あなたの子どもは大丈夫?忍び寄る「子どもロコモ」の危機
2023/02/14 掲載
ロコモ(ロコモティブシンドローム)という言葉を聞いたことがありますか?
聞いたことがあるという方も、ロコモは高齢者の問題と捉えている方が多いのではないでしょうか。しかし、子ども達にも高齢者に似た運動器障害がみられるようになりました。
ゲームの普及と外遊び場が少なくなったことなどにより、子どもが外で遊ばなくなり、運動不足の子どもが増えています。さらに、コロナ禍の影響により運動をしない、もしくは運動の時間が減少したままの生活習慣が定着してしまい、今後も子どもの運動不足は深刻化されることが予想され、子どもロコモ(子どものロコモティブシンドローム)が増える可能性があります。
子どもロコモとは
ロコモとは、運動器の障害のために「立つ」「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態をいいます。2007年に日本整形外科学会が提唱した言葉です。
要介護になるリスクの高い状態として、当初は高齢者を対象としたものでした。しかし、子どもの運動不足、肥満や痩せの増加に伴い、高齢者のロコモと似たような運動器の障害が子どもにもみられるようになり、「子どもロコモ」と呼ぶようになりました。
実際には、下記のような状態が多くみられています。
・姿勢が悪くて疲れやすい
・転んだときに手が出ず顔をぶつけてしまう
・床を雑巾がけするときに手で体を支えられず、転んでしまう
・しゃがむのが苦手で和式トイレが使えない
・骨折しやすい …等
早期に子どもロコモに気づいて、運動不足等生活習慣の改善を行いましょう。
子どもロコモチェック
子どもロコモかどうか、簡単にチェックできる方法があります。下記の図を参考にやってみましょう。
5つすべてできればOK!
1つでもできない項目があった場合、子どもロコモの可能性があります。
※このチェックは小学生以上の子どもを対象としたものです。
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① 片足立ち(からだのバランス)
左右ともにバランスよく、5秒以上ふらつかずに立つことができる。
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② しゃがみこみ(下半身の柔軟性)
途中で止まらず、最後までしっかりしゃがみこむことができる。その時、かかとが上がらない。後ろに倒れない。
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③ 両手上げ(上半身の柔軟性)
両手をまっすぐ上に上げることができる。
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④ からだの前屈(上半身・体幹・ハムストリングスの柔軟性)
ひざを伸ばしたまま、指を楽に床につけることができる。その時、ひざが曲がらないこと。
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⑤ グーパー動作(上肢の動的機能)
グーでひじを引き、パーで腕を前に出す動作をスムーズに行うことができる。その時、手首指がしっかりそっていること。
ある報告によると、埼玉県内で子どもロコモチェックを行ったところ、できない項目が1つ以上あった子どもが40%以上いたそうです。子どもロコモは身近な問題になっていると言えそうです。
子どもロコモを予防・改善するために
いかがでしたか? 子どもロコモを予防・改善するためには、良い姿勢を身につけること、肩甲骨と股関節の柔軟性を高めることが重要となります。日頃から良い姿勢を意識したり、ストレッチ体操を行ったりするよう心がけましょう。また、運動不足になりがちな子ども達の生活を見直していくことが大切です。
【参考文献】
・若生政憲:スマホ社会と子どもの運動器障害,小児保健研究第80巻第2号,2021(149-154)
・林承弘,柴田輝明,鮫島弘武:子どもロコモと運動器検診について,日整会誌 2017(91:338-344)