私たちの未来のために家庭内の『食品ロス』をなくそう!
2021/05/11 掲載
食品を捨てていませんか?
食費の節約といった目的で、食品の「捨てがちな部分」を調理して食べるよう取り組んでいらっしゃる家庭もありますが、みなさんはどうしていますか?
日本では、本来食べられるのに捨てられる食品「食品ロス」の量は、事業系と家庭系合わせて年間612万tとなっています。(平成29年度推計値)
これは日本人1人当たりが毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てているのと同じ量になるそうです。
今回は、コロナ禍で外食を控え家庭で食事をする機会が増える中、食品の「捨てがちな部分」を少しでもなくす「食品ロス削減」のための工夫を考えてみたいと思います。
食品の「捨てがちな部分」とは
食品の「捨てがちな部分」の一例として、野菜では「皮、芯、外側の葉、種、ワタ」などが該当するかと思います。
捨てる理由としては、食感、苦みを感じる、衛生面などの理由が多いのではないでしょうか。
でも、少しだけ手間をかけて丁寧に調理すれば、これらも美味しくいただくことができますよ。
◆食品ロス削減:初級編『食べてみよう!』
- ・大根の葉、皮
- ・にんじんの皮
- ・ブロッコリーの枝、葉、芯
- ・さつまいもの皮
- ・かぼちゃの皮、種 など
かぼちゃは皮ごと煮物にする、大根の葉はみそ汁に入れる、炒め物にするというご家庭も多いと思いますが、他にも「捨てがちな部分」を美味しく食べる方法があります。
大根やにんじんなどの野菜の皮、ブロッコリーの枝、葉、芯なども、きんぴら炒め、マリネ、塩昆布和えなどにすると美味しくいただけるのでおすすめです。
さつまいもの皮は、きんぴら炒めや素揚げにしてチップスにすると食物繊維たっぷりのおやつにピッタリ!
かぼちゃの種は、天日干ししてからローストして種皮をむくと、おつまみになります。
◆食品ロス削減:中級編『切り方を工夫してみよう!』
- ・りんごの皮、芯
- ・キャベツや白菜の芯 など
りんごは一般的な「くし切り」にするよりも、半分に切ってから「半月切り」にしていただくと、「くし切り」よりも、芯の近くの食べられる部分を増やすことができます。
キャベツ、白菜の芯は細かくみじん切り、薄切りにして調理すると違和感なくいただくことができます。
◆食品ロス削減:上級編『ベジブロスを活用しよう!』
- ・キャベツ、白菜の外側の葉
- ・ピーマンのわた・種
- ・玉ねぎの皮
- ・長ネギの緑色の部分 など
鍋に水、酒、野菜の捨てがちな部分を入れ、30分ほど煮出すことで「ベジブロス」といわれる、野菜の甘さや旨味が溶け出したスープにできます。
旨味が出るので、塩分などの調味料を減らす工夫にも繋がります。味付けしてスープやみそ汁としていただくのはもちろん、煮物やカレーの出汁として使うのもいいでしょう。
◆食品ロス削減:応用編『捨てがちな食品の栄養価を見てみよう!』
今まで捨てていた食品にどんな栄養価があるかを確認してみました。
【長ネギの葉の部分】
長ネギの葉の部分と白い部分を比較すると、葉の方がβ-カロテンとカルシウムが多いことが分かります。(表1)
β-カロテン:ビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の代謝を促進し、視力維持等の作用が期待できる
カルシウム:骨や歯を丈夫にする他、神経を安定させる等の作用が期待できる
【表1】ねぎ(生)100g当りの成分値の比較抜粋
栄養素 | 単位 | 推奨量 | 白い部分 | 葉の部分 | 差 | 推奨量に対する差の割合 |
β-カロテン | μg | 273 | 83 | 1500 | 1417 | 519% |
カルシウム | mg | 58 | 36 | 80 | 44 | 75% |
※推奨量は30~49(歳):女性
この他、捨てがちな野菜の皮には食物繊維やフィトケミカルが多く含まれています。
フィトケミカルとは、老化や免疫機能低下を招くからだの過剰な酸化を抑える「抗酸化作用」がある成分(ポリフェノールやカロテノイドなど)の総称です。
食品ロスの取り組みは、老化や病気のリスク軽減など、健康にも良い効果が期待できそうですね。
気になる野菜の表面に残っている汚れや細菌は、よく水で洗って取り除いてから調理するようにしましょう。
また、食品を食べ切ること以外にも、食品ロス削減の取り組みは色々あります。
・冷蔵庫にあるものから献立を決める
・余分な食料を買い過ぎない
・余った食材を冷凍して保存する
食品ロス削減の取り組みは、からだに良い栄養素を余すことなく摂ることができ、食費の節約にとってもメリットがありそうですね。
未来に向けて「食品ロス」について考えよう!
昨今、「持続可能な開発目標(SDGs)」の取り組みが注目されています。
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っており、地球に住む全人類の未来のためにつくられた目標なのです。
国や自治体、企業だけでなく、各個人がこの目標を共有し、意識を変えれば、SDGsの目標を達成できると考えられています。
家庭内でも食品の「捨てがちな部分」を美味しくいただくことは、SDGsの17の目標のうち、「1.貧困をなくそう/2.飢餓をゼロに/3.すべての人に健康と福祉を/12.つくる責任 つかう責任」など複数の目標に繋がっていくと思います。
食材を無駄にしないように使い切ることで、未来の地球と私たちの健康のために、できることから無理せずに、ひとつずつ取り組んでいきましょう!
【参考文献】
1)農林水産省「SDGs×食品産業」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/index.html
2)農林水産省「食品ロスとは」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html
3)文部科学省「食品成分データベース」
https://fooddb.mext.go.jp/
4)国際連合広報センター
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/