筋力+バランス能力=介護予防??タニタ商品開発秘話

2016/06/28 掲載

女性も男性も、「ほどよく筋肉がついたからだ」は引き締まっていて魅力的ですよね。そして同時に健康を維持するためにもそんなからだが必要不可欠です。
「筋肉を増やしたい!」「筋力アップしたい!」この2つは似ていますが、違うことを言っています。わかるでしょうか?混同しがちですが「筋肉量」と「筋力」は別ものです。

筋肉量は「からだの筋肉の重さ」ですが、「筋力」は筋肉が発揮する力です。タニタの開発研究員として、(タニタの体組成計で「筋肉量」はすでに測れるので)次は「筋力」を測ることができたらなぁと漠然と考えていました。

 

この思いが第一の出発点となり、タニタのある機器が誕生しました。

一体どんな機器が誕生したと思いますか?

 

「筋力」がわかると、どんなメリットがある?

「筋力」の指標である「パワー」と「スピード」は、身体を動かして動作を行う能力、身体機能との関連性、そして下肢筋力と関連性があります。

 

身体機能テストとの偏相関係数

評価 テスト項目 男性 女性
パワー スピード パワー スピード
下肢筋力 5回椅子立ち上がり -0.44 -0.45 -0.42 -0.46
移動能力 TUG -0.34 -0.41 -0.4 -0.52
起立能力 長座位起立時間 -0.4 -0.45 -0.4 -0.46

辻ら,体力科学,60(4):387-399(2011) 表4一部抜粋し改変

 

つまり、「筋力」は、下肢筋力と、生活には欠かせない移動や起立する能力を反映しているといえます。「筋力」がわかることはとても魅力的です。

 

「バランス能力」も測りたい!

しかし「筋力」を測れるだけで役立つ機器になるだろうか?そう考えていたときに、筋力低下、バランス能力の低下がおこると「転倒のリスクが高まる」ということを知りました。

バランス能力も測れないだろうか…そう考えたのが第二の出発点でした。

 

転倒場所で一番多いのは庭、玄関、居間です。おそらく立ち上がったときに「ふらっ」となり転んでしまうというシーンが想定されます。(参照:からだカルテコラム健康寿命を延ばすためには?

 

そこで立ち上がり中の「ふらっ」とした状態がどの程度なのかを知ることで、転倒予防に役立てることができると考えました。

 

実際に「過去1年間で転倒したことがある」と答えた人は「ない」と答えた人と比較して、立ち上がり中の左右の動きが大きくなっています。つまり左右のふらつきが大きい人は転倒する可能性が高くなりました。

 

転倒・介護予防に活用 「ザリッツ」の誕生

このような着想、調査と研究開発を経て、誕生したのが「zaRitz(ザリッツ)」という運動機能の状態を測定する機器です。

 

【筋力】と【バランス能力】、さらに【総合得点】により総合的な運動機能の状態をかんたんに測ることができる全く新しい種類の機器です。この機器の測定結果を元に高齢者の転倒や介護予防につなげてもらいたい、そんな思いで商品化が実現しました。

 

■はかり方

椅子に座った状態から、ふんばって立ち上がった際の重さの変化と重心移動の大きさなどを高精度の体重計によって測り、筋力(パワー、スピード)とバランスを算出しています。

                            サルコペニアフレイル研究会(2015)

 

ロコモ以外にもサルコペニア、フレイルなど様々な概念が提唱されていますが、これらの予防のためにはザリッツでの総合得点75点以上を目指していきましょう。

 

シニアだけじゃない、若い時からの計測と対策!

開発者の職業病で、電車の中、病院の待合室などあちこちで目に入る人の立ち上がり動作を観察してしまいます。杖を使用されていたので立ち上がるのは難しいかと予想していたら、意外とスッと立ち上がりをされていてビックリしたこともあります。

 

高齢になると筋力やバランス能力が低下してきますが、低下度合いには個人差があります。

 

まだまだ自分には関係ないと思っているあなた、今の高い状態で維持していくことが20年後の自分の明るい未来につながります。

筋力やバランス能力が低下する前に、はかって自分の状態を知り、結果に応じた運動を習慣づけていくことをおすすめします。

 

ザリッツは測定時のパフォーマンスをはかるため、疲れ、体調不良、痛みなどがあると数値が低下します。値を日々見ていくことで体調不良気味?だから休息しよう、筋肉痛が回復→運動しよう!なんてことにも使えるかもしれません。

 

 

運動機能分析装置 ザリッツ

イスから立ち上がるだけで脚の筋力とバランスを測定できる「ザリッツ」は業務用の体組成計と連携し、総合的な運動機能を評価が可能です。(詳細はこちら

 

 

タニタプレスリリース http://www.tanita.co.jp/press/detail/2016/0531/

タニタ商品紹介 http://www.tanita.co.jp/product/g/_BM2200003A/

 

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。