豆類の特徴を知って、上手に炭水化物制限!

2024/03/12 掲載

炭水化物制限などダイエットをされている方から、よく「豆類はごはんの代わりになりますか?」という質問をいただきます。ごはんを減らして、豆類を代わりに食べると栄養バランスはどうなるのでしょうか。

豆類にはいろいろな種類があり、含まれる栄養素も異なります。今回は「豆類」の栄養について考えてみましょう。豆類はごはんやパン、麺類と比べると、食物繊維やミネラルが多く含まれますが、たんぱく質や炭水化物の含有量は種類によって大きく異なります。

豆類の種類と栄養素

「豆類」を3つのグループに分けて考えてみます。

  • ①炭水化物グループ

    あずき・いんげん豆、ひよこ豆などの豆類は、ごはんやパンなどの約65%程度の炭水化物量を摂取しつつ、たんぱく質、食物繊維を摂ることができます。

    乾燥豆の重量の50%以上がでんぷんを主体とする炭水化物。
    たんぱく質:約20%、脂質:約2% あずき、ささげ、いんげん豆、えんどう、そら豆、ひよこ豆、レンズ豆など ※黄えんどう豆100%麺はこのグループ

  • ②たんぱく質グループ

    炭水化物の含有量が約30%と少ないため、ごはんやパンの代わりにはならないことが分かります。

    たんぱく質と脂質、炭水化物の割合がほぼ同じ。
    大豆:乾燥豆の重量の約30%がたんぱく質、約20%以上が脂質で大豆油の原料として広く利用されている

  • ③脂質グループ

    脂質の含有量が約50%と多く、摂りすぎに注意したいグループであることが分かります。

    落花生:脂質の含有率が約50%と極めて高く、たんぱく質は約25%

豆類と代表的食品の炭水化物含有量(可食部100g当たり/単位:g)

※「日本食品成分表2015」のエネルギーの算出方法に基づく成分(参考)

豆類を主食として毎日食べられる?

たとえば、ごはん1杯分(約150g程度)と同等のエネルギー量を摂るには「ゆでたあずき」ならごはん茶碗1.5杯くらい(約190g程度)、「ゆでた大豆」なら約145g、「ゆでた落花生」なら約80gです。
ここでちょっと“茶碗1.5杯分の「ゆでたあずき」がごはんの代わりに置かれた定食”を想像してみてください。私なら、1食分をなんとか食べられたとしても毎食は食べられないと思います。「大豆」「落花生」で想像してみても、毎日食べ続けられないと思いますし、食べられたとしても脂質が多くなり栄養バランスも崩れてしまいます。

やはり、ごはんなどの穀類をすべて豆類に置き換えるのは無理がありそうです。
そこでおすすめは、豆ごはんなど穀類と豆類を組み合わせて食べること。炭水化物の摂取量を抑えつつ、たんぱく質はもちろんのこと不足しがちな食物繊維とミネラルも摂取できます。豆類に含まれる食物繊維で食後高血糖を抑制できることから、良い組み合わせではないでしょうか。
ちなみに豆類の目標摂取量は1日に100g以上と設定されているので、積極的に摂りたい食品です。

  • 「①炭水化物グループ」の豆類は、ごはんやパンなどに比べ約65%程度の炭水化物量を摂取できます。ただし、豆類のみで必要量を摂取し続けるのは食べやすさや価格面からハードルが高そうです。炭水化物のエネルギー比率が40%未満でも70%以上でも50-55%に比べて死亡リスクが高まるため、適度に食べることが大事です(※1)。減らし過ぎは逆効果。

区別できますか? 炭水化物と糖質

炭水化物=「糖質 (+糖類)+食物繊維」

栄養成分表示でも、近頃下図のような内訳表示を見かけるようになりました。

2015年に世界保健機関(World Health Organization, WHO)が「糖類の摂取量を総エネルギー摂取量の10%未満にすべきである。5%未満に減らすことができれば、さらなる健康効果が期待できる)」というガイドラインを発表しました。WHOが摂取量の制限をするのは糖類のうち単糖類と二糖類のショ糖(砂糖)に限り、主に加工食品や清涼飲料に加えられる砂糖のほか、蜂蜜や果汁飲料などに含まれます。未加工の青果類や牛乳に含まれる糖分は対象外です。

WHOは、糖類の摂取量を減らすことを提唱しており、ごはん(糖質)の摂取量を制限すべきと言っている訳ではないので注意が必要です。

炭水化物は、ほどほどに

「主食のごはんを抜いたり、糖質制限して体重管理を頑張っています」という話をときどき聞きます。
ところが、よく話をきいてみると「実はガマンしすぎて、その反動で菓子パンやアイスをたくさん食べてしまって……」という現状をお話ししてくれたりします。糖質を制限しすぎた反動で糖類(お菓子や菓子パン、ジュースなど)を食べたくなってしまうようです。これは血糖値の急上昇と急降下を繰り返すため、非常に体脂肪を蓄えやすい食べ方です。それなら1日3回、適量の主食(ごはん・パン・麺類など)を定期的に食べた方が断然太りにくいです。ごはんやパンなどの炭水化物を太る原因としてしまわないように、「食後高血糖」にならないようにすることがポイントです。

炭水化物を最適化して食欲が安定する食べ方を身につけると、ごはんやパンをおいしく食べつつ太りにくい! を実現できると思います。

こちらの記事も参考にしてみてください。

【参考文献】
※1 保健指導リソースガイド
The Lancet Public Health, Volume 3,Issue 9,Pages e419-e428


・健康日本21
https://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/about/kakuron/mokuhyo/menu.html
・農林水産省 見直そう!豆のチカラ
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2102/spe1_01.html
・公益財団法人日本豆類協会
https://www.mame.or.jp/eiyou/eiyou.html

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