あなたはできてる?ぐっすり眠るためのキホン

2016/08/23 掲載

布団に入ってから寝る前にスマートフォンなど操作する方もいらっしゃるのではないでしょうか?実は、これ睡眠にとってNGなんです。スマートフォンなどの明るい光は眠りの妨げになります。

これ以外にも、普段何気なく行っていることが睡眠に良くない場合があります。

 

今回は、少しでも睡眠の質を良くするため、眠る前の行動や寝室環境についてお伝えします。

 

睡眠と光

眼には光の三原色の赤、緑、青を感じる細胞があります。それら細胞はちょうど三角錐の形をしていることから錐体(すいたい)細胞と呼ばれていて、赤錐体、緑錐体、青錐体に分かれています。

 

錐体の機能は、光の波長の長さに対して感度を持っています。

 

青い光程、波長が短く、赤い光程、波長が長くなります。

 

                                                                                     睡眠健康指導士テキスト 抜粋し改変 

 

ちょうど青錐体に感度がある青い光が、メラトニンの分泌を抑制すると言われています。メラトニンは通称睡眠物質ともよばれ、副交感神経を優位にし、体温を低下させ自然な眠気につなげます。そのため、メラトニンが分泌されないと眠りの準備が遅くなって、寝つきが悪くなり、十分な睡眠時間の確保が難しくなります。

 

また、明るい照明は、交感神経活動を高め寝つきにくくなってしまうことと、眼から入った視覚情報は脳が瞬時に処理を行ってしまうため、脳が覚醒状態になってしまいます。そのため、布団に入ってからのスマートフォンは今日から控えましょう。

 

眠る前の過ごし方ですが、30分~1時間くらい前から照明を暗くしましょう。メラトニンの分泌がスムーズに行われ眠りの準備がしやすくなります。

一方、青い光は悪い面ばかりではなく、青白い照明は、集中するときに効果があると言われています。勉強や作業を行うときに有効なようです。

生活シーンに合わせて、光をうまく使いましょう。

 

寝室環境

睡眠時、副交感神経の作用により、体温が低下します。また、末梢の皮膚の血管を拡張させますので、手足の皮膚からの放熱が盛んになり、体内の温度がさらに低下し、寝つきやすくなります。この体温の変化には環境が影響します。

 

夏場は、節電のためエアコンのタイマー設定をして、1時間後に切れるようにしている人もいるかもしれません。エアコンが切れて室温が上昇し寝苦しくなって起きてしまった、という経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

そんなとき、温度設定は26~28℃程度にしてタイマーを3~4時間と長めの設定にすることをおすすめします。これで寝入りばなの深い睡眠が十分にとれ、このとき分泌される成長ホルモンによって筋肉や肌の細胞が修復されやすくなります。

 

冬場は、電気毛布で暖かくして眠る方がいると思います。一晩中電気毛布を使っていると、体温の低下を妨げてしまうことと、発汗が促され脱水が進んでしまいます。そこでお勧めするのが、布団に入る前に電気毛布で布団を温めておき、布団に入ってからはスイッチを切る方法です。こうすることにより末梢の血管が拡張し、放熱が行いやすく、さらに寝ている間に布団の中の温度が低下するので、睡眠を妨げません。

 

睡眠を妨げる物質

良く知られている睡眠に影響するものの代表格がコーヒー等に含まれるカフェインです。カフェインには覚醒作用があることが知られています。また、腎臓の血管を拡張させる効果もあるため利尿作用があり、睡眠の妨げになります。

血中での成分濃度が作用に関係しますが、濃度が半減する時間を目安に「半減期」という言葉を使って持続時間としています。カフェインの半減期は約4時間といわれています。

そのため、寝る4時間前には、カフェインの摂取は控えた方が良いです。カフェインは、コーヒーの他に紅茶、緑茶、ココア、コーラ、エナジードリンクにも含まれています。夕食後に飲んでしまうものもあるかもしれませんが、飲むタイミングに注意が必要です。

 

アルコールも睡眠に影響します。アルコールは、寝付く時間を短くする効果があり、睡眠前半に深い眠りを増やしますが、睡眠後半では、浅い眠りが増え、途中の覚醒が増えます。寝つきやすい効果があるため寝酒という言葉がありますが、アルコールには慣れてしまう作用もあるため、寝付くために飲酒を続けるとお酒の量が増え依存傾向が高くなってしまいます。

過去コラム「熟睡を遠ざける寝酒の悪循環」もご覧ください。

 

 

睡眠には、色々な要素が関係していますが、まずは普段何気なく行っていることを見直し、質の良い睡眠をとって充実した健康的な毎日を過ごしましょう。

 

<参考文献>

・「健康づくりのための睡眠指針2014」、厚生労働省健康局

・日本睡眠教育機構監修、「睡眠検定ハンドブック」、全日本病院出版会

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。