男性にも効果あり!HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)

2024/09/10 掲載

男性にも効果あり!HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)

ワクチンで予防できると言われている唯一のがん、それは子宮頸がんです。

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)は、女性では子宮頸がんの原因の99%を占めています。性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされています。また、肛門がん、膣がんの原因にもなっています。男性では咽頭がん、肛門がんなど、そして性感染症である尖圭コンジローマなど多くの病気の発生に関わっています。

国内で使用できるワクチンの種類

2価ワクチン、4価ワクチン、9価ワクチンの3種類

同じワクチンを一定の間隔をあけて1年以内に2回または3回接種します。

2価、4価…ウイルスの感染を50~70%予防できる
9価…ウイルスの感染を80~90%予防できる

国内でのHPVワクチンの接種状況

現在、小学校6年生から高校1年生までの女子が定期接種の対象で、積極的勧奨となっています。
2013年4月より定期接種が始まりましたが、2013年6月から2022年3月までは積極的な勧奨を差し控えていました。そのため、海外に比べ、日本国内でのHPVワクチンの接種率はまだまだ低い状態です(カナダやイギリス、オーストラリアなどの接種率は約80%)。

国内におけるHPVワクチンの接種率(3回)

日本では、毎年約11,000人が子宮頸がんになり、約2,900人が子宮頸がんで亡くなっています。また、子宮頸がんの好発年齢は30歳代から40歳代で、治療によって子宮を失い、妊娠ができなくなってしまう方も少なくありません。

ワクチン接種と検診

子宮頸がんはHPVワクチンと検診で予防することができます。また、検診だけでなくHPV保有検査も公的がん検診への導入が検討されています。

世界保健機関(WHO)は、2018年5月に「2030年までに子宮頸がん撲滅を加速させるための世界戦略」の声を上げ、 2020年11月に194カ国の決議により開始しています。
公衆衛生上の問題として排除されるとする患者数は女性10万人あたり4人以下/年、撲滅のためにはワクチン接種率で90%、検診率で70%を達成することが必要だとしています。

このような世界の動きに合わせ、日本でも2020年12月から男性の4価HPVワクチン接種が承認されました。
男性のHPVワクチン接種は任意接種のため、3回の接種は自費で3~6万円かかってしまいます。しかし、最近では小学校6年生から高校1年生までの男子への予防接種推奨のため、自治体による助成が広がっています。

ワクチン接種と検診

女性だけでなく男性もHPVワクチンを接種するメリットは、自身のHPV感染を防ぐだけでなく性交渉を通じてHPVをパートナーに感染させない、ということです。
「大切なパートナーを病気から守る」ことができるのです。

HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の詳しい情報は厚生労働省のホームページからご確認いただけます。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html

※ワクチンを接種することで副反応が起こる場合があります。必ず詳細を確認のうえ、接種しましょう。

【参考文献】
・国立研究開発法人国立がん研究センター 子宮頸がんとその他のヒトパピローマウイルス (HPV)関連がんの予防ファクトシート 2023公開
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2023/0602/index.html

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。