STOP!魚離れ。上手な魚食の取り入れ方
2014/10/14 掲載
あなたは週にどのくらいお魚を食べていますか?
20~59歳の男女を対象としたアンケートによると、週に4日以上が19.3%、週に1日以上が87.5%という結果に。
体に良いことはわかっていても「調理が面倒」「臭いが気になる」など敬遠されがちな魚料理。日本から世界に広まった寿司や和食文化には欠かせない魚食を廃れさせないためにも、健康のためにも、ぜひ今日から『魚食生活』を始めましょう!
どのくらい魚を摂ったらよいの?
魚を摂った方がよいことはわかるけれど、週何日くらい食べるとよいの?
その答えは、魚に含まれる成分にありました。
「DHA」「EPA」という成分をご存知ですか?魚油に含まれる成分で、不飽和脂肪酸と呼ばれる脂です。これが、生活習慣病の予防などに役立つことから、日本人の栄養摂取基準では、「DHA」「EPA」を含むn-3系脂肪酸と呼ばれる脂肪酸を3歳以上の男女は1日1g以上摂ることが望ましいとしています。最も多く必要となるのは、男女ともに50~69歳で、男性は2.4g/日、女性は2.0g/日となっています。
「DHA」はマグロ、カツオ、サンマ、サバに多く含まれ、「EPA」はイワシに多く含まれています。
最近は、「DHA」や「EPA」のサプリメントも多く出回っています。これも毎日1gの魚を摂るのは難しいと考える人が多いという背景からかもしれません。
もちろんサプリメントでも「DHA」「EPA」の成分を摂ることは可能です。
ただ、魚には「DHA」「EPA」以外にも良質なたんぱく質や、カルシウムなども含まれていますので、サプリメントを摂っていれば、魚を食べなくてもよいのではなく、まずは食事から摂ることを心がけ、摂れなかった日の補給としてサプリメントも上手に利用するようにしましょう。
では1日1gの「DHA」「EPA」って何をどのくらい食べればよいのでしょうか?
刺身なら・・・マグロ(トロ)で4~5切れ、ブリで6~7切れ
焼魚なら・・・サンマで約半尾、小型イワシで約2尾
缶詰なら・・・サバ水煮缶(190g)1/4くらい、イワシ味付缶(100g)1/2くらい
どうでしょうか?これくらいなら毎日食べられそうですか?
脂肪の多い魚200~300gを週に3回程度食べることも有効と言われていますが、可能であれば、毎日こまめに摂ることをおすすめします。
魚食名人への道
あなたは今どんなステージにいますか?
今回はステップアップ方式で魚食名人になるまでの方法をご紹介します。
<STEP1>普段まったく魚を食べていない人、家でほとんど調理をしない人
オススメ魚食→ちりめんじゃこ、しらす、缶詰、刺身、魚肉ソーセージ(DHA添加タイプ)、煮干し(お菓子タイプ)、かつおぶし、明太子、たらこ、いくら、とびっこ
まずは、調理なしで食べられる魚からチャレンジ!
ちりめんじゃこ(しらす)、缶詰、フィッシュソーセージは塩分があるので、これだけでDHA1g摂取を目指してたくさん食べてしまうと、塩分オーバーになってしまいますので、塩分の少ないものと組み合わせて食べるようにしましょう。
しらすは生の場合はできるだけ購入後すぐに食べるようにしましょう。
ちなみにツナ缶はマグロですが、DHAの多い品種や部位ではないものを使っているので、DHA摂取量としてはあまり期待できません。魚肉ソーセージも同様ですが、魚肉ソーセージはDHAを添加したものもあるので、それを選ぶようにしましょう。
<STEP2>STEP1をクリアしている人、家での調理が少しはできる人
オススメ魚食→切り身、骨抜き魚、干物、煮干し(だし用)
<STEP1>に慣れてきたら、食べやすい切り身や骨抜きの魚にチャレンジ!
最近は、骨があるから食べづらいという人向けに骨抜きの魚もスーパーで売っています。
焼けば、ほぐすだけで全部食べられるので、骨を取るのが面倒で魚を敬遠している人にはオススメです。
焼く、煮る、蒸すなどバリエーションも様々。お好みの調理法で調理してみましょう。
<STEP3>STEP2をクリアしている人、日本人として魚をキレイに食べたい人
オススメ魚食→一尾魚
最終ステップはいわゆる魚丸ごと1匹です。ここまで来れば魚食名人ももう目の前!
チャレンジしやすいのは、秋が旬のサンマやししゃもです。基本的には焼いて食べるというシンプルな調理法が適していますが、南蛮漬けのように揚げて、たれに漬けるなどもあります。サンマのような焼き魚は食べ方も重要。日本人ならキレイな魚の食べ方をマスターしたいですね。魚をきれいに食べられる人はそれだけでポイントアップです!!
<STEP1~3>を上手に毎日組み合わせて、「DHA」「EPA」を1日1g以上摂れたら・・あなたは魚食名人です!!
「DHA」「EPA」を逃さないポイント
「DHA」「EPA」ともに最大の弱点が壊れやすいということ。
最も効率よく摂れるのが生(刺身)の状態です。加熱するとどんどん流出し「焼く」「煮る」は生の80%、「揚げる」は生の50%に減ってしまいます。せっかく摂るなら、栄養をしっかり取りたいですよね。ポイントは下記の通りです。
★旬の魚を生(刺身)で食べるのがオススメ。
★缶詰を利用する場合は、汁まで利用するとよい。
★加熱する場合は、ホイル焼きにするなど脂が逃げないようにしましょう。
「DHA」「EPA」は加熱だけでなく、酸素にも弱いので、ビタミンEやビタミンCなど、抗酸化の働きのあるものと一緒に摂ることで酸化されず、しっかり体内に届けることができます。焼き魚に大根おろし+かぼす(レモン)は理にかなっている組み合わせなんです。
先ほど、「DHA」「EPA」のサプリメントも多く出回っていると言いましたが、サプリメントも成分が壊れやすいのは同じ。なので、選ぶ際には「DHA」「「EPA」の量だけでなく、抗酸化成分が一緒に入っているかどうかもチェックしてみてくださいね。
毎日魚というとハードルが高いように感じますが、魚を使うのは主菜だけではありません。
例えばサラダにちりめんじゃこをかけるだけでも、魚食になります。まずはそんな一歩から、魚食生活始めてみませんか?
(参考文献)
魚食文化 水産庁-農林水産省
魚食文化に関する調査 マルハニチロ
日本人の食事摂取基準(2015年版)