みんなの憧れ!運動神経の良い子に育てる方法とは?

2014/06/10 掲載

「うちは両親ともに運動神経が鈍いから、子供もきっと運動が得意ではないはず・・」
そんな風に諦めている方はいませんか?
しかし、運動神経の良し悪しを決めるのは遺伝だけではありません。
遺伝以上に大切なもの・・それは「環境」です。
では、どのような環境だと運動神経の良い子に育つのでしょうか?



 

運動神経って何?

そもそも「運動神経」という言葉を調べてみると、
1. 広義には運動機能に関わる神経、狭義には骨格筋を支配する神経。
2.スポーツや技能などを巧みにこなす能力。
とあります。「運動神経が良い」というのは、どちらの意味も兼ねているようです。

・・というのも、運動神経の良い人というのは、複雑な状況を的確に脳に送り、迅速に判断し、筋肉へ的確な命令を出し、動作ができる人だからです。

つまり、運動神経は体力や筋肉を鍛えればよいだけでなく、まさにこの「神経経路」を鍛えることが重要なのです。

では、どのようにしたら、運動神経を鍛えることができるのでしょうか?

 

運動神経を良くするための環境づくりとは?

近年の幼児の習い事ランキング1位はスイミング。なんと!5人に1人が習っているそうです。
では、スポーツの習い事を積極的にすると運動神経は良くなるのでしょうか?

確かに、活発に体を動かす機会を作るという点では、スポーツの習い事をすることはとてもよいことです。

ただ、特定のスポーツは動きが限られ、頻度や強度が適切でなかった場合、特定の部位を使いすぎることによる怪我を引き起こす危険性もあります。
どうやら、スポーツの習い事を積極的にすること=運動神経をよくすることとは限らないようです。
 
運動神経を良くするために必要なこと。それは『多様な動きを経験すること』そして、『自発的に関われるかどうか』です。
これらを満たすもの・・・それが『体を動かす遊び』です!
 
子供の体力低下が大きな社会問題ともなっている昨今、文部科学省では「幼児期運動指針」、日本体育協会では「アクティブチャイルド」の中で、幼児期の遊びを推奨しています。
「幼児期運動指針」によると、『幼児は様々な遊びを中心に、毎日、合計60分以上、楽しく体を動かすことが大切です』といっています。
この60分というのは連続したものでなくても1日の中で外や家の中で体を動かす遊び、散歩や手伝いなど、様々な動きを含めての合計時間です。
 
また、この指針のポイントのひとつに「発達の特性に応じた遊びを提供すること」というのがあります。
ここでいう幼児期は主に3~6歳の未就学児を指しますが、3歳と6歳ではできることが大きく違うため、年齢による発達の特性とその時期に経験しておきたい遊び(動き)が示されています。また、同年齢でも、発達に個人差が大きいのもこの時期の特徴です。よって、年齢別の遊びを参考に、その子に合ったものを選択してあげることが大切になります。
 

3~4歳頃におすすめの遊び

■ 発達の特性
・表の3種類の多様な動きが一通りできるようになる。
・心身の発達とともに自分の体の動きをコントロールするようになる。(←重要!)

 

■ 経験しておきたい遊びと環境づくり
・体を使った遊びの中で表の3種類の多様な動きが経験でき、自分から進んで何度も繰り返すことにおもしろさを感じることができるようにする。
 
幼児期に経験する基本的な動きの例

体のバランスをとる動き

立つ、座る、寝ころぶ、起きる、回る、転がる、渡る、ぶら下がる

体を移動する動き

歩く、走る、はねる、跳ぶ、登る、下りる、這う、滑る、よける

用具などを操作する動き

持つ、運ぶ、投げる、捕る、転がす、蹴る、積む、こぐ、掘る、押す、引く

4~5歳頃におすすめの遊び

■ 発達の特性
・基本的な動作が定着し、更に上達する。
・友達と一緒に運動することに楽しさを見出す。
・環境との関わり方や遊びを工夫しながら、多くの基本的な動きを経験するようになる。
・特に全身のバランスをとる能力が発達し、身近にある用具を使って操作するような動きが上手になっていく。

 

■ 経験しておきたい遊びと環境づくり
・なわとび、ボールなどの用具を使い、これらを操作する動きを中心に経験できるようにする。
 

5~6歳頃におすすめの遊び

■ 発達の特性
・無駄な動きが少なくなり、基本的な動きが更に上達する。
・ボールをつきながら走るというような、基本的な動きの組み合わせができるようになる。
・目的に向かって集団で行動したり、友達と力を合わせて満足するまで繰り返して取り組
 むようになる。
・他者と関わりながら、工夫して遊びを発展させていくこともできるようになる。

 

■ 経験しておきたい遊びと環境づくり
・同世代の友達と一緒に体を動かせるようにする。
・遊具を用いた複雑な動きが含まれる遊びや、様々なルールでの鬼ごっこなどが経験できるようにする。
 
尚、この年代はちょうど神経系が著しく発達していく大切な時期です。
5歳から8歳くらいまでの時期を、俗に「プレゴールデンエイジ」ともいいます。
この次に訪れる「ゴールデンエイジ」(9~12歳)は新しい動きを何度か見ただけですぐに身につけることができてしまうスペシャルな時期。
この時期を迎える前、プレゴールデンエイジの時期にいかに様々な動きを体験し、
基本的な動きを習得できているかということはとても重要になってきます。
つまり、素晴らしいゴールデンエイジを過ごすかどうかは、それまでの過ごし方に関わっているというわけです。
 

一緒に遊べば一石二鳥!子どもの能力を高め、自分は脱メタボ!


ここまでお読みいただくとわかる通り、運動神経の良い子に育てるためには、小さい頃からの積み重ねが大切なのです。
また、幼児期にしっかり基本的な動きを習得しておくことで、より複雑な遊びや運動の基礎を育むだけでなく、様々な危険から身を守るための基礎を育むことにもなります。
・・とはいえ、幼児期はまだ1人で外で遊ぶというわけにはいかない時期。
ぜひ、親子一緒に外で遊ぶ時間を作るようにしましょう!
子供の運動神経アップだけでなく、大人もストレス発散、子供との絆づくり、メタボ対策などいいことが盛りだくさん!運動神経は1日にして成らず!そして実践することが大切です。今日からでも、親子一緒に取り組んでみてくださいね。
 
 
 
(参考文献)
・文部科学省 幼児期運動指針ガイドブック
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/undousisin/1319772.htm
・㈱ベネッセコーポレーション ベネッセ教育総合研究所
「学校外教育活動に関する調査 2013」データブック p.7
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/kyoikuhi/2013/pdf/20130628_all.pdf
・財団法人日本サッカー協会 JFAキッズハンドブック P.4~5
http://www.jfa.jp/youth_development/players_first/pdf/u8u10.pdf
 


 
 
 

 

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。