太っていなくても、からだの中は肥満かも?!

2012/03/28 掲載

内臓脂肪にご注意を今回のテーマは内臓脂肪です。メタボリックシンドロームという言葉が広まったこともあり、内臓脂肪を心配するようになった方も多いのでは?皮下脂肪と違って、外から見えない脂肪だけに気になりますね。からだへの影響やダイエットとの関係、減らすコツなど、内臓脂肪にまつわるあれこれをお伝えします。

健康をはかる新しい指標、「内臓脂肪」という考え方

「体重も体脂肪率も標準的なのに、なぜか血圧が高い…」という方は、いらっしゃいませんか?もしかすると、それは内臓脂肪のせいかもしれません。

私たちのからだについている脂肪「体脂肪」は、「皮下脂肪」と「内臓脂肪」に分けられます。皮下脂肪とは、文字通り、皮膚のすぐ下にある脂肪。内臓脂肪とは内臓の周りにつく脂肪のことで、外から見たり摘んだりはできませんが、私たちの健康に大きく関係しています。

内臓のすぐそばにあるため、血管に入り込んだりして臓器に直接影響を与えてしまうことになり、内臓脂肪がつき過ぎると糖尿病や高血圧症、高脂血症といった生活習慣病を引き起こしやすくなるのです。(メタボリックシンドローム症候群)

外見や体重だけではわからない体内の健康状態を知る目安になる。それが、新しい健康指標「内臓脂肪」です。実は、内臓脂肪を簡単に測れるようにしたのも、私たちタニタが世界で初めてでした。


■内臓脂肪型肥満。腹筋の内側につく脂肪が内臓脂肪。
 つき過ぎると生活習慣病の危険が!

皮下脂肪型肥満
■皮下脂肪型肥満。皮下脂肪は、女性の妊娠や出産には
 必要なので、少なすぎるのも問題です。
 

何百人ものおなかから生まれた、内臓脂肪チェック機能

簡単に内臓脂肪が測れる方法を求めて、タニタは大学との共同研究も行いました。男性も女性も、若い人から年配の方まで、何百人という人のおなかのCT画像を集めて分析。その他のいろんな情報と合わせて、より正確に内臓脂肪を導き出す回帰式を算出しました。そうして生まれたのが、体脂肪はもちろん、内臓脂肪も測れる「インナースキャン」です。まさに“からだの中まで見える”画期的な体脂肪計の誕生でした。私たちは、内臓脂肪の量を1~59までの「内臓脂肪レベル」で表しています。標準値はレベル9以下、レベル10~14がやや過剰、レベル15以上が過剰。内臓脂肪はレベル9以下をめざしましょう。

■2001年、世界初の内臓脂肪チェック付脂肪計「インナースキャン」誕生。
家庭でも簡単に内臓脂肪が測れるようになりました。体重計から、体脂肪計、
内臓脂肪計へさらには体組成計へと進化を続けています。
 

男性や年配女性の皆さん、要注意です。

男性と女性とではホルモンの関係から脂肪のつき方が異なり、内臓脂肪がつきやすいのは男性の方です。
実際、私たちの研究の中でも、内臓脂肪型肥満やそれに近い人は圧倒的に男性。内臓脂肪の多い女性はわずか数パーセントでした。おなか周りや上半身が太ったビア樽のような体型、いわゆる「リンゴ型肥満」は男性に多い肥満です。ただし、加齢とともに内臓脂肪がたまりやすくなる傾向があるので、女性も安心してはいられません。特に更年期以上の女性は注意してくださいね。

また、かつてスポーツをしていて今はやめている人やダイエットに失敗してリバウンドした人も、内臓脂肪がつき過ぎている可能性があります。運動量が減ったのに変わらずに食べていると筋肉の間に脂肪が入りやすくなり、リバウンドで基礎代謝が下がると脂肪がつきやすくなるためです。余ったエネルギーはどんどん脂肪になり、内臓脂肪がどんどん増えることにも…。

なお、血圧の気になる方は、内臓脂肪チェックと合わせて血圧計で定期的に健康管理を行いましょう。

【内臓脂肪型肥満チェックリスト】
次のうち一つでも当てはまるものがある人は、内臓脂肪型肥満の可能性があります。
一度、体脂肪計で測ってみましょう。
1、BMIが25以上の「肥満域」にある人で、
  おなかは出ているが皮下脂肪をたっぷりつかめない人。
2、ダイエットに失敗して、その後リバウンドした人。
3、かつてスポーツをしていて今はやめた人。
4、日本人の場合、男性でウエスト85cm以上、女性で90cm以上の人。
 

「一無・二少・三多」で、内臓脂肪にさようなら

よく皮下脂肪は「定期預金」、内臓脂肪は「普通預金」といわれます。その心は、皮下脂肪は落ちにくい、内臓脂肪はつきやすく落としやすいということ。内臓脂肪を減らすには、ウォーキングやジョギング、スイミングなどの有酸素運動とバランスのいい食事を続けることが大切です。特に、「歩くこと」はとても有効。簡単にできることですので、常になるべく歩くように心がけてください。

タニタでは、日常生活の心得なものとして「一無・二少・三多」をおすすめしています。これは、タニタ体重科学研究所の所長である池田義雄医学博士が提唱したもので、健康になるためのコツを覚えやすい言葉でまとめました。「一無」は無煙(禁煙)、「二少」は少食と少酒、「三多」は多動・多休・多接(コミュニケーション)です。みなさんもぜひ「一無・二少・三多」を実践して余分な内臓脂肪を減らし、生活習慣病を寄せ付けない元気なからだをめざしましょう。

【一無・二少・三多のすすめ】
一無=無煙
 禁煙のすすめ。喫煙本数や量がからだに与える影響は明らかです。
 副煙流の害もあるため、喫煙者は喫煙場所にも気をつけましょう。
二少=少食・少酒
 腹八分目と節酒のすすめ。暴飲暴食、不規則な食事や偏食に気をつけて、
 規則正しく、バランスよい食事を。時には休肝日を設けましょう。
三多=多動・多休・多接
 運動と休養(睡眠)、コミュニケーションのすすめ。日常生活の中で
 意識的に動くようにして、休むときは充分にからだと精神の疲れの回復を。
 また、外出や仲間と会う機会を持つなどして、多くの人・こと・ものに接して
 ストレスを発散し、充実感のある生活を心がけましょう。
 

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。