腸活アップデート!今話題の3つのキーワードとは?

2024/08/13 掲載

健康のため、美肌のため、睡眠のためと、様々な理由から腸活をしている方も多いのではないでしょうか。

「からだカルテ」では、これまでも、腸内環境や腸活についてコラムをお届けしてきました。

「腸活」といえば

「腸活」というと、善玉菌・悪玉菌などの菌の摂り方を工夫する「プロバイオティクス」や、菌のエサとなる食物繊維等の摂り方を工夫する「プレバイオティクス」などが話題でした。最近では研究が進み、腸活の効果は美肌や睡眠にとどまらず、認知機能の維持向上についても言及されつつあります。さらに、腸内細菌が作り出す物質が体に与える影響も話題になっています。

そこで、最近再び注目されている「腸活」について、今回は3つのキーワードに沿って話を進めてみます。

短鎖脂肪酸ってなに?

1つ目のキーワードは短鎖脂肪酸。最近時々見たり、聞いたりしたことがあるという方も多いと思います。

短鎖脂肪酸とは、酢酸、プロピオン酸、酪酸の3つを指します。短鎖脂肪酸は免疫細胞の司令塔ともいえるT細胞を作ります。
T細胞は腸内の免疫機能に大きくかかわっており、免疫機能を良い状態に保つ働きがあります。また短鎖脂肪酸は腸内の環境改善、肥満の改善などに役立つこともわかってきました。

それならば、短鎖脂肪酸(酢など)を直接摂れば良さそうに感じますが、食品として摂取した短鎖脂肪酸は小腸などで吸収されてしまうので、大腸まで届いて働いてはくれません。では、どうすれば大腸で短鎖脂肪酸を作れるのでしょうか。

発酵性食物繊維ってなに?

大腸で短鎖脂肪酸を作ってくれる腸内細菌をしっかり育てることが重要になってきます。そこで、もう1つのキーワードが発酵性食物繊維

大腸で短鎖脂肪酸を作り出す菌たちのエサとなりやすいのが発酵性食物繊維です。
発酵性食物繊維については、まだまだ研究段階の部分も多いのですが、日本人の食物繊維の摂取量は不足しており、まずは、1日あたり6~7gの食物繊維の摂取を増やすことが近道です(※1)。
食物繊維が多い食品というと、野菜や海藻を思い浮かべる人も多いと思いますが、発酵性食物繊維は穀類や豆類に多いことが分かっています。野菜だけでなく、いろいろな食品を選んで食べたいですね。

発酵性食物繊維を含む食品と含有量(含有量は食物繊維総量)

食品名 目安量 含まれる
食物繊維の量
もち麦入りごはん 150g 2.7g
グラノーラ 50g 4.5g
ごぼう(1/4本) 45g 2.6g
じゃがいも(中1/2個) 50g 1.8g
さつまいも(中1/2本) 50g 1.8g
納豆(1パック) 45g 1.8g
きなこ(大さじ1) 6g 0.9g
バナナ(中1本) 90g 1.0g
アボカド(1/2個) 65g 1.0g

「日本食品標準成分表(八訂)」データより算出

レジスタントスターチを利用しよう

食物繊維をたっぷりとといっても、大麦やきなこ、小麦ブランを毎日摂るのは難しいという人もいると思います。
そこで、3つ目のキーワード、レジスタントスターチです。レジスタントスターチとは、難消化性のでんぷんのこと。一度加熱して消化しやすくなっているでんぷんを冷却することで作られます。冷ごはんや冷やした蒸しじゃが芋などをイメージすると解りやすいでしょう。作り方はとても簡単で、一度炊いたごはんや加熱した芋類などを冷やしてから食べるだけです。

このレジスタントスターチはでんぷんなのですが、発酵性食物繊維とよく似た働きをすることがわかってきています。
また、電子レンジ等で再加熱してもレジスタントスターチは残っていることもわかっています(※2)から、冷たいままのごはんや芋類は食べにくいという方は、一度冷やして食べることを習慣にするのも良い方法ですね。

いかがでしたか? 調べてみると日ごろの食事を少し工夫するだけで効果的な腸活にシフトできそうだなと感じられませんか?
まだまだ最新の研究が発表される「腸活」の効果や方法ですが、手軽に日常生活に取り入れられて効果が期待できる方法をこれからもお伝えしていきますね。

【参考文献】
※1)国民健康・栄養調査 令和元年および日本人の食事摂取基準2020
※2)日本調理科学会大会研究発表要旨集 レジスタントスターチは冷ますと増えてレンジで減らない
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390007827783665664

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。