花粉症の季節!日常生活の対策ポイント

2017/02/28 掲載

国民病とも呼ばれる花粉症、2008年の全国疫学調査によると日本人の約3割が花粉症であることが分かっています。(※1)

患者数の増加原因として、花粉の飛散数の増加・食生活の欧米化・腸内細菌の変化・感染症の減少・母乳から人工栄養への切り替え・大気汚染や喫煙など様々なものが挙げられています。

今回は、花粉症の対策と日常生活の中でできる予防や症状緩和のヒントをお伝えします。

 

花粉が多く飛ぶ条件

花粉の飛散が始まってから4週間程度が花粉の多い時期になり、その間に以下の天気になると特に花粉が多く飛散します。(※2)

 

  晴れて、暖かい日

 空気が乾燥して、風の強い日

  雨上がりの翌日や気温の高い日が2~3日続いた後

 

1日の中でも、気温の上昇とともに飛散量が増えて昼前後(12時頃)がピークになり、舞っていた花粉が気温の低下とともに地上に落ちてくるため日没後(18時頃)にも再び量が増えます

花粉の飛散量は、地域・時間帯・気象条件によって異なるため、外出時は環境省や自治体などが提供している花粉飛散量を確認しましょう。

 

外出時の対策

花粉症が辛いからと言って、ずっと家にいることはできませんよね。外出時の時に役立つアイテムと工夫をまとめてみましたので、是非実践してみてください。

外出時に役立つアイテム ※3

メガネ…普通のメガネでも、花粉の侵入量は約2/3に減らせます。
帽子…花粉が付着しにくい素材(綿や化学繊維など)を選びましょう。
マスク…口と鼻をしっかり覆い、ノーズワイヤーは鼻の形に合わせて曲げます。
髪型…髪の毛が長い場合は、結んでおくと花粉の付着を少しでも抑えられます。
上着…表面に花粉が付着しにくい素材(綿や化学繊維など)を選び、室内に入る前に脱げば、室内への花粉侵入を防げます。
ワセリン…鼻の下、目の周りの粘膜を避けた部位に塗ると、ワセリンが花粉を吸着して、粘膜への侵入を防ぐ補助的効果があります。

室内に花粉を入れない

症状を悪化させないためには、室内に花粉を入れないことが大切です。室内の花粉の多くは、人の出入りによるものなので、花粉症の人もそうでない人も、家族全員で取り組んで対策をしましょう。

 

帰宅時…玄関に入る前に洋服や体に付着した花粉を払い、上着は玄関にかけて部屋に持ち込まない方が良いです。手洗い・うがいも忘れずに行いましょう。

換気…花粉飛散量の少ない時間帯に行います。レースのカーテンをしておくことで、少しは花粉を防げます。

洗濯物…外干しをしたいところですが、花粉の時期は部屋干しまたは、乾燥機を使うことがおすすめです。

掃除…花粉は水拭きすることで、ふやけたり舞い上がりにくくなるので取り除くことができます。
室内に入った花粉の多くは、床面に付着していますので、朝起きたら床や家具を水拭きしておくと、前日にたまった花粉を取り除けます。空気清浄器の使用も有効です。

 

生活習慣を見直すことで症状緩和

花粉症は、一度かかると完治することは難しいですが、生活習慣を見直すことで症状を緩和することは出来ます。具体的には、

 

・自律神経のバランスを保つ

自律神経には、活動時に働く交感神経と、睡眠時やリラックス時に働く副交感神経があり、この2つの神経が交互にバランス良く働くことで、体の調子や免疫機能を整えています。

鼻の中にも自律神経があり、交感神経が働くと、鼻の通りが良くなります。また、副交感神経が働くと、鼻粘膜の毛細血管が広がり、粘膜がむくみ、その結果、鼻水の分泌量が増え、くしゃみも増えます。

この自律神経の働きを正常にするには、規則正しい生活を送る早寝早起きストレスをためない朝食を食べる適度な運動をすることが有効です。

 

・アルコールやタバコは控える

飲酒すると、鼻の粘膜の血管が拡張して、鼻づまりを悪化させます。タバコの煙は、鼻粘膜に慢性的な炎症を起こし、鼻に入ってきた異物を外に出す働きを持つ線毛の働きを弱めてしまいます。また、ニコチンは血行を悪化させるため、鼻症状の悪化につながります。

 

食べて免疫力アップ

アレルギー症状は、食生活の欧米化(高脂質・高たんぱく食)が要因になっているとも言われていますので、日本食を中心にバランスの良い食生活が大切になります。そして花粉症対策には、腸内環境を整える抗酸化作用のある食材を食べる粘膜の保護に働く食材を食べる体温を上げることが大切です。 (表1)

ファーストフード・インスタント食品・レトルト食品などの加工品や、脂肪の多い肉類、菓子類、嗜好飲料などは、免疫力を低下させるため、なるべく避けましょう。※4

 

表1

効果 食材
腸内環境を整える 納豆・味噌・ヨーグルト・干ししいたけ・ごぼう・りんご など
抗酸化作用 グレープフルーツ・キウイ・いちご・ブロッコリー・パプリカ など
粘膜の保護 レバー・にんじん・卵・チーズ・なめこ・里いも・オクラ など
アレルギー症状緩和 たまねぎ・大葉・トマト・れんこん・じゃがいも・ごま など
体温を上げる しょうが・ねぎ・にら・にんにく・牛肉赤身・玄米 など
 

「花粉症に負けない食べ方」(岡野哲郎 監修)より一部改変して作図(作図:タニタ)

 

タニタ社員食堂レシピ」でも、免疫力をアップするレシピをご紹介しています。気になる方は、是非登録してみてください。

 

おすすめレシピ

キャベツとトマトの重ね蒸し
キャベツとトマトの重ね蒸し
キャベツの間にトマトを挟み、パプリカやヨーグルトを使ったソースをかけます。キャベツには、免疫力アップや粘膜の保護作用があります。
かぼちゃとひじきのサラダ
かぼちゃとひじきのサラダ
かぼちゃ、ひじき、たまねぎ、ブロッコリー、きゅうりを使ったサラダです。かぼちゃには、腸内環境を整え、体温を上げる作用もあります。
酢入りきんぴら
酢入りきんぴら
ごぼう、にんじん、れんこん、いんげん、干ししいたけを使い、抗酸化作用があるきんぴら、酢で免疫力アップ。
 

 

また、症状を緩和する食事については、こちらのコラム<花粉症でとても辛いのですが、食事で少しでも楽になりませんか?>を参考にして下さい。

 

口腔アレルギー症候群に気をつけましょう

花粉症の方の中には、ある特定の食べ物に対するアレルギーを持つ場合があります。これは、花粉に似た成分を持つ食べ物を食べることで、体が花粉と間違えて反応してしまうためです。

このアレルギーの症状は、原因となる食べ物を食べてから15分以内に口の中や喉・唇が腫れたり痒くなったりすることがあります。※5

 

また、花粉の種類によって、口腔アレルギー症状を引き起こしやすい食べ物が異なります。(表2)

 

表2

花粉との関連が報告されている主な食物
カバノキ科 ハンノキ

バラ科(りんご・もも・いちご)

ウリ科(メロン・スイカ)

大豆(豆乳)・キウイ・オレンジ・山いも・マンゴー・アボカド・ヘーゼルナッツ(ハシバミ)・にんじん・セロリ・じゃがいも・トマト

シラカンバ

バラ科(りんご・もも・洋梨・いちご)

ヘーゼルナッツ(ハシバミ)・くるみ・アーモンド・ココナッツ・ピーナッツ・セロリ・にんじん・じゃがいも・キウイ・オレンジ・メロン・マスタード・大豆(豆乳)

イネ科 オオアワガエリ メロン・スイカ・トマト・オレンジ・じゃがいも・たまねぎ・セロリ・キウイ・米・小麦
カモガヤ
キク科 ブタクサ スイカ・メロン・バナナ
ヨモギ にんじん・セロリ・キウイ・トマト・ピーナッツ・ヘーゼルナッツ(ハシバミ)・じゃがいも・マスタード
ヒノキ科 スギ トマト
ヒノキ トマト
 

「花粉症アレルギー性鼻炎」徳永貴広 著より抜粋

 

口腔アレルギー症候群は、花粉症だからといって必ず出る訳ではないので、神経質になる必要はありません。もし、症状が出た場合は、早めに医療機関を受診してください。

 

花粉症になったら

花粉の飛散開始前や軽症の段階で薬物療法を開始することで、症状を軽減することができると言われています。けれども、自己判断で薬を飲むことはおすすめできませんし、何の花粉に反応しているのか、本当に花粉症なのかを知ることは大切ですので、必ず医療機関を受診して適切な治療を行ってください。

現在は様々な治療法があり、症状を和らげる治療からアレルギー体質を改善する治療法まであるようです。どのような治療を行うかは、ご自身の症状に合わせて医師と相談のうえ、選択することが大切です。

花粉症の季節、日常生活の見直しや適切な予防・治療をして上手に乗り越えましょう!

 

【表の出典】

表1 「花粉症に負けない食べ方」 岡野哲郎 監修(作図:タニタ)

表2 「花粉症アレルギー性鼻炎」 徳永貴広 著

 

【参考文献】

※1・※2 環境省 花粉症環境保健マニュアル 2014年1月改訂版

※3・※5 「花粉症アレルギー性鼻炎」 徳永貴広 著

※4 「花粉症に負けない食べ方」 岡野哲郎 監修

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。