若い女性のやせの理由とリスク ~やせているのにやせたがるのはなぜ?~
2026/10/13 掲載

近頃SNSなどで「シンデレラ体重」などの言葉を目にする機会が増えました。調べてみるとそのBMIは18が基準とされており、明らかな低体重。健康リスクが高いのにそこを目指してしまうのはなぜか? 疑問に思い調べてみました。
日本の20代女性の約20%(5人に1人)がBMI 18.5未満の「やせ(低体重)」に該当しており、主要先進国の中でも際立って高い割合を示しています。日本人女性は欧米諸国と比べても平均BMIが低いにもかかわらず、主観的に思い描く「理想の体重」が過剰に低いことが特徴です。そのため、実際には標準体型や低体重であっても「自分は太っている」と誤認し(身体不満足感)、過度な食事制限や減量に走りやすい状況が生まれています。
なぜ「やせ」を目指すのか? SNS利用と「理想体型」のエビデンス
若い女性が健康を害してまで「やせ」を追い求める背景には、様々なものがあります。
家族や友人関係に加え、日常的に接触する「SNS」も少なくない影響があると考えられます。
近年の研究※により、SNSの利用状況と若年女性の体型・食行動との間に、以下のような具体的な関係性があることが明らかになりました。

■ SNS長時間利用と体型の細さ:
1日のSNS利用時間が3時間以上の「長時間群」は、1時間未満の「短時間群」と比較して実際のBMIが有意に低く(19.6 vs 20.5)、理想とする体型(ボディイメージ)においても、より極端な細さを求める傾向が確認されています。
■ 食情報の偏りと栄養アクセスの悪化:
SNSの利用時間が長い女性ほど、食品購入時に信頼性の高い「栄養成分表示」を活用せず、SNS上の口コミやダイエット情報に依存しやすいことが判明しています。その結果、牛乳・乳製品をはじめとする必要な食品を避けるなど、健全な食生活から遠ざかるなどの悪影響が懸念されています。
このように、SNS上で流布するスリムな画像や極端な痩身情報は、「やせる=良いこと」や「やせている=キレイ」という誤った価値観につながり、不必要な減量につながっている可能性が示唆されています。また、筋肉は脂肪に比べて重い組織であることから、同じ体重でも筋肉の割合が多いからだは引き締まって見えることからも、やみくもに体重を落とすことよりも、筋肉量を維持することも重要です。
見過ごせない「やせ」の健康リスク

不適切な「やせ」や低栄養は、現在の体調にとどまらず、将来の骨・筋肉の健康、さらには次世代の子どもの健康にまで深刻な影響を及ぼします。
【「やせ」に伴う主な健康リスク】
| 区分・対象 | 主な健康リスクと身体への影響 |
|
女性本人の「今」に対するリスク (性成熟期・若年期) |
・生理不順、無月経、排卵障害、不妊症のリスク上昇 ・体脂肪率21%を下回ると、卵巣機能障害のリスクが高まる ・耐糖能異常(高血糖):将来の糖尿病リスクが約2倍に高まる(やせ女性の13.1%に認められ、標準体型1.8%の約7倍) ・貧血、冷え症、慢性疲労、免疫力・集中力の低下 |
|
女性本人の「将来」に対するリスク (中高年・骨と筋肉) |
・骨密度低下による骨粗しょう症 骨がもろくなることによる骨折のリスク(産後や中高年以降に増大) ・筋肉量・筋力の低下(サルコペニア)に伴う「エネルギー低回転型」の身体化 ・将来的な2型糖尿病や代謝疾患の発症リスク上昇(標準体重比で約2倍) |
|
世代を超えるリスク (子どもへの影響) |
・妊娠時の低体重により、低出生体重児(2,500g未満)を出産するリスクが有意に上昇 ・低出生体重で生まれた子どもは、成人後に高血圧、2型糖尿病などのリスクが高まる可能性 |
数字にとらわれない「自分らしい健康美」へ
若い女性の「やせ願望」には個人の問題だけなく、社会的な価値観やメディアからの影響も大きいという調査結果が報告されています。
SNSなどの情報や周囲の偏った意見に流されず、多角的な視野を持って情報の真偽を客観的に見極めることが大切です。
体重や見た目の数字だけに振り回されるのではなく、主食・主菜・副菜を揃えたバランスの良い食事と適度な運動を取り入れ、骨や筋肉の健やかさを保つ「自分らしい健康美」を目指していくことが、一生涯の健康を守る鍵となります。
※出典:厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)
分担研究報告書「若い女性のやせ願望、体型不満の要因に関する研究(メディアに着目して)」
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/162650

