管理栄養士がアドバイス!アイス選びのポイント

2022/08/09 掲載

管理栄養士がアドバイス!アイス選びのポイント

毎年8月7~8日は「立秋」と呼ばれ、暦上では秋の始まりといっても、実際には、夏真っ盛りでまだまだ暑さの厳しい日が続いていますね。
そんな暑い日に食べたくなるのが、冷た~いアイス! 新商品も続々登場するのでつい買ってしまいますよね。

今回は、そんなアイスを選ぶ際のポイントについて管理栄養士の目線からお伝えします。

アイスクリーム類とは?

アイスクリーム類の分類を定めているのは厚生労働省。
ちょっと硬い表現になりますが「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」で、“乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結させたものであって、乳固形分3.0%以上を含むもの(発酵乳を除く)をいう”と決められています。

アイスクリームの分類
※氷菓とは乳固形分がラクトアイスより低いか入っていないもの

  アイスクリーム アイスミルク ラクトアイス 氷菓
乳固形分 15.0%以上 10.0%以上 3.0%以上 -
乳脂肪分 8.0%以上 3.0%以上 - -

「厚生労働省 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」より一部引用

上記のとおり、乳固形分や乳脂肪分がほとんど含まれないアイスキャンディーや、果物がほとんどのシャーベットは「氷菓」に分類され、アイスクリーム類ではありません。

栄養価の違いは?

濃厚な味わいの「アイスクリーム」から、アイスキャンディーやシャーベットなどさっぱりした「氷菓」まででは、栄養価はどう違うのでしょうか? いわゆるアイスの栄養価を比較してみましょう。

アイスの栄養価
※可食部100g当たりに含まれる成分

  アイスクリーム アイスミルク ラクトアイス 氷菓
(ミルク味)
エネルギー(kcal) 178 167 217 128
たんぱく質(g) 3.9 3.4 3.1 0.9
脂質(g) 8 6.4 13.6 1
炭水化物(g) 23.2 23.9 22.2 28.7

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より

乳脂肪分が多く含まれるアイスクリームはエネルギーや脂質が多いイメージですが、意外にもラクトアイスの脂質含有量が多いことがわかります。
ラクトアイスには、口当たりをよくするなどの理由から「植物性油脂」が含まれるケースが多いため、アイスクリームなどと比べて脂質が多くなっています。さっぱりした味わいですが、脂質を控えたいときには商品の栄養成分表示をよく確認してから選ぶとよいでしょう。

栄養価の比較で、たんぱく質に注目してみましょう。アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスのいずれも、100g食べるとたんぱく質が3.0g以上摂取できますね。
これは、牛乳やヨーグルトとほぼ同じです。おやつとして、栄養補給の目的で冷たくて口当たりの良いアイスクリームをとるというのも良い方法です。特に食が細くなってきたり、体調不良で十分な食事が食べられない時は高たんぱく、高カロリーの補食にもなりそうですね。

氷菓は主に水分と糖分からできているため、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスに比べると脂質やたんぱく質が少なく、エネルギーも少ないですね。
ただ、思っているよりもカロリーが低くないと感じた方もいるのではないでしょうか。氷菓を含むアイス全般は、冷たい温度で甘味を十分感じられるように、糖分が多く含まれているケースが見られます。氷菓は、脂質がほとんど含まれていませんが、カロリーが気になる方は、栄養成分表示を確認することもアイスを選ぶ際のポイントです。

アイス選びのポイントまとめ

  • おやつの適量、1日150~200kcalの範囲で
    カロリーオーバーしそうなときは翌日のおやつを我慢!
  • 栄養価、原材料表示を確認
    種類によって、中身や味わいが異なります。
  • 食が細くなってきたり、栄養不足を感じる時は高栄養のものを意識!

アイスが売れる気温と場所

さて、ここからはアイスに関する余談をお届け。
暑い日においしいアイスですが、暑ければ暑いほど消費量が増えるかというとそうではなさそうです。人は22~23℃を超えると「アイスを食べたい」と思うようになり、最も売れるのは25~27℃といわれています。

管理栄養士がアドバイス!アイス選びのポイント

※1

ちなみに、日本一アイスを食べている都市は意外にも「金沢市」。※2
データがある直近10年で、6回も1位となっています。所説ありますが、金沢は昔から菓子を楽しむ生活スタイルがあることや、7月~8月の気温がちょうど前述の25~27℃前後であることなどが挙げられます。

一方、消費の少ない都市はこちらも意外な「那覇市」。
那覇市は、直近10年のうちで4回消費の少ない都市の1位となっています。気温が30℃を超えると「アイスクリーム」よりも「かき氷」がよく売れるそうですので、沖縄ではアイスクリームよりもさっぱりした味わいのものがよく売れているのかもしれませんね。

購入前に栄養成分表示を確認

日本アイスクリーム協会による「好きなアイスクリームのフレーバー」調査では、1999年の調査開始以来「バニラ」が不動の1位を保ち続けているのだそうです。
アイスの好みは人それぞれで、「量は少しでいいから、くちどけがクリーミーで濃厚な高級アイスが好き」という方や「さっぱりした大き目のアイスをたっぷり食べたい」という方、「こたつで食べるアイスが最高!」と、シチュエーションにこだわる方もいるでしょう。

暑さのあまり衝動的に購入してしまうことも多いアイスですが、購入前に栄養成分表示を見る癖をつけると良いかもしれませんね。

【参考文献】
※1 FoodWatchJapan:気温・湿度・風などの気象と売れる商品の関係は?
https://www.foodwatch.jp/editorial20130806
※2 日本アイスクリーム協会:家計調査実績
https://www.icecream.or.jp/iceworld/data/expenditures.html

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。