子どもが感染症にかかったら

2023/09/12 掲載

新型コロナウイルス感染症が5類感染症となり、人の動きも活発化し、満員電車などの日常も戻ってきています。

今まで感染予防をしっかりとしてきたがゆえに免疫獲得が遅れてしまったのか、冬に流行が多いRSウイルスが梅雨時まで流行が続き、夏に流行することが多いヘルパンギーナが梅雨時からすでに大流行するなど、子どもたちの感染症が急増しています。私も一児の母ですが、我が子が感染症になった時の心配や不安はとても大きかったので、情報共有を兼ねてお伝えさせていただきます。

解熱剤の使用方法と目的

皆さんは、解熱剤の使用方法や使用する目的を理解していますか?
私は「解熱剤を使用すれば平熱になる」と思い込んでいました。でも実際は、平熱まで下がる時もありましたが、毎回平熱になるわけではありませんでした。

    子どもの解熱剤の使用について
  • 解熱剤は、原因とは関係なく熱を下げることが目的なので、使用方法は守りましょう。原因を取り除くことを第一に考えましょう。
  • 解熱剤は平熱にするためのものではありません。
  • 熱があっても、食事や水分が摂れていて、睡眠もとれるのであれば使用しなくても大丈夫です。
  • 水枕・氷のうなどでからだを冷やしてあげましょう。嫌がる場合は無理に使う必要はありません。
  • 元気がなく辛そうな時は処方されたものを正しく使用して、少し熱が下がっている間に水分補給や摂れる形態で栄養補給をし、睡眠をとって体力を回復させましょう。
  • 咳がひどくて薬を飲ませてもすぐに吐いてしまうような場合は、かかりつけ医に状況を伝えて坐薬にしてもらえないか相談してみましょう。

体調不良の時の栄養と食事

病気からの回復を早められるよう、子どもが食べやすい食事形態や量を意識しましょう。
感染症や体調不良が続くと食事量が減り、見た目にもわかるくらい体重が減ってくることもありますが、回復したら徐々に戻ってくるので、まずは、症状に応じた対策を行いましょう。

【症状別の対処法】

  • 熱がある時

    脱水に注意し、こまめな水分補給を意識しましょう。オシッコの色が濃くなる、オシッコの量が減るのが脱水の目安です。
    食欲があれば、エネルギーやたんぱく質補給ができるような、たまご粥、中華粥、煮込みうどんなどがおすすめです。食欲が出てきても、完治するまでは脂っこい食べ物や砂糖がたくさん使われているような食品は胃腸に負担をかけるので控えめに。
    あまり食欲がないようであれば、ヨーグルト、りんご果汁、乳幼児用のジュレなどでしっかりと水分と糖分の補給をして、脱水の予防と回復のためのエネルギー補給をしておきましょう。

  • 軽度の下痢や嘔吐がある時

    乳幼児の場合、母乳栄養は脱水からの回復にも繋がるため、中断することなく継続して問題ありません。
    育児用ミルクについては、規定量で調乳したものを与えて問題ありません。
    離乳食や幼児食についても、脱水が改善し、顔色や機嫌が良い状態で食べられそうであれば、消化の良い物を少量ずつ、食事の回数を増やしてあげて様子を見ながら徐々に通常の食事に戻していきましょう(離乳食の場合は、一段階前の食事形態に戻すと食べやすい場合があります)。

    軽い下痢の時
    脱水に注意し、こまめな水分補給を意識しましょう。
    例:小児用イオン飲料や経口補水液、野菜ジュース、少し薄めたみそ汁の上澄み、具材の少ない野菜スープなど

    小児用イオン飲料や経口補水液を嫌がる場合は、塩分を加えた重湯、お粥、煮込みうどん、野菜スープなど食べられそうなもので様子をみてみましょう。

    嘔吐の時
    たくさん吐いたからと焦って一度にたくさん飲ませたり、酸味のあるジュース(柑橘系など)を飲ませたりすると、嘔吐を誘発する場合があるので気を付けましょう。
    また、嘔吐してすぐに飲ませると吐き気を誘うことがあるので、30分くらい様子をみましょう。吐き気が落ち着いていたら、小児用イオン飲料や経口補水液を小さじ1杯程度与え、嘔吐しないか数分確認後また少しずつ飲ませていきましょう。

    イオン飲料を与えるタイミング
    発熱や下痢、嘔吐などで脱水症状がみられる場合はイオン飲料の活用を検討しましょう。
    ただし、熱が多少あっても、機嫌がよく、ミルクや水・お茶での水分補給が出来ていて、離乳食や塩分を含んだ重湯、お粥、野菜スープなどを摂ることが出来る場合は、無理にイオン飲料を使う必要はありません。
    少しの熱でも脱水への心配からイオン飲料を優先して与えてしまうと、イオン飲料だけでお腹がいっぱいになり、本来飲むはずだったミルクや離乳食を食べられなくなるということが考えられます。このように悪循環になってしまうこともあるため、子どもの体調や食欲等に合わせて判断ができると良いですね。
    高熱で飲食があまりできないような場合は、イオン飲料を活用するなどして脱水にならないよう注意しましょう。

    ※飲み食いができない状態が続き、下痢や嘔吐の回数が多い場合は早めに小児科を受診しましょう。

  • 口の中に水疱がある時

    痛みで食欲が落ちるため、あまり噛まずに飲み込めるような喉越しの良いものがおすすめです。

    例:お粥、ヨーグルト、プリン、ゼリー、乳幼児用のジュレなど
    酸味や塩味は刺激となり痛みが出る場合があるので、酸味の少ない物や、料理は普段より味付けを薄くしましょう。

子どもの水分補給にジュレやスムージーをあげても良い?

ここで少し余談ですが、体調不良の時に水分補給やエネルギー補給を目的として、乳幼児用のジュレを飲ませていたら、回復後も欲しがるようになってしまっているご家庭はありませんか? 周りでも良く聞くのですが、まさに少し前のうちの状況です。

寝る前にも水分補給はするのですが、体調が回復して元気になってからもしばらく続いた夜泣きの時、ジュレを欲しがる「くれくれ攻撃」が激しく、あげるとすぐにまた寝てくれるのであげてしまいました。置いてある場所も覚えているので、自分で取りに行くこともしばしば。起床後も喉が渇いているので、欲しがることが多かったです。
虫歯のリスクは防ぎたいけれど、大人以上に脱水になりやすい子どもの脱水も心配……。

そこで、健診の時に医師、保健師、歯科衛生士、栄養士の方に質問をしました。

「水分補給として、水や麦茶以外に乳幼児用のジュレやスムージー(原材料は野菜と果物のみ)を飲んでいるのですが、このまま続けても大丈夫ですか?」

医師、保健師、歯科衛生士の皆さんはほぼ同意見。

・一時的なものもあるだろうから大量に飲んでいるのでなければ大丈夫
・飲むタイミングや量に気を付けていれば大丈夫
・歯磨きをしっかりしていれば大丈夫
・夜中に欲しがってあげるのであれば、朝ごはん後にも歯みがきをする

栄養士さんからは、糖分が含まれているので虫歯の心配もあるし、食事量に影響してしまうこともあるので、早めにやめさせるためのアドバイスがありました。

・「元気になったから今はないよ~」と冷蔵庫の中を見せて入っていない状態を見せる
・保育園では基本は水や麦茶のみで水分補給ができているのだから、水や麦茶を飲めていれば脱水はそこまで心配しなくても大丈夫(排尿状況などでも確認可能です)

うちの場合ですが、保管場所を変更し、絶対にダメ!とはせずに「元気な時は食事と水やお茶で水分補給だね~」と伝え続けていたところ、今では元気な時にジュレを欲しがることはなくなりました。
私と同じような不安や心配を抱えている保護者の方、出来ることをしつつ、一時的なものもあると思うので、お子さんと保護者の方の無理のない範囲で取り組んでいきましょう。

もしもに備えた準備やシミュレーションを

最後に、まだ言葉で上手く伝えられない時期の子どもの病気は特に不安が大きいと思います。子どもの体調で何か不安があれば、かかりつけ医の先生や「こども医療でんわ相談#8000」、各自治体の相談窓口などを利用してみましょう。日本小児科学会の『こどもの救急』では、該当項目をチェックすることで、夜間や休日などの診療時間外に病院を受診するかどうかの判断の目安が提供されています。

また、朝や夕方以降もオンライン診療や往診で受診ができるアプリなどもあるので、もしもの時はどこに連絡をするのか、万が一に備えて準備やシミュレーションをしておけると安心ですね。

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。