強い日差しにご用心!「日焼け」のお話

2012/03/30 掲載

皮膚の老化には2種類ある?!

みなさん、皮膚の老化には2種類あるというのはご存知でしょうか。内因性の老化と外因性の老化です。内因性の老化とは自然老化といわれ、加齢により細胞周期などの生理学的機能が低下することで生じる表皮の薄化やたるみなどで、予防は困難です。外因性の老化とは光老化といわれ、紫外線に暴露されることで細胞が損傷を受けてメラニンが生成されることによるシミや、コラーゲン分解物質の発現が亢進されることによるシワなどがあげられます。(自然老化と光老化の差が知りたいときは、腕の内側など太陽光のあたらない場所と、顔や手の甲などの太陽光がよくあたる場所を比べてみて下さい。)
 

紫外線もイロイロ

紫外線(UV)は、可視光より短くX線より長い波長をもつ電磁波です。比較的波長が長い近紫外線の中でも、波長が長い(可視光に近い)順にUV-A(波長:315-400 nm)・UV-B(波長:280-315 nm)・UV-C(波長:100-280 nm)と分類されます※。地球には太陽から紫外線が降り注ぎますが、波長の短いUV-Cはオゾン層を通過できず、地上まで達する紫外線はUV-AとUV-Bです。そして、同様に波長が短いためUV-BはUV-Aの10分の1程度の量しか地上にはきません。しかし、UV-BはUV-Aより大きなエネルギーを持ち、UV-Aの1000倍以上の有害作用を持つといわれます。また、その波長の違いのため、UV-AはUV-Bより深く到達します。このため、UV-AとUV-Bが皮膚に及ぼす作用は異なります。 ※国際照明委員会による分類。


 

サンタンとサンバーン?!

紫外線がヒトにもたらす作用として、よく知られているものが日焼けです。一概に日焼けと言っても、サンタン(suntan)と、サンバーン(sunburn)があります。

サンバーンは、紫外線を浴びた直後に赤くなっている状態です。UV-B暴露により、表皮の角化細胞で血管拡張物質が生成されます。それが真皮の血管を拡張させて血流量が増え、皮膚が赤く見えます。また、紫外線により表皮や一部真皮の細胞遺伝子が傷つけられることでも同様にサンバーンが起こります。



サンタンは、紫外線を浴びて数日経ってから褐色になった状態です。表皮基底層には色素細胞(表皮全体の数%)が存在します。UV-A暴露により人体の色素であるメラニンの生成が促進されます。また、UV-Bが角化細胞にはたらいたときの放出物質によっても、色素細胞が刺激されメラニンが生成されます。このメラニンが周辺角化細胞へ広まり皮膚に色がつきます。メラニンは色をつけることで表皮細胞の核を守るはたらきをし、細胞遺伝子に傷が付くことを防ぐ役割をしています。(メラニンには黒系と橙赤系の2種類があって、人種・個人によってそのバランスが異なります。)  

 

日焼けのしやすさには性別や年齢も関係が!

日焼けのしやすさには個人差がありますが、性差もあるそうです。男性は女性より比較的少ない紫外線量で日焼けをします。また加齢とともに日焼けのしやすさも高くなります。60歳以上では、15歳以下の3分の2の量の紫外線でも日焼けが始まります。また地域(緯度)や季節、時間帯によって、紫外線の量が変わってきます。年間総量として、沖縄は北海道の約2倍になります。

日焼けは紫外線の急性的な影響ですが、長年にわたり紫外線をあびることで慢性的な影響も出てきます。それが、シミやしわ、たるみです。紫外線が真皮まで届くと皮膚の弾力の元となるコラーゲンを分解する酵素が生成され、長期的に肌のプルプル感を奪い、同時にシワの形成が促されます。紫外線は遺伝子に損傷を与えます。メラニンを生成する色素細胞の遺伝子に変異が生じたり,角化細胞の遺伝子に異常が生じて色素細胞が刺激されることで,過剰にメラニンがつくられ代謝が間に合わなくなることがシミの原因となります。さらに、遺伝子が傷つけられたことによって細胞が間違ったタンパク質を作ってしまうことがあります。これが皮膚ガンにつながります。

日焼けって、カラダをまもるために必要な機能ですが老化を促進するもの。しかも、その影響は蓄積します。未来の自分(大げさ??)のためにも、長袖の服や帽子、日焼け止めなどによる紫外線対策をお勧めします!

(参考資料:市橋正光「紫外線Q&A」シーエムシー出版、環境省 ホームページ、独立行政法人 国立環境研究所地球環境研究センター ホームページ)

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。