おいしい色ってどんな色?色と食欲について考える!

2019/08/13 掲載

「おいしさ」の演出は色の効果?

SNS映えなどのことばが流行する通り、写真を美しく見せる事は興味や関心をひく大きな要素ですね。

料理や飲食店のインテリアなど、食事に関する部分でも、色の組み合わせは食欲に大きな影響を及ぼします。

食卓でも、食材はもちろん、食器、テーブルクロス、カトラリー、照明まで、非常に多くの色の効果によって「おいしさ」が演出されています。

 

では、どのような色の食品に私たちはおいしさを感じるのでしょうか?

今回は食品の色彩と味覚や食欲について考えてみましょう。

食欲を増進させる色とは?

新しい食品を受け入れるかどうかを決定する要素として、約8割の人が色彩、約6割が形態、約4割がにおいと回答し、食品の色は食欲を増進させるのに最も重要な要素であると言えます。※1

 

中でも食欲を増進させる色は、オレンジ・赤・黄などの暖色系の色、逆に食欲を減退させる色は、青・紫などの寒色系の色や黒やグレーの無彩色である事は、多くの調査や研究からも明らかです。

 

色と色との関係で代表的なものに補色というものがあります。色相環図の対局にあたる色の活用により、互いの色を引き立て合う働きがあります。

飲食店などでは、補色の効果を活用する事で、おいしさを効果的に演出しています。

作図:タニタヘルスリンク

ステーキやハンバーグの付け合わせに、白いマッシュポテト、その隣にオレンジ色のにんじんのグラッセや、緑のインゲンやクレソンを添えるとお皿がぐっと色鮮やかになります。

和食でも赤のマグロ、白のイカや鯛、オレンジ色のサーモンなどを1つのお皿に盛り付ける際に、鮮やかな緑の青じそや黄色の菊の花を添えるのも同様の効果が期待できます。

甘さをイメージする色、酸っぱさをイメージする色

他にも色彩と味のイメージを調査した研究から、甘い味をイメージする色としては、ピンク・オレンジ・赤をあげる人が多いとされています。

酸っぱい味をイメージする色としては、黄色が圧倒的に多く、これはレモンやかんきつ類の味の経験から、強く印象づけられていると考えられています。

塩味をイメージする色は白と青、苦味をイメージする色は茶色と無彩色、緑が挙がり、これはコーヒーや焦げた食品、ほうれん草などのえぐみと結びついたイメージによる物だと考えられています。※2

 

確かに、私自身も酸っぱいレモンといえば、黄色の中でも、少し黄緑がかった色をイメージしたりと自分自身の経験から味をイメージする色は決まってくるようです。食品のパッケージなどには、これらの色彩の効果を活用しているものが多く見られます。

 

人間のからだに色が及ぼす影響として、「ライト・トーナス値」という数値があります。

アメリカのロバート・ジェラール氏が行った実験によるもので、光線を当てた筋肉が緊張、弛緩と変化することを数値化したものです。

通常の筋肉の状態を数値で23とすると、各色の光線に対する筋肉の変化は 赤が42、オレンジが35、黄30、緑28、青24という値になり、数値が小さいほど筋肉が弛緩している「リラックスしている」状態で、反対に数値が高くなるほど、興奮状態を表します。しかも、この光線の色に対する効果は視覚からの影響を受けていないというのです。

 

「ライトトーナス値」
色相 測定値 反応
正常 23 弛緩
ベージュ 23
24
28
30 緊張
興奮
オレンジ 35
42

これらを活用すると、レストランのインテリアや、食器、食材の組み合わせなど、食欲をコントロールする様々な事に活用できそうです。

ベージュや白のお皿に、食欲を高める赤・オレンジ色・黄と、緑を程よくミックスさせたカラフルな食卓は落ち着いて、かつ楽しく、おいしい食事をイメージさせますね。

 

ワンランクアップすると、元気を出したい日のランチには、真っ赤なトマトベースのパスタを、少し落ち着きたい日は緑や白、ベージュ系の多い和食を選ぶなどの使い分けも良いかもしれません。是非、日々のお食事の際にお役立てください。

 

※参考文献

1.畑明美 食べ物の色彩管理に関する研究 食品の物性 第14集

2.奥田弘枝ら 食品の色彩と味覚の関係 日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan 35(1), 2-9, 2002-02-20

 

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