アンチエイジングにも役立つ?カラフル野菜と果物の注目成分

2019/02/12 掲載

美容やアンチエイジングのために野菜や果物をたくさん摂ると良いという話を
耳にしたことがある方は多いと思います。
野菜に多く含まれる栄養素として有名なのはビタミンやミネラル、食物繊維。
 
これらも確かに美容やアンチエイジングに役立ちますが、野菜の機能性成分である「フィトケミカル」も大きな働きを担っています。
今回は野菜の機能性成分「フィトケミカル」に焦点を当ててみたいと思います。
 
 

フィトケミカルとは?

フィトケミカルとは、植物が強い紫外線の害や虫などから身を守るために作りだした色素や香り、辛み、苦み、渋みなどの成分で、「フィト=植物」「ケミカル=化学物質」という意味です。
野菜や果物などに多く含まれますが、それだけでなく、豆類、いも類、海藻類、お茶、ハーブなどあらゆる植物性食品にも含まれています。
 
皆さんは「活性酸素」という物質をご存知でしょうか?
呼吸をしたり、食事をするだけでも体内で作られる物質で、体内に侵入した細菌などの異物を攻撃したり、体内の酸化反応を促したり、大切な役割を果たしています。
ある程度の量の活性酸素は体内で処理できるようになっていますが、増え過ぎてしまうと処理しきれなくなります。この活性酸素には強力な酸化力があるため、処理しきれなくなると、からだの細胞を酸化させ「サビ」のような状態に。これによって、加齢が加速したり、病気を引き起こすこともあります。
 
フィトケミカルは先述の通り、植物が身を守るために作りだした成分で、多くがこの活性酸素を取り除く働き=抗酸化力を持っていることから、アンチエイジングに大きな役割を果たすと考えられています。
フィトケミカルは現在までに約1500種類発見されています。今回はその中でも下図のような代表的な色素成分の働きを調べてみました。
 
 

1.赤の野菜&果物

リコピン→トマト、すいか、柿など※1、※2、※3

植物性食品に含まれる赤い色素成分のリコピンは抗酸化力が高く、βカロテンの2倍以上、ビタミンEの100倍以上ともいわれています。

βカロテンは体内でビタミンAに変換されますが、リコピンはビタミンAとしての働きは持たず、
そのまま体内に吸収されます。
 
熱に強く、油と一緒に摂ると吸収率が高まるので、スープやソースにして一緒に摂るのがおすすめ。
またトマトジュースなどに加工しても効力が持続することがわかっています。
すいかにはリコピンだけでなく、緑黄色野菜と並ぶほどβカロテンも多く含まれ、ダブルの抗酸化力が期待できます。
 
カプサンチン→赤唐辛子、赤ピーマンなど※1、※2、※3
βカロテン以上に強い抗酸化力があります。ちなみに名前が良く似ている「カプサイシン」もフィトケミカルの一種。アドレナリンの分泌を促すことでエネルギーの代謝を高め、脂肪の燃焼を促進するといわれています。カプサイシンも唐辛子に含まれている成分なので、ダブルの働きが期待できます。
 

2.黄色・オレンジ色の野菜&果物

αカロテン、βカロテン→緑黄色野菜※1、※2、※3
αカロテンはβカロテンよりも抗酸化力が強いといわれています。どちらも抗酸化作用があり、アンチエイジング、免疫力アップ、美肌にも良いといわれています。
 
ルテイン→緑黄色野菜、とうもろこしなど※1、※3
黄色い色素成分。目の老化を防ぐなど、目の健康に役立つといわれています。
 
クリプトキサンチン→柑橘類、柿、あんずなど※1、※3
オレンジ色の色素成分で、ビタミンAとしても働きます。体に長くとどまって目の老化を防ぐなどの働きもあるといわれています。
 
クルクミン→ウコン、カレー粉など※1、※3
ウコン(ターメリック)に含まれている黄色い色素成分。腸で強い抗酸化作用を持つ物質に変化します。肝機能の健康に役立つなどの働きがあり、断面が濃い黄色~オレンジ色の秋ウコンの方がクルクミンの量が多いといわれています。
 

3.緑の野菜&果物

クロロフィル→すべての植物※1、※3
クロロフィル(葉緑素)はすべての植物に含まれる色素成分で、植物内では光合成の中心的な
役割を果たしています。抗酸化作用、デトックス効果などが期待できます。
 

4.青、紫色の野菜&果物※1、※3

アントシアニン→ブルーベリー、ぶどう、赤たまねぎ、紫キャベツ
抗酸化作用があり、様々な病気の予防にパワーを発揮できるともいわれています。
実ではなく、皮に多いので、皮ごとしぼって作る赤ワインにも含まれています。
 
ナスニン→なす※1、※3
アントシアニンの一種であるナスニンはなすの青紫色の色素成分です。
 
 

野菜をちゃんと摂れていますか?

フィトケミカルをたくさん含む野菜を摂ると健康に良いということはわかっていても、実際に野菜はちゃんと摂れているのでしょうか?国民健康栄養調査からの結果から見てみましょう。
 
皆さんの年齢にあたるところを、ぜひ見てみてください。
“野菜をいかに食べていないか”をあなたも実感していませんか?
目標は1日350g。両手いっぱいにのるくらいが目安です。
 
皆さんの野菜の摂取量は1日どのくらいですか?まったく摂れていない人が急に1日350gを目指すのは中々難しいかもしれませんが、例えば外食で野菜の多いメニューを選ぶようにすることから始めてみるだけでも、野菜の摂取量が少しずつ増えていきます。
 
ただし、栄養素はチームで動くもの。野菜だけ食べていれば良いというわけではありません。
ごはんやパンなどの炭水化物を含む主食、肉や魚などのたんぱく質を含む主菜、野菜や海藻類、きのこなどのビタミン、ミネラルを含む副菜の3つのお皿を揃えて、からだの中でどの栄養素もしっかり働けるように、バランスの良い食事を目指しましょう!
 
(参考文献)
※1 野菜とくだもののパワー ファイトケミカルスできれいになる本  宮澤陽夫監修 祥伝社
※2 機能性野菜の科学 佐竹元吉著 日刊工業新聞社
※3 あたらしい栄養学 吉田企世子、松田早苗著  高橋書店
 
※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。