夏の疲れを残さない

2012/03/29 掲載

夏ばてはどうして起こるの!?

湿度は異常に高いと汗がうまく蒸発せず熱が体内にこもり、体温調節などの自律神経の乱れが起こり、身体の不調を引き起こします。それにより、食欲不振や消化機能が低下し、本来必要とする栄養素が不足しがちです。また、夜は寝苦しく、睡眠不足になると疲労が解消されない為、慢性的に疲労がたまる・・・

これが「夏ばて」の原因です!

と言いたい所ですが、本来人間の身体は、ホメオスターシスといって常に一定の状態を保とうとする働きがあり、私達の身体は環境の変化に適応できるようになっているのですが・・・冷房のかけ過ぎや水分のとり過ぎ、そうめん等口当たりの良いものしか食べない等の食事の偏り、
このような環境の変化に対する対応の悪さから、自ら「夏ばて」の状態を作り出している場合も・・・。

食事をしっかり食べて疲労回復

食事の基本、主食(糖質)+主菜(たん白質)+副菜(ビタミン・ミネラル類)を意識しましょう。
主食でエネルギーの源を摂り、たんぱく質(肉・魚類・卵・大豆製品)で抵抗力がアップ、ビタミン・ミネラルで体の調子を整えます。ビタミンの中でも、ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える代謝を助け、夏ばてなどの疲労回復に即効性があります。

不足するとエネルギー代謝が上手く行われず、だるさや疲労感が蓄積される原因にもなります。スタミナ不足→疲れやすくなる→食欲不振の悪循環とかえって体調不良に拍車をかけてしまいます。暑くて食欲のない時には、食事はあっさりとそうめん、水分補給にビール、体を冷やすのにはアイスクリームなど・・・つい、こういったものに偏りすぎてはいませんか?これらの食品に含まれる栄養素は主に糖質ですので、糖質に偏った食事はビタミンB1の消耗も激しく多くのビタミンB1を必要とします。

ビタミンB1は、「豚肉・うなぎ・レバー・枝豆・玄米など」に多く含まれ、強い殺菌効力と疲労回復効果のある栄養成分アリシン(にら、たまねぎ、にんにく、生姜)と一緒にとると、吸収率がアップします。枝豆には、良質なたんぱく質も豊富に含まれているので、ビールのおつまみに枝豆の組み合わせは理にかなっているのです。だからといって、飲みすぎは駄目ですよ。

たとえば、そうめんだけではなく、冷やし中華のように野菜、卵、お肉などをトッピングすると栄養効果とともに、疲労回復度もアップします。その他、ビタミンC(レモン、ブロッコリー、キャベツ、ゴーヤ、キウイフルーツなど)には、暑さなどによるストレスから身体を防御する働きや、美白効果があるので夏の日焼けしたお肌の疲れにも効果的です。ビタミンB1・Cは、摂りだめすることができないビタミンですので、普段から特に意識してとりたい栄養素です。

上手な水分補給で疲れ知らず

私たちの体組成のうち約60%が水分です。2%が失われると運動能力の低下、5%が失われると体調に変化があり、10%失われると生命維持の危険があります。成人では、通常1日約2.5リットルの水分の出納を繰り返しています。水分不足は、体調不良の原因にもなります。特に汗をかく夏場は、熱中症をさけるためにも、適量の水分補給が欠かせません。汗は、水分だけでなくビタミンやミネラル、特にナトリウム(塩分)の成分が多く排出します。スポーツ飲料には、汗の成分の喪失分を補給するために、ナトリウムや糖質(ナトリウムの吸収を高め、エネルギー源となる)が主に含まれています。

運動時など多量に汗をかいた時には、水分とあわせてそれらの補給をすることで疲労回復が高まります。ですが、ナトリウムや糖質は、たくさん含まれていればよいわけでなく、ペットボトル(500ml)1本あたり、ナトリウム200~400mg、糖質25~30mg含まれているものを目安に少量ずつ、飲むことをお勧めします。しっかり水分補給といいながらも、水分の摂りすぎは、胃酸を薄め、食欲不振・消化機能低下の原因となり夏ばてを助長してしまいますので、 注意してくださいね。

また、清涼飲料水には、意外に糖質を多く含むものもあります。これによる糖質過多も、ビタミンB1の補給が間に合わず、疲労の原因にもなりかねません。もちろんカロリーオーバーにも注意です。水分補給にはスポーツドリンクとカロリーのないお茶やお水を上手に取り入れることが、疲労予防のコツでもあります。状況によって、飲む量や種類を選ぶことが大切です。スポーツドリンクも常用として飲む場合は、糖質が多いので1.5倍~2倍に薄めておくとよいですね。

 

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