今日から取り組める!女性のための尿漏れ対策
2025/03/11 掲載
このコラムに興味を持ってくださった方の中には、「くしゃみをしたら尿が漏れた」などのお悩みをお持ちの方もいるかと思います。
筆者も自身の妊娠・出産を機に、産前・産後の尿漏れに悩みました。
尿漏れは「尿失禁」といい、自分の意志とは関係なく尿が漏れてしまうことと定義づけられています。40歳以上の女性の4割以上が経験しており、実際に悩んでおられる方は大変多いのですが、症状が症状なだけに、人に言えずに我慢している方も多いのではないでしょうか。
主な尿失禁の原因
- ① 腹圧性尿失禁
- 咳やくしゃみ、重いものを持ち上げるなど、おなかに力が入った時に漏れるのが特徴で、骨盤底筋群と言われる尿道をしめる役割を担う筋肉が緩むことが原因と言われています。
- ② 切迫性尿失禁
- 急に尿がしたくなり、我慢できずに漏れてしまう症状です。前立腺肥大症、女性では膀胱瘤や子宮脱などが原因となります。
- ③ 溢流性尿失禁
- 尿が少しずつ漏れ出てしまうタイプで、自分の意志で尿を出したいのに出せないのも特徴です。前立腺肥大症や、直腸、子宮などのがんの手術後の膀胱周囲の神経の機能低下が原因となります。
- ④ 機能性尿失禁
- 排尿機能は正常にもかかわらず、たとえば、歩行障害のためにトイレまで間に合わない、認知症のためにトイレで排尿できない、などのケースです。
このように尿失禁には様々な種類があり、それぞれ原因が異なりますが、今回は女性に最も多い「腹圧性尿失禁」について、少しでもストレスを軽減する対策をお伝えします!
どうして起こるの?
腹圧性尿失禁は、骨盤の底部に位置する骨盤底筋群というハンモック状の筋肉が弱くなることで起こります。骨盤底筋群は尿道や肛門を締める役割を持ちますが、この筋肉が衰えると、くしゃみなどで腹圧がかかった時に、膀胱の中の尿が漏れ出てしまいます。
骨盤底筋群は、妊娠や出産などで筋肉が過度に伸ばされて生じる筋損傷や、加齢による筋力低下などによって衰えます。
また、肥満も腹圧性尿失禁の原因のひとつ。過剰な体重が腹部にかかることによって、骨盤底筋群への負担が大きくなります。
今日から取り組めるセルフケア
腹圧性尿失禁は、骨盤底筋群のトレーニングをすることで改善が期待できます。実際の方法をみてみましょう!
実施方法
- ◆寝転んで、座って、立って、楽な姿勢で行いましょう(骨盤やからだが動いたりしないように注意)
- ◆膣・肛門を締める(おへそのほうへ持ち上げる。尿や便、おならを我慢するイメージ)
- ◆息を吐くときに、力を入れる! 吸うときに緩める
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◆締める⇔緩めるを10回×3セット
※ひざにタオルを挟んで行うと、力が入りやすいです
慣れてきたら、自然な呼吸でしゃべりながら、歩きながら行うのもおすすめです。
また、利尿作用のあるカフェインやアルコール摂取量の制限、体重コントロールなど、日常生活も見直してみるのもよいかもしれません。
便利グッズもうまく頼ろう
尿漏れ対策として、生理用ナプキンやおりものシートで代用している方はいませんか?
尿漏れパッドと生理用ナプキンやおりものシートは、とてもよく似ていますが、機能は全く異なります。
経血と尿は成分や性状もまったく異なるため、尿漏れをしたときの吸収率が異なります。また、尿独特のにおいに対応する製品などもあるため、快適さアップのため、それぞれシーンに合った適切なグッズを使いましょう!
自分に合ったケアを
尿漏れにはさまざまな原因や種類があり、状況に応じた対応が必要となりますが、症状に合ったケアをすることで、日常のストレスが変化します。
セルフケアも重要ですが、いまは女性泌尿器科なども増え、産婦人科でも診療が可能です。
※タニタヘルスリンク社内セミナーで骨盤底筋群のトレーニングをする様子
無理な我慢をせずにできることから始め、少しでも尿漏れのストレスから解放され、快適な毎日を過ごせますように。
【参考文献】
・日本泌尿器学会(https://www.urol.or.jp/public/symptom/04.html)