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摂取カロリーを通常の70%くらいまで減らす、カロリーリストリクションという考え方があります(もちろん必須栄養素は十分に摂取します)。私たちが普段食べている食事内容を考えると、それほど高カロリー食のなかった昔から言われている『腹八分目』くらいが相当するのでしょうか。 このカロリーリストリクションの効果として、ヒトにおいてはまだ実証されていませんが、微生物から哺乳類まで寿命の延びることが多く報告されています。霊長類のサルにおいても、カロリーリストリクションで20年間飼育したところ、病気が明らかに少なく、また毛並みなどの見た目も若かったとのことです。

この理由として、カロリーを制限することで、どうやら体内のスイッチが切り替わるのではないかと考えられています。 近年注目されている体内の因子に“サーチュイン”という酵素があります。このサーチュインは体内のさまざまな機能を調整していて、寿命にも影響を与えているとされています。このサーチュインの活性化には細胞の中にあるNAD+という補酵素が必要なのですが、このNAD+はエネルギー代謝に関連しています。 摂取カロリーが少ないとNAD+が増えて、サーチュインが活性化され、健康や寿命に良い影響を与えるようになると考えられています。

健康で長生きしたい、・・・けど食べる楽しみも我慢したくない!と思ったのかは分りませんが、そんな都合のいい(?)物質も見つかっています。“レスベラトロール”というポリフェノールの一種がこのサーチュインを活性化させることが分りました。レスベラトロールを与えたマウスは、高脂肪食でも体脂肪がつきにくく、代謝異常になりにくかったそうです。
このレスベラトロールは、ブルーベリーやブドウの皮に含まれているそうで、赤ワインにも含まれています。

『よし、そろそろボジョレー・ヌーヴォーの季節だし赤ワイン飲めばOK!』と思ったのですが、マウスに与えた量を換算して、赤ワインで摂取しようとすると・・・無理です、ボトルを何本空けても足りないようです(ちなみにピーナッツの皮にも多く含まれているとのことですが、私は遠慮しておきます)。『少しは良いことがあるかも』くらいで、適量を飲むのがよいのでしょう。

レスベラトロールのヒトに対する影響はまだ正確には明らかになっていませんし、当然ですが他の栄養素も健康長寿に必要です。カロリーリストリクションもレスベラトロールも、細胞の中にあるミトコンドリアの機能を改善すると考えられていますが、運動でもミトコンドリアを増やすことができます。 やはり、定期的な運動とバランス良い食事を腹八分目、むしろ七分目くらいの心がけが良さそうですね。運動したらお腹がすくのですが、少しずつ努力してみようと思います。

=今回のコラム担当 TAKASY=

(参考資料:坪田一男 『長寿遺伝子を鍛える―カロリーリストリクションのすすめ―』
Allard JS,ら. Dietary activators of Sirt1.Mol Cell Endocrinol. 2009 Feb 5;299(1):58-63.
Colman RJ,ら. Caloric restriction delays disease onset and mortality in rhesus monkeys. Science. 2009 Jul 10;325(5937):201-4.
Yang H,ら.Nutrient-sensitive mitochondrial NAD+ levels dictate cell survival. Cell.2007 Sep 21;130(6):1095-107.
Lagouge M, ら. Resveratrol improves mitochondrial function and protects against metabolic disease by activating SIRT1 and PGC-1alpha.Cell.2006 Dec 15;127(6):1109-22.)




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