目の健康のために~疲れ目の予防と対策をしよう!

2012/12/11 掲載

私たち人間は、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感を使って、外から多くの情報を得ています。また、その約90%が視覚である「目」による情報です。「目」は、一瞬で近くや遠く、明るい・暗いなどの情報を脳に伝えています。今このコラムをご覧いただいている皆さんの「目」の調子は、いかがでしょうか。今回は、「目」の健康のために必要なことをお伝えします。

目のしくみと「疲れ目」について

私たちは、普段何気なくものを見ていますが、私たちの目にはものを見るための水晶体というレンズがあります。このレンズには、毛様体筋という筋肉が付いています。近くを見るときは毛様体筋が縮み、水晶体が厚くなります。遠くを見るときは毛様体筋が緩み、水晶体が平らになります。そうして、見ているものの距離に応じて、水晶体の厚みを変えてピントを調節しています。
 
そのため、近くを見続けると毛様体筋は常に縮み続け、疲労します。こうした状態が長く続き、目がかすむ、目が重たくなる、目が充血するなどの症状が現れることを、一般的に「疲れ目」といわれます。ひどくなると頭痛がする、吐き気がするなどの症状を伴い「眼精疲労」と呼ばれます。「疲れ目」は結膜炎、角膜炎、緑内障などの病気が原因で起こることもありますので、症状が長く続く場合は眼科を受診しましょう。
 

「疲れ目」を予防するために

 「疲れ目」の症状を少しでも軽くするためには、一体どのようにすればよいのでしょうか。それには、まず原因を探ることが大切です。
 
「疲れ目」の原因であるメガネやコンタクトレンズの使用者のうち、約6割がドライアイというデータがあります。集中してものを見ていると、まばたきの回数が減り、目の表面が乾き、充血や痛みなどが現れます。ものをよく見る作業の多い方は、1時間に約10分の休憩時間を設けることが理想です。休憩時には、軽く目を閉じたり、遠くを見るようにして毛様体筋の筋肉を緩めましょう。また、温かいタオルと冷たいタオルを交互に目の上に当てて血行を促進するのも効果的です。メガネやコンタクトレンズを作ってしばらくの間、眼科の検診を受けていない方は、度数が合っていないことによる疲れ目の可能性があります。定期的に眼科で検診を受けましょう。
 
そして、食事による対策も大切です。基本はバランスのとれた食事であり、ビタミンAを始めとするビタミンやミネラルはよく知られておりますので、中でも最近注目を浴びている食事で摂りやすい目によい栄養素をいくつかご紹介します。
 

目に良い栄養素

 
DHA(ドコサヘキサエン酸の略称)はオメガ3系という必須脂肪酸の仲間で、体内では中性脂肪の分解をすすめ血中コレステロールを下げる、女性には嬉しい女性ホルモンを整える、炎症やアレルギーを抑えるという働きを持っています。脳内に多く存在していますが、実は脳よりも目の網膜や視神経に、より高濃度で存在しているため目の発達にも深く関与しているといわれます。また、スポーツ選手にDHAを摂取させたところ両目の動体視力が向上したという研究報告もあります。
ルテインは、トマトのリコピンなどの色素と同じ仲間です。水晶体や水晶体を通過して入ってくる光を受け止める網膜の中心部に存在しています。テレビやパソコン、携帯の画面から発する青色光から目を守る働きがあります。成分は、油に溶けやすい脂溶性成分のため油脂と一緒に摂ると吸収力が高まります。アントシアニンは、青紫色をした天然の色素です。目で見た情報を脳に届ける際に必要な「ロドプシン」という色素体の再合成に関わっています。また、アントシアニンの作用には即効性があり、摂取後の4時間後には視力の改善が確認されるほどです。ですが、その効果は24時間後に消失してしまうため、毎日意識して摂ることが大切です。
 

目の健康を保つために

 「疲れ目」を予防するために、原因の明らかな場合は適度な休憩をするなどのしっかりとした対策が必要です。特に原因が見当たらない場合は、普段の食事の栄養バランスを再確認し、目によい栄養素を持つ食材の摂取を心がけましょう。ちなみに、過度の飲酒や喫煙の習慣も視神経を傷つけるため、休肝日を設けたり、禁煙生活をスタートされるのもおすすめです。
 
※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。