明朝から役立つ!一日の血糖値の変化を意識した朝食とは?

2019/12/10 掲載

皆さんは朝ごはんを毎日食べていますか?
朝食が一日のスタートとして重要な食事であることは分かっているけど、食事よりも睡眠が優先という方もいるかもしれません。
朝食を摂ることで、体温を上げたり、体内時計をリセットしたりする効果があることはよく知られていますね。
今回は朝食の内容によって一日の血糖値の変動幅が変わるというお話です。

セカンドミール効果とは?

GI(グリセミックインデックス:食品ごとの血糖値の上昇度合いを表現した指標)の提唱者であるカナダ、トロント大学のジェンキンス博士が1982年に発表した概念。 一日の最初に摂る食事(ファーストミール)が次に摂った食事(セカンドミール) の後の血糖値に影響を及ぼすことを「セカンドミール効果」と定義しています。


例えば、朝食に大豆を含む焼き菓子を食べたグループと米を材料にした焼き菓子であるせんべいを食べたグループ、朝食に何も食べなかったグループの3グループに分け、それぞれ昼食で同じ内容の食事をしてもらい血糖値の変化を見る実験をしたところ、大豆を含む焼き菓子を食べたグループだけが、昼食後の血糖値の上昇が抑えられるという実験結果が見られました。
出典:岩下 聡ほか、大豆配合焼き菓子の血糖応答とそのセカンドミール効果に関する検討 薬理と治療36(5):417-27(2008)


それだけでなく、大麦を混ぜたごはんやきのこ類を取り入れた食事でも同様の効果が得られることが分かってきています。
大豆や大麦、きのこ類は食物繊維の含有量が多いことから摂取後の消化吸収が緩やかになることや、食べた物が小腸上部に達した時点で分泌される血糖値の低下や食欲抑制の働きのあるホルモンの影響を受けるためと考えられます。


また、カナダのゲルフ大学で行われた研究では、朝食で、シリアルと共に牛乳を飲んだグループ、シリアルと水を飲んだグループで、比較したところ、朝食だけでなく昼食後においても水を飲んだグループよりも牛乳を飲んだグループのほうが血糖値の上昇が抑えられているという研究報告もあります。


これらを含めて考えると、忙しい朝でも、朝食を選ぶ際には、食物繊維の豊富な食品やたんぱく質の豊富に含まれる乳製品を取り入れると、朝食後だけでなく、ランチで食べたいつもの食事による血糖値までゆっくり上昇してくれるということになります。(図1)
これは血糖を下げるホルモン(インスリン)を節約する効果につながり、血糖値が気になる方だけでなく、肥満やダイエットを心がける方にとっても有効な方法です。

また、食後の血糖値や一日の中での血糖値のアップダウンが激しい(グルコーススパイク)と動脈硬化との関連が深いという研究結果もあり、朝食の食べ方の工夫はグルコーススパイクの予防にもなります。
忙しい朝に食事の内容を考えるのは難しいという方は、まずは、シリアルに牛乳または、白米に大麦を混ぜて炊いておくというのはいかがでしょうか?

朝食を家で摂った場合のメリット

食事をすることで血糖値が上昇しますが、食後に筋肉を動かすと血糖が筋肉に取り込まれやすくなり、血糖値は下がりやすくなります。(図2)

朝食後も同様で「通勤で駅まで歩く」「駅で階段を利用する」「駐車場から会社まで速歩きする」などの通勤の場面で軽い運動を取り入れることで、食後の血糖値の降下が期待できます。

これらを組み合わせて考えてみると、会社に着いてから食事をするよりも、なるべく自宅で食べる、内容は食物繊維を多く含む食品やたんぱく質の多い食品を意識して食べると良いでしょう。
もちろん、今、朝食を食べていない人はオフィスに着いてからの席朝もOK、野菜やたんぱく質をプラスしましょう。
食べる場所、時間、内容、順番いろいろありますが、まずはできそうなところの改善からトライしてみてくださいね。

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