
ただ、帰宅時間が遅く就寝まで間もない時間に食べる場合、揚げ物など、あぶらが多く消化に時間のかかるものは睡眠の質にも関わります。どれだけパワーいっぱいで頑張って欲しくても、できるだけ消化がよく胃に負担のかからない食事を用意してあげてください。
ブドウ糖だけが脳のエネルギー源と聞くと、砂糖をイメージして、とにかく甘いものを食べればいいと考えがちです。たしかに砂糖や甘い飲み物に含まれる「糖」はブドウ糖になるまでの分解速度が速いため、空腹時に摂ると血糖値を急激に上昇させて一時的に頭がさえた感じがすることがあります。しかし、血糖値が急に上がると、それを下げようと血糖値を下げるホルモンであるインスリンが通常よりも多く出て、血糖値が急降下します。そうすると眠気に襲われ、やる気を減少させてしまう原因にもなります。勉強を頑張らなくてはいけないというときに、これでは良くないですよね。
それに比べて、ごはんなどに含まれるでんぷんは、ゆっくりとブドウ糖に分解されて脳の働きを持続的に活性化させてくれます。
子どもたちの間食=「補食」と考え、特に、塾に行く前などは食事の一部として栄養を摂ることがとても重要です。
朝ごはんもおいしく食べられる環境作り
朝ごはんは1日のパワーの源。人間が1回の食事で体内に蓄えられるブドウ糖の量は約12時間分です。夕食をたっぷり食べたからといって、翌日のお昼までは持たないのです。
前日の夕食が遅かったからといって朝食を抜くことは厳禁です。反対に、朝ごはんが食べられないほどの夕食の量や内容ではいけません。子どもと一緒に食事について話をしてみるのもいいでしょう。
また、就寝が遅く登校ぎりぎりまで寝ているために朝ごはんが食べられないこともあるかもしれません。学校の予習・復習など塾からの帰宅後もやることが満載の中高生ですが、睡眠のリズムを整えて、できるだけ朝方にすることも「脳力」の発揮につながります。
子どもたちにとって、家族との時間や家でのリラックスタイムは翌日の活力です。
平日は忙しく家族がそろってごはんを食べることができなくても、週末は子どもの好きなごはんを作り、家族団らんの時間を過ごして、心のエネルギーをしっかりチャージさせてあげてくださいね。