脳力アップのためにできること ~睡眠・運動編~

2012/04/06 掲載

集中力や記憶力を高める、脳のために良いこと。今回は、睡眠・運動についてお伝えします。

前回・前々回の脳力アップのためにできること~食事編~はご覧いただけましたか? あわせてご活用くださいね。

脳力アップのためにできること ~食事編 前半~
脳力アップのためにできること ~食事編 後半~

 

脳を休ませないとオーバーヒートに?!

脳の性能を向上させるには、休養・睡眠は必要不可欠!いくら脳を鍛えた有能な人材でも、眠い状態や、疲労が蓄積した状態では持てる力を十分発揮することはできません。

忙しいと、ついつい睡眠時間を削ってなんとかしようとしがちですが、かえって効率を悪くするので、得策とは言えません。
睡眠中の脳の状態には、眠る部分と、眠らずに働き続ける部分があります。
心臓の拍動、呼吸、体温をコントロールし続ける延髄、橋、中脳などの脳幹は、心臓の拍動、呼吸、体温をコントロールし続けるため、一時も眠る間もなく昼も夜も働き続けます。
ここで使われるエネルギーがいわゆる「基礎代謝」の一部ですね。

脳で眠る部分は、大脳(大脳辺縁系、大脳基底核、大脳新皮質)になります。大脳のためにも、睡眠は重要!
ではなぜ大脳が眠りを必要とするのか、その秘密は大脳の4つの性質にあります。

<大脳 4つの性質>
【1】大脳は莫大な数の興奮性神経細胞が膨大な情報を処理するために活動している超多忙な臓器であること
【2】エネルギー消費量が極めて大きい臓器であること。(連続運転するとすぐにオーバーヒートし、疲労してしまう)
【3】酸欠に極端に弱い、きわめて繊細な臓器であること
【4】昼間活動に使う興奮性伝達物質を生産・補給する必要があること。



このような性質であるため、勉強、仕事、スポーツなどの活動で疲れた大脳を休ませて、疲労を取り除きリフレッシュすることが、明日の積極的な活動のためにどうしても必要となるのです。
大脳は人生の活動を全て決め、実行に移す指令を出す極めて重要な臓器。その大脳の活動は睡眠の質に左右されるので、質の良い睡眠をとることが大切なのです。

<睡眠の質アップのコツ>
*規則的な睡眠
就寝、起床の時刻をできるだけ規則的にし、不規則な仮眠を避ける。昼寝や仮眠は短めに。

*眠りにつく前にリラックス 大脳の興奮を避ける
思考力や想像力を要求する本を読む。テレビ、映画などは見ない方が良い。
心配事などはできるだけ避け、ゆったり落ち着いた時間を過ごす。
カフェインは大脳新皮質を興奮させるので、夜のコーヒー、ティーは避ける。

*暗くて静かな部屋を用意する
光を浴びると睡眠物質のメラトニンを分解してしまう。

*アルコールの多量飲酒は避ける
アルコールは眠気を呼ぶが、大脳新皮質の興奮を抑制するので、1合程度まで。
 

仕事ができる人は筋トレをする?

「脳トレ」とは、「頭を使えば、頭がよくなる」ということです。みなさんご存じのように筋肉を使うと、筋肉が増強されますよね。
同様に脳も積極的に使うことで訓練されます

脳は外部から情報を取り入れ、それを総合的に判断して全身をコントロールする司令塔です。脳に情報を送りこむ身体を鍛えることが脳を鍛えることにもつながります。

詳しく説明すると、筋トレをすることにより、脊髄からでる筋紡錘という感覚神経を刺激するので、脳を活性化する効果があるのです。
ポイントとして、筋肉が太いほど脳への情報の強さが大きくなるので、脳トレに効果的なのは大きな筋肉を意識して鍛えること!

大きな筋肉とは、おなか、太もも、胸、背中、肩、腕など!さらに筋トレの際には「この筋肉を鍛えている」と意識すること!
この筋肉を鍛えることでこんな良いことがあると目的意識を持って筋トレすると、筋肉にも脳にも効果的です。
 

こんな運動が脳に効く!

<ウォーキング>
筋トレ以外にも、ウォーキング、ストレッチ、咀嚼(噛むこと)、指の運動なども手軽にできる脳の活性法です。
特にウォーキングは、覚醒効果、記憶力・理解力(情報処理能力)、注意力・集中力・意欲(意図的行為機能)に
効果があるとされています。

ウォーキングが脳に良いとされるのは、景色がどんどん変化することで、多種多様な視覚情報が脳に入力されるから。
これもまた大脳新皮質を活性化します。それまで側頭葉に保存されていた情報が前頭連合野に転送され、新しい
アイディアが創出されるからです。筋トレだけでなく、考えながら歩くことも脳を鍛える効果的な手段といえます。

<噛むこと>
しっかり噛むことで、咬筋、側頭筋の筋トレになり、脳への直接的な刺激がいくことと、口の中の感覚神経や味覚、
嗅覚が刺激され脳に刺激がいくこと
。こうした幅広い情報、刺激が脳に伝わり大脳の広い範囲を興奮させる効果があります。

<指の運動>
指先を使うことが脳の活性化につながるといわれています。それは、手の体性感覚野(脳のインプット部分)と運動野(脳のアウトプット部分)の対応領域が非常に広いことから手を使うことが脳へのin outの刺激になるというわけです。
ピアノ、フルートなどの楽器演奏も指先を使い、美しい音楽を奏でることにより脳の活性化につながります。

脳力アップのためにできること~睡眠・運動編~いかがでしたか? 筋トレが、脳を活性化させるなんてちょっと意外ですよね。
筋トレをすることで、基礎代謝もアップ、脳力もアップ!一石二鳥ですね。

次回は脳力アップ特集の最終回!コーヒー・たばこ・コーラなど、普段何気なく口にしている嗜好品が脳に与える影響について
考えます。

「脳力アップのためにできること ~嗜好品編~」


参考資料
栄養の基本がわかる図解辞典
食べ物を変えれば脳が変わる
脳の健康
治す・防ぐ・若返る健康医学事典 こころ力脳力編

 

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