消化吸収速度に注目!炭水化物との上手な付き合い方

2015/02/10 掲載

コンビニやスーパーに行くと「カロリーオフ」や「糖質ゼロ」の商品が数多く並んでいます。これらの商品が多く出回るということは、カロリーや糖質を気にされている方が多くいらっしゃるということ。実際、糖質やカロリーの摂取量は年々減る方向にあります。

しかし、残念ながら、平成24年国民健康・栄養調査によると糖尿病が強く疑われる方は、年々増加傾向にあるのです。

これは、単に糖質やカロリーを減らすだけでは糖尿病は減らないということを物語っています。では、これからは糖質とどのように付きあっていったら、ダイエット、メタボ予防や生活習慣病の予防に効果的なのでしょうか?

低GI(グリセミック・インデックス)だけじゃダメ?

GI(グリセミック・インデックス)という言葉を耳にしたことがある方は多くいらっしゃるかと思います。
GIとは、食品ごとに食後血糖値の上がり方を数値化したもので、数値が高いほど、食後血糖値の上昇が大きいといえます。体は本来、血糖値を一定の範囲で保つようにできていますが、食後、急激に血糖値が上昇すると、肥満、糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めることになります。

血糖コントロールのためには、低GIのものを選んで食べるというのは有効な手段ですが、最近、別の可能性も示唆されています。

 

例えば、果物に多く含まれる糖質(果糖)は低GIに分類され、血糖値を上げにくい糖とされています。食事から摂取したブドウ糖は、血糖として血液中に流れていきますが、果糖そのものは血液中には放出されないためです。ですが、小腸から吸収された果糖は肝臓に運ばれ、からだを動かすエネルギー源として利用されます。エネルギーとして利用されずに余った果糖は中性脂肪となり、脂肪の蓄積につながります。そのため、低GIだから大丈夫と果物を摂り過ぎると、血糖値に直接影響がなくても、脂肪は蓄積され、それが生活習慣病の原因になってしまうという危険性があるのです。

 

そこで最近注目されているのが、小腸での消化吸収速度です。

消化吸収速度が遅い糖質であれば、少しずつ体に吸収され、急激な血糖値の上昇がおきないので、血糖コントロールにも役立ちます。他にも様々な利点があり、現在多くの研究が行われています。

消化吸収の遅い糖質の健康メリットとは?

★満腹感が持続し、痩せやすい体をつくる
糖質はゆっくり吸収されることにより、血糖値の急激な上昇を抑えるだけでなく、満腹感の持続、それによる過食の防止などの効果が期待できることがわかってきました。

消化吸収速度の遅い糖質は、小腸の下部まで届くことによって、満腹感に影響を与える食欲を抑える働きを持つ「GLP-1」というホルモンの分泌を促進するということまでわかっています。

このホルモンはインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる働きなども持ち、糖尿病治療薬としても注目されています。

このような質にこだわる生活を早い段階で実践することによって、結果的には生活習慣病を予防することにも役立ちます。

 

★免疫力アップ

糖質の中には、小腸上部で早く吸収されるものや、小腸の下部まで届き、ゆっくり吸収されるものがあります。消化吸収の遅い糖質は、小腸の下部まで届きます。

善玉菌には小腸上部ではなく、下部を中心に増殖しているものもいるため、小腸下部にまで糖質が届くことによって、それをエサとする善玉菌を増やすことができます。

腸内には人の体の免疫システム全体の70%があるといわれており、腸内環境が整うことによって、免疫力を上げることができます。

上手に料理に取り入れよう!

消化吸収速度の遅い食べ物はズバリ!「食物繊維」が豊富な食べ物。
穀類では精製度の低い素材のものに。野菜や海藻類、こんにゃく、豆類にも食物繊維は多く含まれています。
メニューに取り入れるのにオススメはこちら!

 

★主食
雑穀米、炊き込みごはん、そば

★主菜
野菜あんのかかった肉や魚

★副菜
ひじき、おから、こんにゃくなどの常備菜

★汁物
具だくさん味噌汁

★デザート、おやつ
全粒粉のクッキー、ゼリー

 

(例えば、こんな定食がオススメです)

他にも、「ゆっくり食べる」「よく噛む」「野菜→たんぱく質→炭水化物の順番で食べる」「いろいろな種類のものを少しずつ食べる」など、食べる際のポイントもあります。

ここまで読んでいただくとおわかりの通り、タニタがオススメしている食べ方と共通項が多々あります。

しっかり食べて、しっかり動く!これが健康的な暮らしのキホンです。

まずは、できることから始めてみましょう。

 

(参考文献)

・タニタのDr.がすすめるスローカロリーレシピ 池田義雄(PHP研究所)

・平成24年国民健康・栄養調査 厚生労働省

・東京都民の健康・栄養状況(平成26年3月) 東京都福祉保健局

・糖尿病ネットワークHP

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。