若々しい身体つきって!?年代ごとの体型や体組成の特徴

2012/04/11 掲載

年齢を重ねると「身体のかたち」が変化する?

年代ごとに体型の特徴が変わってくること、日頃皆さんもなんとなく感じていらっしゃることと思います。私は洋服を買いに行って、自分の身にもそれが確実におきていることを痛感したことが何度かあります。皆さんはデザイン的に「自分には若すぎるかな」・・・と思うものを、ちょっと冒険(笑)して試 着しようとして、サイズ表示は自分に合ったもののはずなのに「あれ?ちょ、ちょっと・・・無理(><。)。」と玉砕したことってありませんか?(な、ない ですか??私だけ・・・?)
私の場合、デザイン若めなカワイイ服にチャレンジしようとするとウエストは大丈夫でも、腕がパツパツとか、このまま着てると背中がケンシロウ(Youは shock~!)みたいに切れちゃうんじゃないか・・・とか、とにかくどこか「キツい~」とか「破壊してしまいそう」・・・という部分があり結局あきらめ ることになったりします(冷静に振り返れば、そもそもデザイン的にやめておいて正解って感じなのではありますが(涙))・・・。

こんな私の悲しくも恥ずかしい個人的実例からも察していただけるかと思いますが、全体的に太るというよりも(そ、その傾向もあるのですが)、身体の「かた ち」が微妙に変化しているようなのです。変化の仕方はもちろん個人差がありますが、統計的に見ると、似たような傾向があることもわかってきました。服飾業 界ではかなり昔からこのことが把握されていて、最近ではしっかりとターゲットの年代に合った体型パターンにデザイン・縫製を変えて服を作っているところが 増えてきているようです(だからトシに見合わないデザインのものは体型にも合わなかったりするのです(T_T))。
では加齢によって具体的にどこがどう変化する傾向があるのか、タニタ体重科学研究所で集めた各年代の部位別体組成データから探ってみることにいたしましょう。

脂肪は年齢と共にお腹に集まる?

図1】をご覧下さい。このグラフは「全身の体脂肪を100とした時、何%が体幹部についているか」を年代 別に表したものです。男女とも加齢とともに体幹部への脂肪の分布(内臓脂肪も含む)がどんどん増えているのがわかるかと思います。体幹部、というとほとん どが腹部です。50歳以上になると男性では全身の脂肪のうち6割以上が主に腹部についていることになります。女性でも30代を超えると5割以上の脂肪が腹 部に分布しています。ある程度年齢を重ねた人は、全身の体脂肪率がそんなに高くなくても、お腹の脂肪分布が増えている可能性が高く、その中でも特に内臓脂 肪が増える傾向があります(【図2】)。

しかも、腹部の脂肪や内臓脂肪が多くなると全身の脂肪率が高いよりも血中脂質や血圧が高くなりやすくなり1)2)メタボへまっしぐら!その上、肝機能への 影響も出てくることが統計的にもわかっています1)2)。30代以上のみなさま、太っていなくても油断は禁物ですよ!お腹の脂肪が気になり出したら見た目 だけでなく健康的にも注意信号です。

男女別の加齢変化傾向

どうやら加齢と共に脂肪分布がお腹に集まり、「お腹ぽっこり体型」⇒「メタボ」へのキケンが迫ってくる!・・・というのは男女共通の変化のよう です。でも元々男女の体型や体組成・脂肪分布は異なりますから加齢による変化にも男女差があるはず。そこで、男女別に変化の特徴を調べてみました。

男性:特に大きな変化があるのは「腕・脚の筋肉量減少」

男性は年齢と共によく「最近、お腹出てきたんじゃないの~?」とかお腹まわりのことが話題になりますよね。データを見ると確かに!
図1、図2にも表れている通りその変化は顕著です。でもそれだけではないのです。男性にとって脂肪よりも変化が目立つのは実は「筋肉」なんです。男性は 元々女性よりも筋肉量がとても多いので、体重が重くても脂肪率は低い傾向なのですが、その筋肉量の加齢による減少変化がとても大きいのです。それも特に腕 と脚。

【図3】をご覧下さい。加齢による腕と脚の筋肉量減少は統計的にも充分に有効な差として結果が出ています。脚の筋肉量なんてかなりの角度で減って行く傾向 です(;_;)。(子供の運動会で、一生懸命がんばってるのにハデに転んでしまうお父さんをよく見かけますが、やっぱり脚の筋肉の衰えってパフォーマンス 的にも顕著なのです(涙)。)そして、このように男性は加齢による筋肉量の減少が大きいので、たとえ体重はそんなに増えて無くても、脂肪「率」が増えてし まっていることも多いのです。

女性:特に大きな変化があるのは「上半身の脂肪増加」

女性はとにかく繊細な生き物なので(笑)、あまり年齢による体型変化のことって口に出して言われることはありませんよね。しかし悲しいことに実は男性以上に顕著な体型変化傾向があり、特に脂肪分布がかなり大きく変化する傾向があります。

【図4】をご覧下さい。30歳未満の若い年代の女性は腕や体幹部の脂肪率が低くて脚(お尻の部分も含む)の脂肪率だけが高くなっています。若い世代の女性 は太腿やお尻の部分など下半身部分は脂肪が多いのですが、腕やお腹など上半身は脂肪が少なくて華奢なのです。ところが30代を超えるとだんだん腕や体幹部 も脂肪率が高くなり50代以上になると、全身が均一な脂肪率に近付きます。・・・つまり、若いうちは細かった腕やお腹などの上半身にも年齢とともに脂肪が つきはじめ、50代ごろには全身に脂肪がついて全体のかたちがまる~くなる・・という感じ、です。ううむ。た、たしかに。やや悲しい気持ちになりつつも納 得、です。

「若々しく見える体型」とは・・・?

では、「若く見える体型は?」というと加齢変化とは逆を辿って、若い世代の平均的な体型特徴を見てみればヒントがありそうです。

◎男性:全身の脂肪率は低め、しかし筋肉量が多いので細くはなく、特に腕や脚はしっかりガッチリした感じ、お腹はまだ脂肪分布が少なく 締まっている。

◎女性:華奢で細い肩や腕、細いウエスト、でも腰周りや太腿にはしっかり脂肪が付いていて健康的。

絵でイメージしてみると【図5】のような感じでしょうか。若い世代は筋肉のつき方や脂肪の分布に男女差があって体型も男女で大きく異なりますが、年齢を重 ねると男女差があまり見られなくなって男女とも「まるくなる」感じですね・・・。なるほど。人間って、年齢とともに色々な意味で丸くなるものなんです ねぇ・・・。

最後に自分を振り返る

そ、そうかぁ・・・(じっと我腕を見る)。・・・そうですよね・・・そう、確かにこの腕、以前はもっと細かったような・・・。特に、二の腕!半 袖の服なんて、袖口に余裕があってヒラヒラしてたような気がする・・・(今は無い!)。なっとく・・・です。だから若者用の服だとケンシロウみたいになっ ちゃうのか・・・。がっくり・・・(T_T)。いや、でも落ち込んでる場合ではありません、ポジティブに行かねば!!誰もがみんな絶対この通りに体型が変 わってしまう、というワケではありませんから。これはあくまでも「統計的」な「傾向」です。最近の研究では、30代以降の体型変化には個人差が大きくなっ てきたことも言われています3)。つまり「大きく体型変化が起こる人」と「体型を保っている人」の差が目立つようになってきている、というのです。それだ け努力して保っている人も増えて来ているということです。皆さん、脂肪の変化なんて頑張ればきっと取り戻せます!希望を失わず頑張りましょう!そして 「保っている人」に近付こうではありませんか。

・・・と言いつつ・・・「でも、“年相応”っていうのも大事かも」「キレイに年齢を重ねてる人って結構丸みのある体型になってる人も多いし。」「丸っこい のも、雰囲気優しくなって素敵かも。」「年齢変化って自然なことだし。自然の摂理には逆らえないもんね」と、徐々に“逃げ”と“言い訳”の道へと傾きつつ ある私・・・。だ、誰かこんな私にカツを入れてやってください(T_T)。


 
脚注:1)阪本要一、西澤美幸、三浦順子、大森雅久、池田義雄.(2000),「Segmental Bioelectrical Impedance Analysisによる体組成部位別測定とその臨床的有用性について」産業衛生学会誌,Vol45, p252
2)阪本要一、西澤美幸、下村美由紀、佐藤等、池田義雄(2001)「内臓脂肪面積測定に関する研究(第二報:臨床的検討)」第42回日本人間ドック学会講演抄録集,p167
3)西澤美幸「計ることでデザインできる、女性たちのライフスタイル」POLA研究広報誌No.45,「美の時間軸」

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