季節によって食欲がアップするのはなぜ?

2012/03/28 掲載

秋の味覚

夏に暑かったり、疲れたりと食欲が減退するのに対して、秋から冬にかけては「食欲の秋」といわれるように、食欲がアップする人が多いのではないでしょうか?

毎年秋から冬にかけてどうしても太ってしまって・・・という方も
多いのではないでしょうか?

今回は、何かと話題になる「食欲」にクローズアップします。
秋になると食欲がアップするのはなぜでしょうか?

秋になると「食欲UP」の謎!

昔から「食欲の秋」と言われていますが、実際、夏が終わり涼しくなってくると 「食べたい」欲求が増して食べる量が増え、
体重増加につながってしまう人が多いようです(私はまさに毎年それを繰り返しております(^^;))。

なぜ「秋」に食欲が増すのでしょうか? 食欲に影響のある要因は様々あり、それぞれが複合的に絡んでいるので
単純には言えませんが、これまで研究結果として出てきていることの中からある程度根拠と裏付けのあるものをいくつか挙げてみましょう。
 

1.日照時間減少・照度低下との関係(セロトニン分泌低下)

夏から秋になると、日照時間が減少して明るさが低下しますが、精神の安定化を保つ作用のある脳内の神経伝達物質で、
食欲の調整にも深く関わっているセロトニンは、日光にあたった時間によって分泌量が調整されることがわかってきました。
つまり、日を浴びることが少ない秋には、夏に比べセロトニン分泌量は減少してしまうのです。

日光にあたる以外に、セロトニン分泌量を増やす方法は、糖質、乳製品、肉類の摂取や睡眠をとること。

秋になると食欲が増すのは、たくさん食べたり眠ったりすることでセロトニンを増やし、
精神の安定を保とうとするからではないかと言われています。
 

≪日照時間と日射量≫

【図1】に初夏から初秋にかけての東京の平均日照時間と日射量(面積当たりの日の光の強さ)を比較しました。

9月~10月にかけて、日照時間・日射量ともにガクンと落ちています。確かに9月以降は暗くなる時間が早い!と感じますよね。

では、たくさん光を浴びればいいのか、と部屋の明かりを煌々とつけて過ごせば
心が落ち着き食欲も抑えられるかと言うと…そうもいきません。
 

≪明るさ≫

「明るさ」の計測値で比較するとどんなに明るく見える室内照明も、屋外の
大雨の日にすら及ばず、晴れた日の日中の明るさと比較すると、なんと1/200にも満たないのです。

これは明るさを感じる仕組み室内照明と自然の日光とでは違うというのもあるのですが、
どんなに頑張って室内を明るくしても、外で太陽の光を浴びるのとは全然違うことがわかりますよね。

気分良く食欲コントロールするためには、やっぱり室内に籠っていてはダメなんですね。
これからどんどん日が落ちるのが早くなりますが、食欲の調整のためにも
晴れた日には外に出て、気分転換することを心がけた方が良さそうです。
 

2.気温変化に対するからだの反応

≪気温が低下すると、基礎代謝がアップする?≫

これまでもよく言われているのが気温の低下による基礎代謝の変化です。
気温が下がると、体温保持のためからだの熱産生が高まり、基礎代謝が上がることは良く知られています。

過去の文献では、夏に低下した基礎代謝が秋から冬にかけて上昇することが示されています(図3)

 

基礎代謝が上がれば、それだけエネルギーを多く使ってしまうため、その分を補給しようとお腹がすくことも頷けます。

しかしながら、近年ではエアコン等空調機能の発達で、季節変化による基礎代謝への
影響はほとんど考慮しなくても良いのではないかと言われています。


 

3.その他の要因

その他にも、「夏バテ気味で低下していた食欲が、涼しくなって回復する」「秋は美味しくなる旬の物が多いので、
食べたくなるのは自然なこと」「食べ物が捕れなくなる冬に向けて秋のうちに食べて身体に蓄えておくという、
生き物の自然の摂理」など、とにかく「食欲の秋」の出所を探ろうとするといろいろな話があり、
「ナルホド、そうかもしれない」と、納得のいく説がたくさんあります。
 

秋になり食欲がアップするのは、こうした様々な要因が影響しあい、相互作用しあって「食欲の秋」へとつながっているのだと思います。
とはいえ、納得して食べてばかりもいられません。

続きのコラムは、そんな「食欲の秋」をできるだけストレス無くコントロールするカンタンなコツをいくつかご紹介します。

食いしん坊必見!食欲はコントロールできる!?

 

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