サステナブルな食のトレンド

2024/02/13 掲載

サステナブルとは、英語でsustainableと表記し、「長く続く」「持続可能」と訳されます。近年では環境や社会問題に焦点をあて「環境や社会における持続可能性」を意味するようになりました。

そして今、注目されているのが「サステナブルフード」です。
サステナブルフードは、「自然環境や社会問題に配慮した持続可能な食品」を意味します。 欧米を中心に広まり、現在では日本国内でもサステナブルフードを手に入れられるようになりました。

今回は、特に自然環境に配慮したサステナブルフードを、2つのカテゴリーで紹介します。

食肉に代わる食品

1つ目は、食肉に代わる食品です。みなさんは、食肉が環境負荷増大の一因になっていることをご存知でしょうか?

畜産や餌を栽培する土地を確保するために、世界各地では心理伐採や焼き畑などが大規模に行われています。そして、飼料の生産や排泄物の処理、加工処理などの工程で排出される温室効果ガスは、豆腐やナッツ、野菜類の生産と比較すると10倍近くになります。

そこで、最近では食肉に代わる食品がいくつか登場しています。

  • 【植物性の代替肉やシーフード】

    代替肉とは、大豆など植物性原料を用いて肉の味や食感を再現した、肉の代わりとなる植物ベースの食品です。大豆を原料とした大豆ミートは、日本のスーパーやカフェでも見かけるようになりました。欧米では、エンドウ豆から作る「ビヨンドミート」が人気です。
    また、最近では植物性の水産物も開発されています。植物性の水産物では、大豆が原料のツナ缶やトマトから作られるマグロ、海藻と植物性タンパク質から作るエビなどがあります。これら植物性の食品は、温室効果ガスの排出量低減や、水産資源の保全にもつながります。

  • 【培養肉(クリーンミート)】

    培養肉(クリーンミート)とは、名前のとおり培養された肉です。動物の細胞から人工培養で作る食肉で、代替肉の中でも本物に近いという特徴があります。最近では魚肉の培養肉も登場しています。

    従来の家畜と比べて環境負荷が低いこと、広大な土地が不要であるなどのメリットがあります。まだまだ一般的な食品ではありませんが、将来は身近なものになっているかもしれません。

  • 【昆虫食】

    コオロギを使用したせんべいやチョコレートを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。コオロギやバッタなどの昆虫は、畜産よりも温室効果ガスの排出が少ないだけでなく、栄養価も高いと言われています。

    日本には昔から昆虫食の文化があり、現在でも長野県や、岐阜県の一部地域ではイナゴや蜂の子が食べられています。世界では現在も20億人が、昆虫を常食しているとの調査もあります。

地球に優しい食品

2つ目は、地球に優しい食品です。土壌の中の生物や、家畜のストレスについても考えてみましょう。

  • 【オーガニックの食材】

    化学薬品の長期的な使用は、害虫だけでなく土の中の微生物にも影響を与え、その土壌が持つ栄養を奪っていきます。オーガニック(有機)の食材は、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らずに生産されます。自然に寄り添った栽培を行うので、地球に優しいと言えるでしょう。

  • 【スマート米】

    AIやドローンを使ってピンポイントに農薬を散布するなど、テクノロジーを活用して農薬使用を最小限に抑えた栽培方法です。環境・生産者・消費者のすべてに優しいお米です。

  • 【アニマルウェルフェア】

    家畜にとってストレスや苦痛の少ない飼育環境を目指す考え方のことです。
    具体的には、牛や豚の放牧や、鶏の平飼いがそれにあたります。生産効率を優先した狭い飼育スペースや、痛みの伴うしっぽやくちばしの切断を避けています。

    アニマルウェルフェアに配慮して飼養管理することで、抗生物質やワクチンが少なくても元気に家畜が育つため、より安心な食品の生産にもつながっています。家畜にも優しい、サステナブルフードと言えそうですね。

サステナブルフードに関する認証ラベル・マーク

実際には、どの食品がサステナブルフードに当てはまるのか判断が難しい場合もあるかと思います。そんな時に目印となるのが、認証ラベル・マークです。
ここでは、代表的なものをご紹介します。

● 有機JASマーク
農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として自然界の力で生産された食品を表しており、農産物、加工食品、飼料、畜産物及び藻類に付けられています。
認証された事業者だけが有機JASマークを商品につけることができ、有機JASマークがない商品に「有機」や「オーガニック」という名称をつけるのは禁止されています。

● レインフォレスト・アライアンス認証
持続可能性の強化につながる手法を用いて生産されたものを認証します。農園は持続可能性の3つの柱(社会・経済・環境)をもとにした厳しい基準要件に準拠することを求められます。
そのほか、森林や天然資源、生物多様性の保全、生産者と農園労働者の生活水準の向上や人権保護などにも配慮されています。
小さな緑のカエルが目印で、コーヒーやチョコレート、バナナなどでこの認証を見つけることができます。

選択肢のひとつとして

自然環境や社会問題に配慮した持続可能な食品である、サステナブルフード。国内外で少しずつ増えてきていますが、まだまだ知らない人も多いです。

オーガニック食品やサステナブルフードは値段が高く、なかなか手が出せないと感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、私たちの選択で、生産者を応援するだけでなく、サステナブルフードの必要性を企業に伝えることができます。
毎日食べるものだからこそ、地球にも優しい食品を選んでみたいですね。

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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