人間の目のしくみ~私たちが見ている世界~

2014/01/27 掲載

お仕事でパソコンを長時間使用したり、

スマートフォンやタブレット端末を活用する方が増え、

現代人は目を酷使してしまいやすい環境にあります。

 

オリンピックなど海外で行われるスポーツイベント期間中なども、

寝不足や疲れ目に悩まされる方が多いのではないでしょうか?

ということで、今回は眼のお話をしたいと思います。

人間の目のしくみ

成人の眼球のサイズは直径2.5cmほどありますが、外から見えているのは約6分の1。

見えている部分から、内側に入っていくと、

 角膜 ⇒ 眼房 ⇒ 瞳孔 ⇒ 水晶体 ⇒ 硝子体 ⇒ 網膜

という順で組織が組み合わさり、「目」の働きをしています(実際には、たいへん複雑です)。

 

角膜から入った光は、最終的に網膜に映ってその信号を脳が処理することで、私たちの視覚世界は作られています。

つまり、目と脳の組合せで、私たちが見ている世界は作られているのです。

 

角膜から入った光(像)は、眼房を通って瞳孔で光の量が調節されます。

瞳孔(黒目の中央の黒い部分)は、いわゆる虹彩(黒目の模様)として認識される放射状と輪状の筋肉で、大きさが調節されます。

そして、水晶体は周囲についている筋でその厚みを調節して、見るべき場所(距離)にピントを合わせます。

それが最後に硝子体を通って、網膜に像を映すのです。

 

メガネやコンタクトレンズが必要な理由は?

ですが、近視や遠視の場合は、この像を網膜にちょうどよく届けることができません。

そのために、メガネやコンタクトレンズを使って、水晶体の役割を助けています。

 

遠視や近視の方の場合は、

 ・水晶体の厚さが厚過ぎたり薄過ぎたりしている

 ・水晶体の調節では間に合わないほど網膜の位置がずれている

などの理由が考えられます。

 

網膜の位置のズレには、遺伝的な要素も関係していますし、また眼球の形も視力に影響を与えているのです。

つまり、眼球の奥行きが正常よりも大きいと近視、短いと遠視となるのです。

 

老眼の原因は筋力低下?

遠視と混同される状態として、老眼(老視)があります。

老眼は、老化によって水晶体の厚さを調整する筋肉の弾力が低下して、近くに焦点を合わせる力が低下するためにおこります。

近くではっきりみえる距離の目安は、40歳で20cmなのに対し、60歳では80cmと言われています。

 

実は、脳で見ている?

眼は、サッケード運動と呼ばれる微小な高速運動をしています。

少しずつ違う部分を見て、それが脳の中で集約されるため、私たちははっきりとした広がりのある視界をもつことができるのです。

 

また、私たちは暗いところでは、色の識別が苦手です。 これは、目に入る光の明るさによって、働く細胞が異なるためです。

薄暗いところでは、低域値の光のみを識別できる細胞が働き、明るい場所では光と色を識別できる細胞が働きます。

そのため、薄暗いところでは色がはっきりとわからないのです。

 

疲れ目は筋肉のこりが原因

ところで、長時間、テレビや映画をみたり、パソコン作業をしたあと、他の部分へピントが合いにくくなったりしませんか?

これは、いわゆる「疲れ目」です。

水晶体の厚さを調節する筋肉がこってしまうと生じます。

肩こりと同じで、長時間の連続的な緊張状態で、筋肉が疲れてしまっているのです。

じっと座っていたあとに、動こうとすると身体が動きにくいのと同じ状態ですね。

 

 

私たちが普段見ている世界は、複数の要素が合わさって得られるものだと気付くと、なんだか不思議な気がします。

ものを見る機能は、人間・動物・昆虫など、種によってことなるため、他の生き物に見えている世界と、私たち人間に見えている世界は違うのです。

もしかしたら、私が認識している世界と実際の世界は、違うのかも!?

 

参考) トートラ人体の構造と機能 第4版 丸善出版

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