つけない!ふやさない!やっつける!お弁当の食中毒予防

2024/07/09 掲載

夏本番前から連日暑さが続く中、「じめじめした季節は食中毒に気を付けないと」と思っている方はいませんか?

月毎の食中毒発生状況

近年では、夏場の細菌性食中毒に加えて冬場のウイルス性食中毒も増え、年間を通して食中毒への対策が必要です。そのうえ、お弁当は作ってからすぐには食べないのでちょっとした工夫が必要です。

厚生労働省 食中毒統計資料より(※1)

食中毒予防の三原則

食中毒予防では、食中毒菌をつけない!ふやさない!やっつける!の三原則が大切です。それぞれ、どんなことに気をつけるべきか確認していきましょう。

つけない!

  • ・手指をきれいに洗ってから調理する。
  • ・肉や魚介類、卵、泥の付いた食材に触れた後は、入念に手を洗う。
  • ・調理道具はきれいに洗って、しっかり乾燥させたものを使う。アルコール除菌スプレーの活用もおすすめです。
  • ・まな板は食材ごとに使い分ける。または、こまめに洗いましょう。
  • ・お弁当箱、シリコンカップ、ピックなどは細かな部分まできれいに洗い、十分に乾かしてから使用する。夏場など特に心配な時期は、カップは使い捨てのものが安心です。
  • ・調理後の食材は、素手で触らないように菜箸や使い捨ての手袋を使う。おにぎりはラップで包んで握りましょう。

ふやさない!
食中毒菌が増える条件:水分・栄養・温度

  • ・汁気はよく切る。かつお節やすりごまで水分を吸わせるのも効果的!
  • ・冷やしてから詰める。お弁当箱に詰めてから冷ますのではなく、おかずごとに冷ましてから詰めましょう。
  • ・涼しいところに保管。保冷材や保冷バッグを活用しましょう。
  • ・なるべく早く食べる(調理してから6時間以内)。
  • ・市販の抗菌シートを利用する。

やっつける!

  • ・調理時の十分な加熱。
細菌・ウイルス 加熱のめやす
<細菌>
サルモネラ菌
カンピロバクター
腸管出血性大腸菌 など
75℃で1分以上の加熱
<細菌>
セレウス菌
ウエルシュ菌
調理後すぐに冷却
→芽胞をつくってしまうと100℃で1時間の加熱でも死滅しない
<ウイルス>
ノロウイルス など
85℃~90℃で1分30秒以上加熱

ひき肉やゆで卵、スクランブルエッグなどはしっかり火が通ったことを確認しましょう。

お弁当作りの疑問にお答え!

さて、ここからはお弁当作りの疑問にお答えしていきたいと思います。

昨晩のおかずをそのまま入れてもいい?
基本的には、前日のおかずや作り置きのおかずはおすすめできません。
でも、忙しい朝に全部作るのは難しい、週末にまとめて準備している、という方も多いでしょう。

ふやさない!
まとめて作ったおかずは、1回分ずつカップに小分けにして密閉した容器に入れて冷凍しましょう。

やっつける!
必ず電子レンジなどで加熱してから使いましょう。

温かいままお弁当の蓋を閉めた後、保冷材でしっかり冷やせば大丈夫?
温かい状態で蓋をしてしまうと、蒸気がこもって水分が発生してしまいます。また、保冷材だけではお弁当の中心までは冷えないため、過信してはいけません。

ふやさない!
温かい状態で蓋をしてしまうと、食中毒菌が最も増殖する水分・栄養・温度の3つの条件がそろってしまいます。冷ます時間があまりないときでも、網にのせて冷ますと上下から冷めるので短時間で詰めることができます。

塩を多めにつければ、おにぎりを素手で握ってもいい?
しっかり手洗い、アルコール消毒をしていても、手指に見えない傷があると食中毒菌である黄色ブドウ球菌が多く繁殖しています。この黄色ブドウ球菌は塩分濃度が10%以上でも増え続けるため、おにぎりに対する塩分では、到底太刀打ちできません。

つけない!
おにぎりは、十分にごはんを冷ましてからラップやビニール手袋をして握りましょう。手袋をしているときでも、顔や髪などを触らないようにしましょう。

彩りもいいし、そのまま食べられるので、レタスをおかずの仕切りにしていますが、いいですか?
レタスなど生野菜はそのまま入れると水分が出るため、バランやカップを利用します。

ふやさない!
生野菜はサラダとして別の容器に入れたり、軽く塩を振って水分を切ってから使うことをおすすめします。ミニトマトも切ってから詰めると水分が出てしまうため、へたを取って丸ごと使いましょう。

食中毒予防には、つけない!ふやさない!やっつける!の三原則がもっとも大切ですが、免疫力が下がると少しの食中毒菌にも侵されてしまいます。日々の食事や運動、睡眠、そしてストレスを溜めない生活で菌に負けないからだづくりを心がけましょう。

【参考文献】
※1)厚生労働省 食中毒統計資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。