知っておきたい!男性の更年期
2023/07/11 掲載
「更年期」と聞くと女性特有のものとイメージする方が多いかもしれませんが、男性にも「更年期」があり、更年期症状や更年期障害を発症することがあります。
病気でもないのに「なんとなく不調」「突然のほてりや発汗」などが続く場合、男性更年期のトラブルかもしれません。体調不良があっても、男性はなかなか更年期症状・更年期障害だと気づきにくいものです。
厚生労働省が行った調査によると、男性更年期障害質問票(AMSスコア)で軽症以上の点数だった人の割合は、40歳以上で3割~4割以上を占めています。
男性ホルモンの変化
男性の場合は、女性のように明確なからだの変化(女性ホルモンの急激な減少や閉経)があるわけではありません。30歳以降に男性ホルモンが減少し始め、加齢とともに徐々に減少しますがその変化は穏やかです。男性ホルモンの減少の速さや度合い、時期は個人差が大きく、女性と似た更年期症状が男性では40歳代以降どの年代でも起こる可能性があります。
また、過労やストレス等により男性ホルモンが急激に減少することもあります。男性ホルモンの減少によるものを「加齢性腺機能低下症」、または「LOH症候群」とよんでいます。
例えばこんなケースも…
Aさん (40代/ビジネスパーソン) |
Bさん (70代/自営業) |
---|---|
オーバーワークが続いて、疲労が蓄積し睡眠不足とストレス過多に 更年期障害を発症 |
今もバリバリ現役で仕事に専念 更年期障害とは無縁 |
役職定年などにより自分らしく働くことができなくなったり、リタイアなどで社会とのつながりがなくなったりすると、男性ホルモンが急激に減少することがあります。
男性ホルモンは別名「社会性のホルモン」とよばれることがあります。男性ホルモンは、生活で満足感の得られる状態であれば分泌量が増える可能性があり、周りの環境からの過剰なストレス受ける状態だと激減する可能性があります。
男性ホルモンの変化
男性ホルモンの減少により、からだとこころで様々な症状が現れます。
からだの症状 | こころの症状 |
---|---|
・筋力の低下、筋肉痛 ・疲労感 ・ほてり、発汗 ・頭痛、めまい、耳鳴り ・性機能低下、勃起障害 ・頻尿 |
・イライラ ・不安、うつ ・不眠 ・集中力低下 ・記憶力低下 ・性欲の減退 |
セルフチェック
男性更年期障害質問票(AMSスコア)を使って、セルフチェックで自分の症状の程度を確認してみましょう。
設問の症状に対して、症状がない場合を1点、非常に重い場合を5点というように、症状に合わせて1~5点の点数をつけます。17項目の合計点で症状の程度を把握します。
【男性更年期障害質問票(AMSスコア)】
※症状なし: 1点/軽度: 2点/中等度: 3点/重度: 4点/極めて重度: 5点
症状 | 点数 |
---|---|
①肉体的にも精神的にも調子が悪い | |
②関節や筋肉に痛みがある(腰痛・関節痛など) | |
③発汗・のぼせ | |
④眠れない、眠りが浅い | |
⑤よく眠くなるし、しばしば疲れを感じる | |
⑥いらいらする、不機嫌になる | |
⑦神経質になった | |
⑧不安になりやすい | |
⑨やる気がない、無気力、疲労感が取れない | |
⑩筋力の低下 | |
⑪憂うつな気分、無力感 | |
⑫自分のピークは過ぎたと感じる | |
⑬燃え尽きたと感じる、どん底の状態だと感じる | |
⑭髭の伸びが遅くなった | |
⑮性的能力の衰え | |
⑯朝立ちの回数が減少した | |
⑰性欲の低下 | |
合計 | 点 |
<判定>
26点以下: 健康/27~36点: 軽度/37~49点: 中等度/50点以上: 重度
引用:日本泌尿器科学会/日本Men's Health医学会
「LOH症候群診療ガイドライン」検討ワーキング委員会「加齢男性性腺機能低下症候群診療の手引き」
AMSスコアは、更年期における男性が医療機関を受診する目安などを一定の方法で評価したものです。更年期障害の診断は、AMSスコアに加え、診察によって行われます。AMSスコアが高い場合や気になることがある場合は、泌尿器科などの医療機関を受診しましょう。
正しく知って認めることからはじめましょう
男性の更年期の症状があっても、「言いにくい」「認めたくない」等の声を聞きます。更年期という言葉に「現役を退く世代」「老化」というネガティブなイメージを持つ方が多いからです。
人生100年時代を迎え、更年期は人生の折り返し地点です。
人生の後半に向けて男性の更年期について正しい知識をもち、適切に対応し、心地よい豊かな生活を送りましょう。