季節によって血圧が上がる?冬の高血圧にご用心!

2012/03/28 掲載

血圧計最近運動不足だな、食生活が乱れてるな、そんなことが気になったとき皆さんは何をしますか?まずは体重を測る!という方が多いのではないでしょうか?中には体型維持のために毎日体重計に乗っている、という方もいると思います。

それでは、血圧はどうでしょう?体重は測るけど、血圧を測る習慣はないという方に是非知っていただきたいことがあります。それは血圧は季節の影響を受けるということ。特に冬は血圧が上がるシーズン!いつもより数値に気を付ける必要があります。

なぜ、健康のために血圧をはかることが必要なのでしょうか。今回は、健康維持に欠かせない血圧の仕組みについてご紹介します。

血圧ってなに?季節により測定値が違うのはなぜ?

◎血圧ってなに?
血圧計 血圧とは「血管内にかかる圧力」のことです。心臓からからだのすみずみまで血液を送り届けるために、心臓が血液を押し出し、そのポンプの力で押し出された血液が発生している力を血圧と言います。

心臓が拍動するため、血圧は高いときと低いときが交互に生じますが、これを収縮期血圧(最高血圧)拡張期血圧(最低血圧)と言います。

メタボリックシンドロームの診断基準である“HDLコレステロール”や“空腹時血糖値”そして“血圧”は季節で変動することが分かっています。
いずれも夏より冬に高くなりますが、その季節による差が最も大きいのが“血圧”です。ある調査によると、最高血圧が4mmHg、最低血圧が8mmHg高くなるといいます。この傾向は特に40歳代以上で顕著で、冬はメタボリックシンドロームと診断される割合が増加します。

◎冬に血圧が高くなるのはなぜ?
では、なぜ血圧が冬に高くなるのでしょうか?

血圧は心臓・血液など様々な要因で変化しますが、血圧の決定要因の1つに、末梢血管の抵抗があります。冬は寒いために、熱が外部へ逃げるのを阻止しようとして、血管が収縮して細くなります。
すると、血管の断面積が小さくなり、血液を送るために大きな力(血圧)が必要となるのです。春に健康診断で問題がなかった場合でも、冬は想定より血圧が高くなっている可能性もあります。

また、忘年会や新年会で食べ過ぎて摂取塩分や脂肪量が多くなることによって血圧が上がります。それにより、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。

血圧をはかる仕組み

BP-900

以前血圧は、直接血管に針を刺して測っていましたが、血管に傷が付くため現在では、腕にカフを巻き間接的にはかる方法が開発され主流になっています。腕をギューッと圧迫して、シューッと空気が抜けると言う動作ですが、あの一連の動きでどうやって血圧をはかっているのでしょうか?

水が流れているホースを指でつぶした時をイメージして下さい。少しずつ力を抜き、水が流れ始めた際に指をに伝わる圧力が最高血圧、指を離したときと同程度に水が流れた際の圧力が、最低血圧です。

具体的には、以下のような仕組みで変化する振動の変化点からはかられています。
 
・最高血圧より大きな圧力がかかっていると、血管はつぶれた状態で血流は阻害されます。カフに伝わる振動は微小です。
・最高血圧を下回ると血流が再開し、動脈は心拍と同期して容積(つぶれ具合)が変動し、カフ内に振動が生じます。
・カフの圧力を下げていくと、最低血圧近くでは容積の変動は小さくなり、振動も最小となります。

ちなみに、家庭ではかる場合の成人の高血圧の判断基準は、最高血圧135 mmHg・最低血圧85 mmHg以上です。高血圧予防のために、家庭でも毎日血圧をはかることをオススメします。
 

血圧の正しい測定方法 

ところで、家庭で血圧をはかるときの正しい測定方法はご存知ですか?気になる高血圧の早期発見にも、家庭での血圧測定は重要です!正しくはかるために、血圧測定時の注意点を確認しましょう。

≪時間・環境を揃える≫
・測定時間や場所など、測定時の環境条件を揃えることで日々の変化が追えます。

≪安静時に測定する≫
・食後や、運動後、入浴後、喫煙後は血管の状態が安静時と異なります。
・コーヒーや紅茶などの摂取後も、カフェインの影響が出ます。
・騒音や振動があったり、寒すぎる・暑すぎたりすると緊張で血圧が変化します。

≪正しい姿勢で測定する≫
・血圧計は平らな場所に置き、カフの中心と心臓が同じ高さになるようにしましょう。
・カフは、ゆるすぎず、きつすぎず適度に巻きます。(服をまくりあげることで腕に圧力をかけないようにする。厚手の服の上からカフを巻かない)
・姿勢正しく、測定中は動かず喋らないようにしましょう。
※タニタ血圧計説明書より

 
血圧計BP-191
タニタ血圧計についてはこちら


生活習慣病の中でも、日本人にもっとも多く見られる高血圧症。

その多くはほとんど自覚がないまま、密かに血管をむしばんでいくため「サイレント・キラー」と呼ばれ、放置すると、動脈硬化心筋梗塞脳卒中などの発作を起こす可能性があります。高血圧を防ぐためにも、血圧測定は習慣化したいもの。まずは定期的に測定し、高血圧の早期発見、そして高血圧にならない生活習慣を身に着けて行きましょう。



<参考文献>
亀崎, 園田, 尾辻, “メタボリックシンドローム有病率の季節変動”, 血圧, 17(9), 744-745, 2010.
(社)日本生体医工学会ME技術教育委員会 監修, “MEの基礎知識と安全管理 改訂第5版”, 南江堂, 2008.

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