姿勢と脂肪燃焼の関係は?

2012/03/29 掲載

姿勢と脂肪燃焼の関係は?オフィスでかっこよくキメると脂肪が燃える!?

みなさんは「職場」で一日どれくらいの時間を過ごしますか?
「一日の大半を過ごす」なんて方も多いのではないでしょうか?
今回はその職場での「姿勢」や「見栄え」と「エネルギー消費」「脂肪燃焼」の関係についてのお話しです。

姿勢の良い人はそれだけでスタイル良く見えるものですが、実際、いつもシャキっと姿勢良くしている人にあまり太った人はいないようです。姿勢が良いから身体も引き締まってくるのか、身体が引き締まっているから姿勢もよく見えてしまうのか、、まぁ、両方とも言えるのでしょうけれど、いきなりスタイル良く引き締まった身体になるのは無理!でも姿勢だけなら、今、この瞬間から良くすることはできますよね。
しかーし実際に具体的な効果がないと続かないのが人間の心理でもあります。そこで!姿勢をよくすることで実際にはどれくらいエネルギーが使われるのか、どんな効果がどれくらいで現れそうなのか、実験データを使って検証・試算(←あくまでも理論上の試算ですよ!)してみました。

(1)実は意外とエネルギーを使う「姿勢」

今、ためしに「エイ!!」っとお腹に力を入れて背筋をのばしてみてください。自然と呼吸が深くなりませんか?
それだけ余分に酸素を必要としているということで、実は姿勢を整えることには結構エネルギーを使うのです。
実際数値的にはどれくらい違うのか。タニタで行った呼気分析実験の結果から差の平均を見てみました。
(あくまで社内実験として行ったもので学会等の公的な場で発表したデータではありません“参考として”ご覧下さい)。

【グラフ1】に示したように、 「ゆったり座る」と比較すると「背筋を伸ばす」だけで体重1kgに対して1分間で平均約0.5ml/kg、「立つ」と約平均3.0ml/kg酸素消費が多くなっていました。 この酸素摂取量の差がどれくらいの差なのかというと、例えば体重60kgの人が30分背筋を伸ばして座った場合1日で消費エネルギー4.3kcalの差になります。

4.3kcalというと“ちょっぴり“な感じですが、
・10日で43kcal(コーヒーゼリー1個程度)
・1ヶ月で129kcal(大福餅1個程度)になります(表1)。


更に立った場合は
・10日で270kcal(苺のショートケーキが食べられます)
・1ヶ月で810kcal(焼肉定食だってイケます!)にもなります(表2)。


ちょっとした姿勢の違いでも、続ければ結構大きな差になることがおわかりいただけたでしょうか。

(2)どれくらい続ければ体組成にも効果が現れる?

このように、「姿勢」には“意外と”エネルギーを使っていることはわかったのですが、姿勢を正してエネルギーを余計に使った場合、果たして体組成にも効果は現れるものなのか?どれくらい頑張れば体組成自体にも効果が出てきそうなのか・・・そこが気になるところですよね。
実際、姿勢を意識しただけで体組成に変化が現れるかどうか、実証データではないのですが、先に紹介した呼気分析実験の結果を元に、消費エネルギーが増加した分脂肪が使われると仮定して試算してみました。 純粋な脂質1gは9kcalですが人間の体脂肪は水分や細胞組織なども含まれるので1g約7.2kcalと言われています。姿勢変化だけでこの体脂肪を500g減らすほどの消費エネルギーを稼ぐには何日かかるか(0.5kg変われば体組成計にも充分変化が現れますよね)という計算を行いました。

<脂肪500gに相当する消費エネルギーを稼ぐには>
○ 「背筋伸ばし」を1日30分 : 2年と4ヶ月程度(837日)
○ 「立つ」を1日30分 : 3ヶ月と13日(133日)
(※体重60kgの人という仮定)

うーん。ちょっと気の長い話しではありますが、「背筋を伸ばす」だけでも2年半も続ければ脂肪が0.5kg減ってくれるかもしれませんし、いつも座っているところを30分立つようにすれば、わずか(?)
3ヶ月ちょっとで体組成計にも効果が現れるかも!? どうです?少しは姿勢に気をつけてみたい気持ちになってきましたか?(仮定の試算なのでやや説得力に欠ける気はしますが。)

(3)「姿勢」でエネルギー消費増加を長続きさせるコツ

さて、ここまでデータを見ていただいて「これから姿勢に気をつけてみようかな!」と思っていただいても、大抵はその一瞬だけで、いつのまにかシュウっと力が抜けて元に戻ってしまうのが普通だと思います。人間、余計なことにエネルギーを使わず「最もラクな状態」でいたいのが本能ですし、すぐに結果が見えないものを「頑張り続ける」ことはたとえ小さなことであってもなかなか大変なことですから。大切なのは良い姿勢を保つことをできるだけ「意識すること」です。最初のうちは何度も力が抜けて戻ってしまってもいいのです。またもう一度意識して繰り返すようにすればそのうちきっと習慣になるはず。

1. 気付いたらお腹に力を入れて背筋を伸ばす
2. しばらくそのまま深呼吸
3. できればそのまま仕事をする ・・・・しばらく経過

→「あれ、また力抜けちゃってる」と気付いたらまた1.から。

「電話が鳴ったら姿勢を意識する」とか「誰かが席を立ったら姿勢を意識する」とか、ふと気付いて意識することができるちょっとした“姿勢を意識するポイント”を決めておくと良いですよ。
パソコンを使っている方は一定時間ごとに「姿勢!!!」とか「しゃきっと!」なんてメッセージが画面の端に流れるように設定しておいたりすると楽しいですね!あとはちょっとしたことでも立ち上がって歩き回ること(あんまりやりすぎると落ち着き無い人みたいに見られちゃいますが・・・)、通勤電車ではできるだけシャキっと立つように心がけることも毎日のことですから結構大きな消費エネルギーになります(でも疲れてる時は無理せず座ってくださいね)。
これが習慣付けばいつも外からの見た目がカッコよくシャキッとしているだけでなく、少しずつですが身体の中でも脂肪が燃焼され、姿勢を維持する筋肉が鍛えられます。やがては身体自体がカッコよく引き締まる日が来るはずです。


・・・というわけで、「姿勢を意識する」って良いことだらけだとわかっていただけましたでしょうか。体組成にまで変化を期待するにはちょっと気の長い話かなぁ・・・とは思いますが、ちょっとした「意識」の問題ですし、面倒くさがり屋さんにもこれくらいならOKですよね。
これからはちょっとだけでも「姿勢」、気にしてみてくださいね!

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