骨粗しょう症予防のために知っておきたい、牛乳と豆乳の違い
2022/06/14 掲載
見た目はそっくりな牛乳と豆乳。
骨粗しょう症予防のためには牛乳を飲んだ方がいいって聞くけれど、豆乳の方がヘルシーそうだし、豆乳を飲むのでもいいのかな? なんて、迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。
今回は牛乳と豆乳の違いについて、骨粗しょう症予防に注目しながら紐解いていきましょう。
骨粗しょう症の原因とは
特に、閉経後の女性に多く見られる骨粗しょう症。その主たる原因は、閉経によるホルモンの影響で、骨を維持しているカルシウム量が上手く調整できなくなることによる骨密度の低下です。高齢女性のQOL低下の原因の多くが、骨粗しょう症だということもわかっています。
このように、骨粗しょう症は閉経後の女性に多い疾患ですが、遺伝的要因やストレス、無理なダイエットや悪い生活習慣なども原因となるため、若い女性でも男性でも安心はできません。
寝たきりとなる原因でもある骨粗しょう症を早期に発見・予防するため、今は多くの自治体や医療機関で手軽に骨粗しょう症の検診を受けることができます。骨粗しょう症が気になったら、まずは検診をうけてみましょう。そして、検診で今の状態をチェックするのと同様に重要となるのが、カルシウムの補給です。
では、今回のテーマである「牛乳」と「豆乳」ではどう違うのか、見ていきましょう。
牛乳と豆乳の違い
- 牛の体内で作られる動物性食品。
牛乳の種類は原材料によって分けられる。 - ◆生乳のみを原料にしたもの
⇒普通牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳 - ◆生乳に他の乳製品を加えたもの
⇒加工乳 - ◆生乳に乳製品や乳製品以外を加えたもの
⇒乳飲料
- 大豆から搾った植物性食品。
豆乳の種類は大豆の含有量や添加されるものによって分けられる。 - ◆大豆固形分8%以上のもの
⇒無調整豆乳 - ◆大豆固形分6%以上で砂糖などを加えたもの
⇒調整豆乳 - ◆大豆固形分2~4%以上で果汁などを加えたもの
⇒豆乳飲料
※一般的に、牛乳=普通牛乳、豆乳=調整豆乳を指します。
今回は「普通牛乳」と「調整豆乳」に「低脂肪牛乳」と「無調整豆乳」を加え、栄養素などを比較してみました。
▼100gあたりの成分
(黄色背景:栄養成分上有用と思われる部分)
普通牛乳 | 低脂肪牛乳 | 無調整豆乳 | 調整豆乳 | |
エネルギー | 61 kcal | 42 kcal | 44 kcal | 63 kcal |
たんぱく質 | 3.3 g | 3.8 g | 3.6 g | 3.2 g |
脂質 | 3.8 g | 1.0 g | 2.0 g | 3.6 g |
炭水化物 | 4.8 g | 5.5 g | 3.1 g | 4.8 g |
コレステロール | 12 mg | 6 mg | (0) | (0) |
カルシウム | 110 mg | 130 mg | 15 mg | 31 mg |
鉄 | (0.02) mg | 0.1 mg | 1.2 mg | 1.2 mg |
日本食品成分表2020年版(八訂)より
エネルギー:
普通牛乳と調整豆乳のエネルギーはほぼ同じ。脂質がやや少ない低脂肪牛乳と無調整豆乳はエネルギーも少なめ。
たんぱく質:
たんぱく質はどれも優秀!
炭水化物(糖質):
牛乳に含まれる糖質のほとんどは乳糖。調整豆乳には飲みやすくするための添加された糖類が含まれます。
コレステロール:
豆乳は、動脈硬化などの原因になるコレステロールをほとんど含みません。コレステロールを気にする方は低脂肪牛乳、無脂肪牛乳がおすすめ。
カルシウム:
牛乳にはカルシウムが多く含まれます。一般的に、大豆製品にも多く含まれていると言われていますが、豆乳のカルシウムは少なめです。
鉄:
カルシウムとは反対に、豆乳には鉄分が含まれます。
また、豆乳には女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きをするイソフラボンや、少量ではありますが食物繊維も含まれます。
必要なものは人それぞれ
牛乳にも豆乳にも特徴があり、その人やその時々に必要なものを選ぶことが重要です。
また、料理によってそれぞれの風味で使い分けることもあるでしょう。
アレルギーや乳糖不耐症などでどちらか一方を選ばざるを得ない人も、それぞれの特徴をつかんでいれば足りないものを他の食品で補うことができますね。
牛乳と豆乳、見た目が似ていても中身は違うことがわかりました。
たんぱく質摂取を目指すなら、どちらも優秀なため積極的に摂りたいです。骨粗しょう症予防の観点から、特にカルシウムの摂取量を増やしたい場合は牛乳、コレステロール値が気になるというかたは低脂肪牛乳や豆乳をチョイスすると良さそうです。鉄やイソフラボンに注目するならば豆乳がおすすめです。
どちらか一方ということでなく、自分の生活に合わせて偏りのない食生活を目指すことが大切です。