美肌のための栄養学 今日からできる、肌悩み解決への第一歩

2025/06/10 掲載

肌の悩みは年齢や生活習慣によって変化するものですが、日々の食生活とも深く関わっています。
今回は、美肌を育むための栄養学についてご紹介します。

加齢による肌の変化

肌の構造と加齢に伴う変化について確認してみましょう。
表皮は皮膚の一番外側の層で、外部刺激や異物の侵入を防ぐバリア機能を持ち、真皮は表皮の下に位置する層で、皮膚の弾力性維持や栄養供給を担います。真皮の深部にはコラーゲンやエラスチンといった繊維が豊富に存在し、肌の弾力性を保っています。

加齢により、肌には以下のような変化が現れます。

  • 肌の水分量低下:
    セラミドやヒアルロン酸といった保湿成分が減少し、肌が乾燥しやすくなる。
  • ハリの低下:
    コラーゲンやエラスチンの減少により、肌の弾力が失われ、しわやたるみの原因となる。

  • 肌のターンオーバー周期の変化:
    肌の生まれ変わりのサイクルが遅くなり、古い角質が蓄積しやすくなる。
  • シミやそばかすの増加:
    紫外線の影響や肌のターンオーバーの遅延により、メラニン色素が蓄積し、シミやそばかすが目立つようになる。

遺伝的な要因によりシミ・しわのできやすさなどの個人差はありますが、生活習慣によっても肌老化は加速してしまいます。

肌の老化を加速させる原因とは

老化を加速させる大きな要因が酸化糖化です。この2つは相互に影響し合うため、どちらか一方だけに注意していても体内では酸化・糖化の両方が進行してしまいます。このため、両方の対策が必要です。

  • 酸化ストレス:
    体内で過剰に発生する活性酸素により細胞がダメージを受けるとコラーゲンの劣化などを引き起こし、肌の老化につながります。特に肌老化と関係が深いものが紫外線です。このほか、喫煙、過度な飲酒、睡眠不足、ストレス、大気汚染、激しい運動なども原因となります。
  • 糖化ストレス:
    体内で食事から摂った余分な糖質とたんぱく質が結合するとAGEs(終末糖化産物)という物質が生成されます。このAGEsは肌の黄ばみのほか、コラーゲンやエラスチンの劣化を引き起こし、しわやたるみの原因となります。

糖化については下記のコラムも合わせてご参照ください。
老化の原因「AGEs」を抑える食生活とは?

美肌をつくるための食事

美肌をつくるためには、まずは健康な体をつくるための食生活が基本となります。
1日3食、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事をとり、さらに美肌をつくるのに必要な栄養素としてコラーゲンやエラスチンを構成するたんぱく質と、その合成に必要なビタミン、ミネラルを十分に摂取しましょう。

また、抗酸化作用のある栄養素の摂取や、糖化を防ぐ食べ方を意識することが大切です。

【美肌づくり:基本の栄養素】

栄養素 効果 食品例
たんぱく質 肌、髪、爪などの材料となる 肉、魚、卵、大豆製品
ビタミンA 肌のターンオーバーを正常に保ち、乾燥やごわつきを改善する。植物性食品に含まれるβ-カロテンは体内でビタミンAに変換されて作用する。β-カロテンは抗酸化作用を持ち、活性酸素の発生を抑え、取り除く働きをする レバー、うなぎ、卵黄、にんじん、ほうれん草、小松菜など
ビタミンB2 脂質の代謝を促し、皮脂の過剰分泌を抑制する レバー、卵、納豆、モロヘイヤなど
ビタミンB6 たんぱく質の代謝に関わり、皮膚の新陳代謝を促進する 赤身の魚介類(かつお、まぐろなど)、赤身肉、鶏肉、バナナなど
ビタミンC 肌の弾力を保つコラーゲン合成を促進し、メラニン色素の合成を抑える。抗酸化作用があり過酸化脂質の生成を抑える ピーマン、ブロッコリー、じゃがいも、キウイフルーツ、いちごなど
ビタミンE 血行を促進する。強い抗酸化作用を持ち、ビタミンCと一緒に摂ることで相乗効果が期待できる アーモンド、アボカド、かぼちゃ、うなぎなど
オメガ3脂肪酸 炎症を抑え、肌トラブルを予防する 青魚(サバ・イワシ・サーモンなど)、植物油(えごま油、亜麻仁油)など

肌悩み別おすすめ栄養素

●シミ
抗酸化成分であるビタミンA、C、Eやフィトケミカルを摂りましょう。

※フィトケミカルとは植物が持つ色素や香りなどに含まれる化学成分の総称で、アントシアニンやイソフラボンなどのポリフェノール類や、β-カロチンやリコピンなどのカロテノイド類などがよく知られる成分です。
フィトケミカルについては下記のコラムも合わせてご参照ください。
アンチエイジングにも役立つ?カラフル野菜と果物の注目成分
●しわ
コラーゲン生成に必要なタンパク質、ビタミンCを摂り、糖化を防ぐ食習慣を意識しましょう。最初に野菜から食べる、朝食を抜かない、早食いしないといった日々の習慣も糖化予防につながります。
●くすみ
血行不良によるくすみには、ビタミンEや鉄分の摂取がおすすめです。黄ぐすみ予防には糖化予防の食習慣も見直しましょう。ターンオーバー遅延により透明感がない場合はビタミンAやビタミンB群を摂りましょう。
●毛穴
お菓子やジャンクフードからの糖質・脂質の摂りすぎに注意し、皮脂の過剰分泌を抑えるビタミンB2などのビタミンB群を摂りましょう。
●たるみ
たるみや輪郭のぼやけは顔の土台となる骨や筋肉が減ることも一因となります。骨の健康維持に必要なカルシウム、ビタミンD、マグネシウムや、筋肉維持に必要なたんぱく質も十分に摂りましょう。カルシウムが豊富な乳製品や、ビタミンD豊富な魚介類の摂取がおすすめです。

食事だけで必要な栄養素を摂るのが難しい場合はサプリメントを活用するのも一つの方法ですが、食事からの栄養摂取を基本として、サプリメントはあくまで補助的なものとして捉えることが大切です。特に脂溶性ビタミン(A、D、E、K)は過剰摂取による健康障害を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。

インナーケアで美肌をめざそう

高価な化粧品やエステなどのスキンケアも、肌をつくる材料が体の中に足りていなければ効果が半減してしまいます。日々の食事を栄養面から見直して、インナーケア、スキンケアの両輪で美肌を育み、理想の肌を目指しましょう。

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。