更年期ジェットコースターを乗りこなし、自分らしく輝くヒント

2026/01/13 掲載

更年期は、女性なら誰でも経験する自然なライフステージです。しかし、この時期に心とからだが急降下したり急上昇したりする「ジェットコースター」のような不調に、戸惑い、苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。
更年期を「ただ耐え忍ぶ時期」ではなく、「自分を見つめ直し、さらに輝くための準備期間」にするためのヒントをお届けします。

更年期体験記:真っただ中の「トホホ」な毎日

実は、筆者(医療専門職)も50代前半、更年期真っただ中です。専門家としての知識があっても、自分のからだの変化には戸惑うばかり。

私の場合は、まず関節のトラブルが続出しています。「肩が痛い」「膝がきしむ」といった具合で、「痛たたた…」と口にしながら日常を過ごしています。家族からは「また痛いの?」と冷たい視線を浴びることも。トホホ…な毎日です。
さらに、イライラやホットフラッシュ、夜間に何度も目が覚める等も経験しました。これらの不調は、ずっと続くわけではなく、仕事や家庭のストレスなどが重なって「しんどい」と感じたときに、まるで追い打ちをかけるように症状が襲ってきました。「もうやめて~!」と叫びたいような状態です。

更年期ジェットコースター

  • ● イライラ期:ささいなことが気になり、イライラが増幅し、周りに当たり散らしたくなる。
  • ● 回復期:しばらくして落ち着くと、症状も和らぎ、温和な自分に戻る。

まさに、ホルモンに振り回される「ジェットコースター」に乗っている気分です。その際は医療機関に相談して漢方薬を処方してもらい、更年期というジェットコースターをなんとか乗りこなしています
更年期症状は、症状もその重さも人によって違います。私自身も、理屈通りにはいかない更年期の難しさを専門職として痛感しているのですから、悩んでいるのはあなた一人ではありません。

更年期って、いつから、どんなことが起こるの?

更年期とは、閉経(月経が来ない状態が12カ月以上続いた時点)を挟んだ前後10年間を指します。日本人女性の閉経年齢の平均は約50歳なので、一般的には45歳頃から55歳頃までが更年期にあたります。
この時期、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に減少することで、心とからだにさまざまな変化が現れます。これが「更年期症状」です。

カテゴリ 具体的な症状の例
血管運動神経症状 ほてり(ホットフラッシュ)、異常な発汗、動悸、息切れ 等
精神神経症状 イライラ、不安感、抑うつ、不眠、記憶力低下 等
その他 肩こり、頭痛、腰痛、手足のしびれ、関節痛、疲れやすい、皮膚や粘膜の乾燥 等

更年期症状のメカニズム

女性ホルモンは、脳の視床下部からの指令により卵巣から分泌されます。視床下部はさまざまなホルモンの分泌をコントロールするとともに、体温調節や呼吸、消化機能の調節、精神活動などを司る自律神経のコントロールセンター。ところが、卵巣の機能が衰えると、脳がいくら「ホルモンを出せ」と指令を出しても分泌されません。すると、脳がパニックを起こして通常の何倍もの指令を出すために、異常な発汗、イライラ、めまいなどの症状があらわれます。

更年期ジェットコースター

更年期症状の発現要因

更年期は、仕事や子育て、親の介護など、人生の大きな役割を担う時期と重なりやすいのも特徴です。図のように、更年期の不調はホルモンや加齢による変化、心理的な要因、そして仕事や家庭などの環境要因が複雑に絡み合って現れます。これらのつらさは、あなたが「頑張りすぎている」サインかもしれません。 心とからだの声に耳を傾け、少し休む時間を作ってみましょう。

更年期ジェットコースター

家庭・職場での理解のために

更年期の不調は、見た目では分かりにくいため、周囲の理解を得にくいことがあります。一人で抱え込まず、時には助けを求めることも大切です。

家族へ:体調が不安定なことや、疲労感や肩こりなど目に見えない不調があることを伝え、家事や育児・介護などの分担を見直してもらいましょう。

職場へ:信頼できる上司や同僚に相談し、業務調整や休憩の取り方について理解を求められる環境があるか確認してみましょう。

自分を大切にするセルフケアと治療法

不調を感じたら、まずは「自分のからだの声に耳を傾ける」ことが大切です。予防と対応方法をご紹介します。

【1. いますぐできるセルフケア】
1. 規則正しい生活と栄養バランスの取れた食事:
エネルギー、脂質、骨の代謝も変化し、栄養が過剰あるいは欠乏状態になりやすく、心身の健康バランスをくずしやすくなります。栄養バランスのよい食事をとりましょう。特に、骨粗しょう症の予防に不可欠なカルシウムやビタミンDを積極的に摂りましょう。
2. 適度な運動:
適切な運動習慣が更年期にも有効であることが明らかになっています。気分転換や骨粗しょう症の予防にもなります。ウォーキングやヨガなどがおすすめです。
3. 質の良い睡眠:
ぬるめのお風呂に入る、寝る前のスマートフォン操作を控えるなど、リラックスできる時間を作りましょう。
4. 趣味や交流でリフレッシュ:
ストレスを溜めないことが、更年期症状の緩和に繋がります。
【2. 我慢せずに医療の力を借りる】
セルフケアだけでは改善しない場合や、日常生活に支障をきたすほど症状が重い場合は、専門家への相談をためらわないでください。
1. ホルモン補充療法(HRT):
減少したエストロゲンを補う治療法です。ホットフラッシュなどの更年期症状に高い効果が期待できます。
2. 漢方薬:
一人ひとりの体質や症状に合わせて、様々な不調を和らげます。
3. 向精神薬:
抑うつや不安などの精神症状が強い場合に用いられることがあります。
これらの治療法は、婦人科などで相談し、メリットとデメリットを理解した上で、自分に合ったものを選びましょう。
【3. 支え合うことの大切さ:ピアサポート】
同じ経験を持つ人と話すことは、大きな安心感と心の支えになります。これをピアサポートと呼びます。
「みんなも同じなんだ」「そういう乗り越え方があるのか」と知ることで、孤独感が解消され、前向きな気持ちになれます。自治体や医療機関が開催する更年期に関する講座や、オンラインでの交流なども活用してみましょう。

新しいスタートライン

更年期は、からだの「変わり目」の時期ですが、それは同時に「自分を見つめ直し、大切にする」ための新しいスタートラインでもあります。不調と向き合い、適切なケアやサポートを受けながら、自分らしく、のびのびと健やかにこの時期を乗り越えていきましょう。

不安なことや気になることがあれば、婦人科やかかりつけ医に相談することをおすすめします。

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。