子どもが危ない!?運動不足・体力の低下が深刻化
2023/01/10 掲載
ある休日の母と子の会話から
子:今日は休みだからこのままでいいの。
母:家から一歩もでないの?
子:そう。今日は、家で過ごすから。着替えるのも面倒だし、部屋着のほうが楽だから。
母:家にずっといて、つまらなくないの?
子:べつに。
これは、筆者と子どもの会話の一部です。
子どもが家に一日中閉じこもっていて、外に出ない。家の中にいるだけでは運動不足になり、からだに悪いし、体力も低下する。
親としては心配ですが、反抗期の子どもにそれ以上言うと言い争いになると思い、引き下がりました。
この会話の内容を保護者間で話題にすると、我が家だけでなく、多くの家庭が同じような状況だということがわかりました。
特に、新型コロナウィルス感染症拡大に伴い外出が制限され、家の中で過ごすことが日常化され、その中でどう過ごせばよいかが子ども達の中でできあがってしまったようです。子どもたち同士、SNSやオンラインゲームを通じての交流が可能になり、外に出なくても日常を楽しめるようになったことで、不活発な生活習慣が定着してしまったように感じました。
このことは、スポーツ庁が公表した令和3年度「全国体力・運動能力調査」の結果からも見ることができます。
データから見る子どもの体力の低下
令和3年度「全国体力・運動能力調査」の結果によると、体力合計点は小・中学生の男女とも、令和元年度調査と比べ低下しています。
また、テレビ・スマホ・ゲームなど、学習以外のスクリーンタイムが長時間になると、体力合計点が低下する傾向がみられます。不活発な生活習慣によって、より一層体力が低下していくことが分かります。
子どもの不活発な生活習慣を改善
コロナ禍やデジタル化といった社会的要因によって、増加傾向にある子どもの不活発な生活習慣と運動不足。それらをどう改善・解消させていくのか、考えてみましょう。
ここで、筆者から、家庭でできる3つのアドバイスをさせていただきます。我が子もこれで「動きました」という秘策です。
-
①楽しんで動きたくなる環境づくり
感染予防対策をしながら、外遊びや運動の機会を積極的に促すことが必要です。しかし、ただ単に外遊びや運動をするように声をかけても、不活発な生活習慣が定着している子どもは動かない可能性があります。そこで、楽しんで動きたくなる環境づくりを提供していきます。 例えば、今までは家族で買い物や映画に行く場合は車で移動していましたが、公共交通機関を利用したり、歩いて移動するようにします。目的が「からだを動かすこと」ではなく、楽しみである「映画鑑賞」や「買い物」なので、自然にからだを動かす機会をつくることができます。 -
②子どもの好きなことにフォーカスする
子どもの好きなことにフォーカスして、からだを動かす機会を増やしましょう。例えば、子どもが「J-POPの〇〇が好き!」と答えたら、「〇〇が歌う時のダンスを覚えてみたら?」と声をかけてみる。我が子はこれで動くようになり、最近では「家だと思う存分に踊れない」と言い、公園や広場へ出かけて、ダンスの練習をしているようです。
好きなことを聞くときは、一番だけでなく次に好きなことまで聞くと、興味のあるものについて色々と聞くことができます。 -
③学校や地域のスポーツイベントに参加する
学校や地域のスポーツイベントに参加してみましょう。コロナ禍でイベントが減っていますが、ウオーキングイベント等を探してみると、楽しいものがあるかもしれません。一人より家族で、そして友達や仲間と一緒にできることがあるといいですね。
運動習慣の定着に努める
デジタル化の進展やコロナ禍の影響により、運動をしない、もしくは運動の時間が減少したままの生活習慣が定着してしまう可能性があり、今後も子どもの運動不足は深刻化されることが予想されます。子どもの運動不足は、体力の低下や身体機能の低下だけでなく、成長にも悪影響を及ぼします。
日頃から、学校や家庭で運動やスポーツをすることの大切さを伝えていきましょう。そして、運動習慣の定着を図るためには、楽しみながら運動ができるように工夫することで、継続を促していくことが大切です。
【参考文献】
・スポーツ庁 令和3年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/toukei/kodomo/zencyo/1411922_00003.html