国が考えた「健康的な食事」を発表!これから何が変わるの?
2015/10/13 掲載
2015年の9月に厚生労働省が日本人の長寿を支える「健康な食事」について検討内容と普及通知が発表されました。これは厚生労働省が中心となって専門家チームが2年間以上検討を重ねたものです。
この発表、ご存知でしたか?
今回はこれが、何を目的としているのか?どのような取り組みにつながるのか?という視点で紐解いていきたいと思います。
何を目的としているの?
まず冒頭からかいつまんで見てみましょう。
“ 健康寿命の延伸のためには、特定の食品や特定の栄養素の摂取ではなく、栄養 バランスのとれた「食事」を繰り返し食べることで、健康な食生活の定着を図ることが重要です。 これまでも、食生活指針や食事バランスガイドなどの普及を通じて、栄養バランスに配慮した食事として、主食・主菜・副菜のそろう食事を推奨してきました。 ”
なるほど、たしかにこの食事バランスガイドは色んなシーンで見かけたことがありますね。
食育などに使われているイメージがあります。
“ しかしながら、栄養バランスの確保の観点から主食・主菜・副菜をそろえて 食べている人の割合は約7割で、20~40 歳代ではその割合が低く、特に 20 歳代では4割にとどまっています。この年代では自分で調理し食事をつくる頻度が極めて少ない状況もみられます。 ”
主食・主菜・副菜をそろえて食べている人が20歳代では4割!!少ないですね。栄養状態が心配です。これが30代以降の中年太りにつながってしまいそうです。
“ 主食・主菜・副菜をそろえて食べることができない要因について、時間の余裕がないこと、手間が煩わしいことを挙げる人が約半数に上ります。 食の外部化率(食料支出に占める外食・中食支出額の割合)が 45%を占める 社会状況にあっては、日々の食事は、家庭で作る、調理済みのものを購入する、 外食するなど、その整え方や食べ方も様々です。 ”
外食産業の市場規模は約24兆とも言われます。たしかにコンビニご飯やファーストフード店などで、健康的な食事をすることは難しいですし、忙しい中3食「主食・主菜・副菜」そろった食事を自分で作るのも難しいものです。
“ このため、料理の作り方、選び方や組み合わせ方がわからなかったり、食事 に関心がなかったりする場合でも、生活習慣病の予防や健康増進に資するよう、 様々な食事の提供場面において、主食、主菜、副菜、それぞれの料理を組み合わせて食べることのできる環境が整っていることは大切です。 ”
つまり、食事バランスガイドなどでバランスの良い食事についての啓蒙活動をしてきたけど、それを個人個人で実現するのは現実問題難しいよね、意識しなくても「健康的な食事」が達成できる社会にしていきたいよね。ということでしょうか?
ここまで読んでどちらかというと事業者にむけた取り組みなのではないか、ということがわかってきました。
「健康的な食事」の目安となるもの
今回の発表の「具体的な中身」として目安が発表されています。「日本人の食事摂取基準2015年版」から1食で摂取すべき内容を算出していますが、これは特筆すべきことではありませんね。その他に、注目したいポイントが2つあります。
大きな特徴の1点目
「基準を定めて、それを満たすものにマーク等をつける」のではなく、献立を考えたり、レシピ作りをする場面や生活習慣病予防の教室やセミナーの場での活用の際の目安に活用する事になった点です。
大きな特徴の2点目
基準が2種類に分かれた点です。活動量や性別により650kcal未満と650~850kcalの2種類に分けられ、基準もそれぞれに異なります。
目安となる量については、報告書と比べると緩和され、精製度の低い穀物の使用の記載は食物繊維等の確保の為に望ましいという表現になり、塩分3g以下の基準についても従来のものと比べ10%以上低減で良い事になりました。
シンボルマークについて
「主食、主菜、副菜がそろった食事」をシンボルマークにしています。
使用料は無料で「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の推奨を行う際に活用」して良いそうですが、企業は個別のメニューや料理にマークを付ける事、広報・販促物にマークをつける事はできないそうです。つまり…あまり見かけることはないのかもしれませんね。
最後に
主食・主菜・副菜の揃った「健康的な食事」が手軽に外食や中食で食べられるような社会になる、それは日本人の健康にとってとても良いことだと思います。しかし、始まったばかりの取り組みですので、今後具体的にどうなるかはまだまだわかりません。
食事の要素は、栄養バランスだけでなく、食嗜好、食べることの楽しみや日本従来の食文化を守っていく事など非常に多岐にわたり、どれが、一番良くて他はダメということはないものです。
外食、中食の食事を摂る人の目的は生活習慣病の予防、健康寿命の延伸だけではないという点はありますが、「健康的」であることも大きな選択肢となっている事改めて考えさせられました。
参考文献
厚生労働省ホームページ