こどもの脳を育てる食事とは?朝食は受験合格への突破口

2018/01/16 掲載

脳は何で出来ている?!

脳は何で出来ている?!

みなさん、突然ですが、脳の大部分は何で出来ていると思いますか?

脳は水分を除くと、実はその60%が脂質、残りの大半がたんぱく質で出来ているんです。

脳の神経は、電気的な信号で情報を伝えるため、神経の周りを脂質がくるんで保護しています。 それは例えて言うと、電気コードの中の電線と 電線を包むカバーの関係と同じです。

脂質というと、脂のとりすぎから太る、コレステロールが増えるなどネガティブにとらわれがちですが、脂質は私たちのからだにとって、なくてはならない大切な存在です。
体のエネルギーとして使われたり、体を構成する細胞膜や各種ホルモンの材料にもなります。(※1)

そして脳内のたんぱく質はというと、分解されたアミノ酸という形で、神経伝達に必要な電線の材料になっています。どのような材料になっているかというと、喜びや快楽などの情報をコントロールするドーパミンや、恐怖や驚きなどの情報をコントロールするノルアドレナリン、精神を安定させるセロトニンなどのような脳内伝達物質たちです。(※2)
からだを構成するにも必要不可欠なたんぱく質は、脳内においても大事な役割を果たしているのです。

脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖


またみなさんに、ここでもうひとつ、脳について質問です。


脳のエネルギー源になるものは、何だと思いますか?

答えは、、、ブドウ糖!
しかもこのブドウ糖は、脳の唯一のエネルギー源なんです。


ブドウ糖とは、ごはんやパンなどの炭水化物に含まれる糖質が、体内の消化酵素によって細かく分解され、最も小さな分子になったもの(単糖類)のひとつです。
脳を元気に働かせるためには、脂質、たんぱく質、炭水化物の三大栄養素が必要不可欠です。


三大栄養素は、脳のみならず、からだの成長や活動するエネルギー源としても必要不可欠な栄養素です。
脳もからだの一部。からだに必要な栄養素こそが、共通して脳にも必要なのです。

 

脳を育てる食事とは

脳に必要な三大栄養素が電線や電線のカバー、エネルギー源として、しっかり使われるためには、ビタミン、ミネラルがとても重要な役割を果たします。

三大栄養素の炭水化物・脂質・たんぱく質に、これらビタミン・ミネラルを加えたものを五大栄養素と呼び、この五大栄養素をまんべんなく補う食事が、バランスのとれた食事とされます。


バランスの良い食事とは、いったいどのような食事なのか?
五大栄養素がとれる食事なんて、さぞかし手の込んだ料理なんだろうと思われるかもしれませんが、必要なのは『一度の食事に3つのお皿、主食・主菜・副菜をそろえること』なんです。

3つのお皿をそろえると、主食のごはんやパンなどで「炭水化物」が、主菜の肉や魚などで「たんぱく質」と「脂質」がとれます。そして、副菜の野菜や海藻類などで「ビタミン」や「ミネラル」もきちんととることができます。


3つのお皿を揃えよう

身近な学校給食などでも見られる、主食・主菜・副菜の定食スタイルを思い出し、自宅や外出先での食事も、まずは3つのお皿をそろえるようにしましょう。

さらに、1日1回、果物と乳製品を食べれば、1日に必要な栄養がある程度カバーできるようになります。小腹が減ったとき、間食をとりたいときなどは、ぜひ果物や乳製品をとるように意識してみて下さい。

 

朝食は合格への突破口

ところで、みなさんは毎日朝ごはんを食べていますか?

文部科学省発表「平成29年度全国学力・学習状況調査」によると、毎朝しっかりと朝食をとる小学生は86.9%、中学生は82.7%に留まっており、小学生では約7~8人に1人、中学生では約6人に1人が、朝食をしっかりとれていないことが分かりました。 (※3:図表参照)

朝ごはんを食べないことがある小・中学生の割合

朝ごはんはとらないというみなさん、実は脳は、エネルギー源のブドウ糖を、長時間蓄えておくことができません。(※4)

どういう意味かと言うと、脳の中では朝ごはんをとらないことで、次のようなことが起きています。


空腹(イメージ)

朝食をとらずに活動

前日の夕食で補ったブドウ糖の蓄えがなくなる

脳にエネルギーが行き届かないままの状態が続く

集中したくても集中力が続かない、ボーッとする


特に受験生にとっては、朝食は合格への突破口と言っても過言ではありません。
せっかく頑張る意志はあるのに、朝ごはんを食べないせいで集中力が続かない…なんて、もったいない!

脳の働きを良くし、授業や勉強に集中するためには、食事と食事の間を空けすぎることなく、一日三食食べることが大切。定期的に脳にブドウ糖を補給してあげましょう。

 

忙しい朝でも朝ごはんがとれる4つのヒント

脳に必要な栄養素、またその栄養素をバランス良くとるには、3つのお皿をそろえると良いことをお話しましたが、まずは一日三食のうち、もっとも欠食率が高い朝ごはんをしっかり食べるための4つのヒントをお伝えしたいと思います。
実際に今までも朝ごはんは欠食、また欠食しがちだった方も要チェックです。

ワンプレートの食事(イメージ)

(1)残り物を活用しよう

忙しい朝はなるべく、手間やストレスをかけたくないもの。
限られた朝の支度時間中に朝ごはんを全て用意しようとすると大変ですが、前日の夕食の残り物や、前もって朝ごはん用に買ったお惣菜、レンジで加熱しただけの野菜などでも、充分に3つのお皿がそろう朝ごはんになります。


(2)冷凍食品を上手に取り入れよう

ごはんを炊けないときは、週末にまとめて炊いて冷凍しておけば、毎朝が楽ちんです。
また、市販の冷凍惣菜や冷凍ピザなどを利用するのもおすすめです。


(3)ワンプレートで洗い物を少なくしよう

残りもののごはんとお惣菜を一皿にのせて、まとめてレンジでチンすれば、数分で朝ごはんのでき上がりです。見た目もカフェ風にかわいくなる上、洗い物も減らせて一石二鳥です。


(4)朝食はパンという方はここに気をつけよう

朝ご飯がパン食という方も多いかと思います。パン食の場合、食物繊維が豊富で腹持ちの良い胚芽パンや全粒粉パンを主食に、主菜になるハムやツナ、卵、そして副菜になるレタスやキュウリ、トマトなどを挟んだサンドイッチにすると、一品で3つのお皿がそろうのでおすすめです。
飲み物は副菜の足しになるよう、食塩・砂糖無添加の野菜ジュースを組み合わせても良いです。
さらに、ヨーグルトや果物などを朝食に食べるのもおすすめです。果物はカット不要のバナナや、みかん、また、コンビニで手軽に手に入るカット済みのものを利用するのも一つの手です。

 

こどもの健やかな成長のためにも朝ごはんを食べよう!

こどもと朝食(イメージ)

まずは一日の始まりを、脳にもしっかりエネルギー供給して過ごせるように、朝ごはんを食べることからスタートさせましょう。
そして、こどもの脳をしっかり育てるため、一日三食を欠食することなく、一度の食事に3つのお皿をそろえることを意識するようにしましょう。

こどもの健やかな成長を願う親心は、こどもにとって何よりの栄養。こどもたちが、自分の体を守るために何をどのように食べれば良いのかという術は、日ごろの食事からしっかりと身についていきます。
こどもの成長を支える側の親も、無理のない範囲で、まずはできるところから挑戦し、日々の食事に工夫をしながら、家族との時間を楽しんでいただければと心から願います。


 

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【参考資料】

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。