禁煙を諦めない!まず「家族の疾病リスク」と向きあおう

2016/02/23 掲載

これまでも「からだカルテ」のコラムで禁煙について触れてきましたが(■禁煙すると太るって本当?

今回はもう少し深くお伝えしたいと思い、このテーマについて2回に分けてお伝えしていきます。

 

1回目の今回はたばこの害と禁煙のメリットについてお伝えします。

次回は「禁煙のコツと成功しやすい禁煙方法について」を予定しています。

たばこを吸う人も、家族やまわりの人に禁煙して欲しいなと思っている人もぜひ、参考にしてください。

 

たばこの害

いろいろなところでたばこの害については、広く伝えられており、ご存知の方も多い事でしょう。

右の文章、見かけたことはありませんか?

たばこのパッケージには必ず表記する事が義務付けられている文章です。

簡単に1.7倍と言いますが、7割増ですから、大変なリスク増加です。

 

たばこの害は心筋梗塞のリスクを高めるだけはありません。

たばこというと、みなさん肺がんばかりを心配されますが、実は全身のがんがすべて増えます。
たばこをふかしているだけでも、口の中にこびりついた発がん物質が、喉のがん(喉頭がん、咽頭がん)を32.5倍に増やします。
また、口の中にこびりついた発がん物質を唾液と一緒に飲み込むため、食道がんも増加します。
さらに発がん物質は、肺の毛細血管から取り込まれ全身に流れて行くため、全身のがんが増えてしまうのです。

がんのほか、脳卒中や狭心症、心筋梗塞などの循環器系の病気や、呼吸器系では気管支炎や肺気腫(総じて慢性閉塞性肺疾患COPDと呼ばれています)など、呼吸がしづらくなる病気、その他にも、白内障や歯周病、骨がスカスカになる骨粗しょう症など、長年の喫煙が影響する病気はたくさんあります。

 

 

たばこの害のもう一つ怖い点は、受動喫煙です。

たばこには200種類以上の有害物質が含まれています。親や周りの大人がたばこを吸うと、吸っている人だけでなく、子供など吸わない人も病気になりやすくなるのです。

 

たばこの煙には、喫煙者が直接吸い込む「主流煙」と、点火部から立ち上る「副流煙」があります。有害成分は低温の不完全燃焼時により多く発生するため、副流煙は主流煙よりも多量の有害物質を含むことが知られています。

受動喫煙によって周囲の人の健康も損なわれ、成人では肺がんと虚血性心疾患、小児では乳幼児突然死症候群(SIDS)、肺炎などの下気道疾患、中耳疾患があげられる他、奥様が肺がんで死亡する確率は約2倍になるのです。

 

禁煙のメリット

たばこの害について、十分ご理解いただけたと思いますが、禁煙のハードルは高いとお考えの方も多いでしょう。
ここでは、禁煙のメリットについて、お伝えします。

禁煙したいと思って始めたけれど、1週間持たずに挫折したという声をよく聞きます。

しかし、禁煙はたとえ数時間であっても確実に私たちの身体に良い変化をもたらせてくれるのです。

前の章でお伝えした、たばこの害が与える病気のリスクも禁煙を継続していく事で、確実に低下していくことが解っています。

 

 

今日からでもすぐに禁煙を始めてみましょう!

禁煙は一度のチャレンジで達成できる人もいますが、何度もチャレンジを繰り返し、達成している人が非常に多いので、
まずは、たばこをやめてみる事をお勧めしたいです。

次回は禁煙のコツをお伝えします。

 

(参考文献)

横浜市健康福祉局 リーフレット

平成9年度「厚生省心身障害研究報告書」

日本医師会ホームページ

 

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。